ジュニア選手の保護者様にとって、競泳水着のサイズ選びは非常に悩ましい問題です。普段着ている洋服のサイズと同じ感覚で選んでしまうと、届いた水着があまりに小さくて驚いたり、逆に泳いでいる最中に水が入ってしまったりといったトラブルが起こりやすくなります。
競泳水着は、水中で最大限のパフォーマンスを発揮するために、体にぴったりとフィットする設計になっています。そのため、一般的な衣類とは異なる独自の基準があることを理解しておくことが、お子さんに最適な一着を見つけるための第一歩となります。
この記事では、競泳水着ジュニアサイズ表の見方を中心に、正しい体の測り方やメーカーごとの特徴を詳しく解説します。お子さんが水泳をより楽しみ、自己ベストを更新できるよう、サイズ選びの不安をしっかりと解消していきましょう。
競泳水着ジュニアサイズ表の見方と基本のチェックポイント

競泳水着を選ぶ際に最初に見るのがサイズ表ですが、多くのメーカーでは共通の規格を採用しています。まずは表に並んでいる数字が何を意味しているのか、その基本をしっかりと押さえておきましょう。
各メーカー共通の「JASPO規格」とは?
日本のスポーツメーカーの多くは、日本スポーツ用品工業協会が定めた「JASPO規格」というサイズ基準をベースにしています。ジュニアサイズの場合、一般的に「120・130・140・150」といった10センチ刻みの身長を目安とした表記が使われます。
しかし、この数字はあくまで「身長」を基準にしたものであり、体の厚みや肉付きまでは考慮されていません。そのため、身長だけでサイズを決めてしまうと、実際に着用したときに「きつすぎて入らない」あるいは「肩紐がゆるすぎる」といった問題が生じることがあります。
サイズ表を見るときは、身長の数字だけでなく、必ずその横に記載されている詳細な数値を確認してください。JASPO規格はあくまで目安であることを念頭に置き、お子さんの現在の体型と照らし合わせることが、失敗しないための大切なポイントです。
身長だけでなく「バスト・ウエスト・ヒップ」が重要な理由
競泳水着のサイズ表で最も注目すべきは、身長よりも「バスト(胸囲)」「ウエスト(胴囲)」「ヒップ(腰囲)」の3点です。競泳水着は伸縮性の高い素材で作られていますが、それぞれの部位が適切な範囲に収まっていないと、水着の性能が十分に発揮されません。
例えば、身長は140センチでも、体格がしっかりしているお子さんの場合は、バストやヒップの数値に合わせて150サイズを選ぶ方が適していることがあります。逆に、細身のお子さんであれば、身長に合わせて選ぶと胴回りが余ってしまうこともあるため注意が必要です。
特にヒップサイズは、水着を着脱する際に最も負荷がかかる部分です。ここが小さすぎると、着用時に生地を傷めたり、お子さんが一人で着られなかったりする原因になります。サイズ表の各項目を一つずつ丁寧にチェックし、お子さんの実寸に近いものを選びましょう。
年齢や服のサイズだけで選ぶと失敗するリスク
普段、お子さんが学校に着ていく服が140サイズだからといって、競泳水着も140で良いとは限りません。競泳水着は、水中で水が入り込む隙間をなくすために、あえて「かなりタイト(きつめ)」に作られているからです。
初めて競泳水着を試着したお子さんが「苦しい」「小さすぎる」と言うのは、ある意味で正しいサイズ感である証拠でもあります。しかし、それが単なるフィット感なのか、本当にサイズが合っていないのかを見極めるには、客観的な数値に基づいたサイズ表の確認が欠かせません。
また、お子さんの成長スピードは非常に速いため、半年前の数値は参考になりません。新しい水着を購入する際は、必ずその都度メジャーで体を測り直し、最新のデータをもとにサイズ表と向き合うようにしてください。このひと手間が、結果的に長く快適に使える水着選びに繋がります。
【ジュニアサイズ表の一般的な目安】
| 表示サイズ | 身長(cm) | バスト(cm) | ウエスト(cm) |
|---|---|---|---|
| 120 | 115~125 | 57~63 | 51~57 |
| 130 | 125~135 | 61~67 | 53~59 |
| 140 | 135~145 | 64~72 | 54~62 |
| 150 | 145~155 | 70~78 | 58~66 |
※数値はあくまで一般的な目安です。メーカーやモデルにより異なります。
ジュニアの競泳水着選びで欠かせない正しい体の測り方

正確なサイズ選びをするためには、まずお子さんの体のサイズを正しく測ることが不可欠です。測定がずれてしまうと、せっかくサイズ表をチェックしても意味がなくなってしまいます。正しい測定方法をマスターしましょう。
バスト(胸囲)を正確に測る位置とコツ
バスト(胸囲)を測る際は、お子さんに背筋を伸ばしてまっすぐ立ってもらいます。メジャーを脇の下に通し、胸の最も高い位置を水平に一周するように測ってください。このとき、お子さんが息を大きく吸い込んだり、逆に吐き出したりしていないかを確認しましょう。
自然な呼吸をしている状態で測るのがコツです。メジャーが背中で斜めに下がっていたり、食い込んでいたりすると、数値が大きく変わってしまいます。鏡の前で測るか、保護者様が前後から水平になっているかをチェックしながら進めてください。
また、厚手の服の上から測るのは厳禁です。下着のみ、あるいは薄手のトレーニングウェアの上から測るようにしましょう。数ミリの差がフィット感に大きく影響するため、慎重に測定することが求められます。
ウエストとヒップの測定で気をつけたいポイント
ウエストを測る場所は、おへその少し上、胴体の一番細い部分です。競泳水着のパンツタイプ(男子)を選ぶ際、この数値は非常に重要になります。お腹を凹ませたり膨らませたりせず、リラックスした状態で測るように伝えてください。
ヒップについては、お尻の最も突き出している部分を水平に測ります。女子のワンピースタイプの場合、ヒップが水着の通過点として最もきつい場所になるため、ここでの正確な数値が着脱のしやすさを左右します。メジャーがねじれていないか、横から見て水平かを確認しましょう。
ヒップ周りは筋肉の付き方でも変わります。水泳を長く続けているお子さんは、お尻の筋肉が発達していることが多いため、身長の目安よりもヒップサイズが大きくなる傾向があります。この場合は、ヒップの数値に合わせてサイズを上げることが推奨されます。
競泳特有の「胴囲(ガース)」がサイズ選びを左右する
競泳水着、特に女子のワンピースタイプで最も見落とされがちなのが「ガース(胴囲)」という数値です。これは、肩の上から股の間を通り、再び肩の上に戻るまでの垂直な一周の長さを指します。
身長が同じでも、座高が高かったり胴が長かったりするお子さんの場合、ガースが長いことがあります。この数値を確認せずに選ぶと、肩紐が肩に強く食い込んで痛みを感じたり、股の部分が引き上げられて不快感が生じたりする原因になります。
サイズ表にガースの記載がない場合でも、お子さんのガースを測っておくことは無駄になりません。もしガースが長めの体型であれば、ワンサイズ上を検討する材料になります。垂直方向のフィット感も意識することで、より泳ぎに集中できる環境を整えてあげられます。
競泳水着ならではの「サイズ感」と着心地の目安

初めて競泳水着を手にしたとき、その小ささと硬さに驚く方は少なくありません。しかし、その「きつさ」にはしっかりとした理由があります。競泳水着特有のサイズ感について理解を深めましょう。
「きつい」と感じるのが正解?適正なフィット感を知る
競泳水着は、水の抵抗を最小限に抑え、筋肉の無駄な振動を防ぐために設計されています。そのため、着用したときに「少し窮屈だな」と感じる程度が、競泳水着としての適正サイズであることが多いのです。特に乾いた状態では非常に着にくいのが普通です。
ただし、呼吸が苦しかったり、肩紐が食い込んで赤くなったりする場合はサイズが小さすぎます。逆に、水着と肌の間に隙間ができ、水が入ってくるような状態(ガバガバした感じ)であれば、それは大きすぎると判断してください。
適正なフィット感の見極め方としては、水着の裾や肩紐の隙間に指が1〜2本入るかどうかが一つの目安になります。全く指が入らないほど締め付けられている場合は、お子さんのストレスが大きいため、ワンサイズアップを検討すべきタイミングと言えるでしょう。
水中での伸縮性と陸上での試着時の違い
競泳水着の素材は、陸上で着たときと水中で泳いでいるときで、感じ方が大きく変わります。水に入ると生地がわずかに伸び、水が潤滑剤のような役割を果たすため、陸上での「きつさ」が緩和される傾向にあります。
陸上で試着した際に「ちょうど良い」と感じる水着は、水の中に入ると少し緩く感じてしまうことがあります。特に、水が水着の中に入り込んで溜まってしまうと、それが重りとなって泳ぎを妨げる原因になります。
そのため、本格的にタイムを狙うジュニア選手の場合は、あえて陸上ではかなりタイトに感じるサイズを選ぶのが一般的です。一方で、まだ水泳を始めたばかりのお子さんであれば、着脱のしやすさを優先し、過度な締め付けのないサイズから慣らしていくのが良いでしょう。
成長期の子供に合わせた「少し大きめ」はアリかナシか
保護者様としては「すぐ成長するから、来年も着られるように少し大きめを」と考えがちですが、競泳水着に関しては「大きめ」の選択はあまりおすすめできません。サイズが合っていない水着は、泳ぎを妨げるだけでなく、フォームの乱れにもつながるからです。
ブカブカの水着は、水の抵抗を増やす「パラシュート」のような状態になり、本来の泳ぎができなくなります。また、肩紐が落ちてきたり、裾がめくれたりすることを気にしながら泳ぐのは、お子さんの集中力を削いでしまいます。
もし成長を考慮して少し余裕を持たせたい場合でも、サイズ表の範囲内での上限を選ぶ程度に留めておきましょう。ジャストサイズで着用することが、お子さんの泳ぎの上達を最もサポートしてくれます。消耗品と割り切り、その時の体に合ったものを選ぶのがベストです。
練習用の水着であれば、多少のゆとりがあっても問題ありませんが、大会用の水着については、今の体に最もフィットするものを選んであげてください。
メーカー別の特徴とサイズ表を読み解く際の注意点

競泳水着の主要メーカーには、それぞれ独自の設計思想やサイズ感の傾向があります。同じ140サイズであっても、メーカーが異なれば着用感がガラリと変わることも珍しくありません。代表的なメーカーの特徴を見ていきましょう。
アリーナ(arena)とミズノ(MIZUNO)のサイズ傾向
国内で圧倒的なシェアを誇るアリーナとミズノは、いずれも日本人の体型を熟知した設計がなされています。アリーナは比較的標準的なサイズ感で、ジュニア向けのラインナップも非常に豊富です。特にフィットネス寄りから本格的な競技モデルまで幅広く、選びやすいのが特徴です。
ミズノは、トップ選手からのフィードバックを活かしたタイトな設計が特徴的です。特に高機能モデルでは、筋肉をサポートする力が強いため、他のメーカーよりも「きつく」感じることがあります。しかし、その分水中でのサポート力は抜群です。
両メーカーともに、公式サイトで非常に詳細なサイズ表を公開しています。アリーナはややファッション性も高く、デザインによってカッティングが異なることがあるため、購入前に必ずそれぞれのモデル専用のサイズ情報を確認するようにしてください。
スピード(Speedo)やアシックスのフィット感の違い
世界的なブランドであるスピードは、グローバルな基準を採用していることが多く、日本のメーカーとは若干サイズ感が異なる場合があります。全体的にスリムなカッティングが多く、スタイリッシュに見える一方で、体格が良いお子さんには少しタイトに感じられるかもしれません。
アシックスは、独自の「ホールド感」を重視した作りが魅力です。骨盤周りの安定感を重視した設計が多く、腰の位置を高く保ちたい選手に好まれます。サイズ感としては比較的標準に近いですが、生地の伸縮性がモデルによって大きく異なる点に注意が必要です。
これらのメーカーを選ぶ際は、口コミやレビューも参考にしながら、お子さんの体型(細身か、がっしりしているか)に合わせてブランドを使い分けるのも一つの手です。特にスピードなどは、一度試着できる環境があれば理想的です。
FINA承認モデルと練習用モデルでのサイズ表の違い
競泳水着には、公式大会で使用できる「FINA承認(現在はWorld Aquatics承認)」モデルと、日々のトレーニングに適した練習用モデルがあります。これらは、たとえ同じサイズ表記であっても全く別の着心地だと思ってください。
練習用モデルは、塩素に強い耐久性の高い素材が使われており、適度な伸縮性があります。着脱もしやすく、長時間着ていても疲れにくいのが特徴です。そのため、サイズ表通りの選び方で大きな失敗をすることは少ないでしょう。
対してFINA承認モデルは、撥水(はっすい)性を高めるために特殊な加工が施されており、生地があまり伸びません。タイムを出すための「武器」であるため、着用に10分以上かかることもあります。このモデルを選ぶ際は、普段の練習用よりさらに慎重にサイズ表を確認し、必要であればメーカーに問い合わせることも検討してください。
初めてでも迷わない!失敗を防ぐサイズ選びのステップ

ここまでの知識を踏まえて、実際に購入する際の手順を整理しましょう。ポイントを一つずつクリアしていけば、ネット通販などでも失敗するリスクを大幅に減らすことができます。
お子さんの今の泳力と目標に合わせたモデル選び
まずは、どんなシーンでその水着を使うのかを明確にします。週に数回のスイミングスクールでの練習がメインであれば、耐久性重視の練習用モデルを選びます。この場合、サイズ表の数値が多少前後していても、伸縮性があるため柔軟に対応可能です。
もし大会に出場して自己ベストを狙うのが目的であれば、布帛(ふはく)と呼ばれる伸びにくい素材を使った競技用モデルが候補に挙がります。このタイプはサイズ選びが非常にシビアです。お子さんの現在のタイムや「もっと速くなりたい」という意欲に合わせて、モデルのグレードを決めましょう。
初心者の方ほど「一番良いものを」と考えがちですが、あまりに本格的なモデルは着るのが大変すぎて、水泳が嫌いになってしまう原因にもなりかねません。今のレベルに合った「扱いやすいサイズ感」のモデルから始めるのが、上達への近道です。
試着ができないネット通販でサイズを見極めるコツ
最近は種類が豊富なネット通販で水着を買う方が増えています。試着ができない環境で失敗を防ぐ最大のコツは、「返品・サイズ交換が可能なお店を選ぶこと」です。競泳水着はデリケートな商品のため、交換不可のショップも多いので注意しましょう。
また、商品の詳細ページにある「スタッフの試着感想」や「購入者のレビュー」は情報の宝庫です。「身長135cmで140サイズを選んだらぴったりだった」「生地が硬めなのでワンサイズ上がおすすめ」といったリアルな声は、サイズ表の数字以上に参考になることがあります。
もしサイズ選びに迷ったら、小さい方ではなく「大きい方のサイズ」を検討するのも一つの判断基準です。ただし、前述の通りブカブカは厳禁ですので、あくまで「許容範囲内の大きさ」かどうかを慎重に見極めてください。不安な場合は、ショップの問い合わせフォームからお子さんの実寸を伝えて相談してみるのも良い方法です。
肩紐の食い込みや股ぐりの浮きをチェックする方法
水着が届いたら、タグを切る前に必ず試着を行いましょう。まずチェックすべきは「肩紐のテンション」です。直立した状態で肩紐が食い込んで痛くないか、逆に腕を回したときに紐が浮いてしまわないかを確認してください。
次に、足の付け根(股ぐり)の部分を見ます。ここに大きな隙間が開いていると、泳いでいる最中にそこから水が入り、水着が膨らんでしまいます。また、お尻の部分に生地が余ってシワが寄っていないかも、背面を鏡で見て確認しましょう。
最後に、実際に泳ぐときのポーズ(ストリームライン)をとってみてください。両腕を上に伸ばしたときに、裾が極端にずり上がったり、胸元が開きすぎたりしなければ合格です。室内での試着は少し暑いですが、じっくりと動きを確認することが、最高のパフォーマンスに繋がります。
試着の際は、水着を傷めないように爪を短く切り、清潔な状態で丁寧に行うようにしましょう。ファンデーションなどの汚れがつかないよう、お子さんの肌も清潔な状態が望ましいです。
競泳水着ジュニアサイズ表の見方をマスターしてベストな1着を
競泳水着のジュニアサイズ選びは、単に数字を合わせるだけでなく、競泳特有のフィット感やメーカーの特性、そして何よりお子さんの現在の体型を正確に把握することが重要です。最後に、今回の記事の重要なポイントをまとめました。
まず、サイズ表を見るときは身長の数値だけで判断せず、バスト・ウエスト・ヒップの実寸を優先してください。特に女子の場合は「ガース(胴囲)」も考慮に入れることで、肩紐の痛みなどのトラブルを防ぐことができます。
また、競泳水着は陸上で「少しきつい」と感じるのが適正です。成長期だからと大きすぎるサイズを選んでしまうと、水の抵抗が増えて泳ぎにくくなるため、できるだけその時の体に合ったジャストサイズを選んであげましょう。
メーカーごとにサイズ感の癖があるため、公式サイトの情報をしっかり読み込み、返品交換が可能なショップを利用するなどの工夫も大切です。FINA承認モデルと練習用モデルでは、同じサイズでも着用感が大きく異なることも忘れないでください。
正しいサイズ表の見方を身につければ、お子さんの体型にぴったりの「相棒」を見つけることができます。適切な水着は、お子さんのやる気を引き出し、水の中での自由な動きをサポートしてくれます。ぜひこの記事を参考に、納得のいく1着を選んであげてください。



