プールで泳いでいると、ふと「自分のタイムは平均と比べてどうなのだろう?」と気になったことはありませんか。水泳の50メートルという距離は、初心者にとっては一つの大きな壁であり、中級者以上にとってはスピードとスタミナの両方が試される絶妙な距離です。
ジムで気持ちよく泳いでいる人と、大会に出るような選手とでは、基準となるタイムも大きく異なります。この記事では、一般成人から子供まで、年齢やレベル別の平均タイムを詳しく解説します。また、クロールや平泳ぎなど種目による違いや、タイムを縮めるための練習ポイントも紹介しますので、ぜひ自分の目標設定の参考にしてください。
水泳50メートル平均タイム【成人の場合】

まずは大人の平均タイムについて見ていきましょう。一口に「成人」といっても、たまにジムで泳ぐ程度の方から、マスターズ大会に出場するような競技志向の方までレベルは様々です。ここでは、一般的なフィットネススイマーと、日常的にトレーニングを積んでいる層に分けて解説します。
一般男性の平均タイム目安
趣味や健康維持のためにプールに通っている一般男性の場合、クロール(自由形)で50メートルを泳ぐ平均タイムは、およそ45秒から55秒程度が目安となります。もし40秒を切ることができれば、一般のフィットネス会員の中では「かなり速い」部類に入ります。
一方で、マスターズ大会などに参加する競技志向の男性スイマーになると、平均レベルはぐっと上がります。30代〜40代であれば30秒〜35秒あたりがボリュームゾーンとなり、30秒を切ることが一つの大きなステータスとなります。年齢が上がってもタイムの落ち幅が少ないのが水泳の特徴で、60代でも35秒前後で泳ぐベテラン選手は珍しくありません。
一般女性の平均タイム目安
一般女性の場合、フィットネス目的で泳ぐ方の50メートルクロールの平均は、50秒から1分10秒程度と幅広くなります。男性に比べて筋力が少ない分、フォームのきれいさがタイムに直結しやすい傾向があります。1分を切って泳ぎ続けられれば、十分な泳力があると言えるでしょう。
競技志向の女性スイマー(マスターズ層)の場合、平均タイムは35秒〜45秒あたりが目安になります。女性の場合も技術力が非常に重要で、力任せに泳ぐのではなく、美しいフォームで水の抵抗を減らすことができれば、年齢を重ねても40秒前後をキープし続けることが可能です。
「30秒の壁」と「40秒の壁」
水泳の50メートルには、レベルを表すいくつかの「壁」が存在します。まず初心者の方が目指したいのが「1分切り」です。これは途中で立たずに泳ぎ切れば達成できることが多いラインです。次に、中級者が目指すのが「40秒の壁」です。ここを突破するには、単なる体力だけでなく、基礎的なフォームの習得が必要になります。
そして、上級者にとっての大きな目標が「30秒の壁」です。50メートルを29秒台で泳ぐには、飛び込み(スタート)の技術、ターンの速さ、そして無駄のないストロークが求められます。このレベルに達すると、市民大会などでも上位に食い込める実力がついていると言えます。
短水路(25m)と長水路(50m)の違い
タイムを比較する際に注意したいのが、プールの長さです。25メートルプール(短水路)と50メートルプール(長水路)では、同じ50メートルを泳ぐのでもタイムが異なります。一般的に、25メートルプールの方がタイムは速くなります。
理由は「ターン」の有無です。25メートルプールでは途中で壁を蹴って加速するターンが1回入りますが、50メートルプールでは壁を蹴るチャンスがありません。一般的には、ターン1回につき約1秒〜2秒ほどタイムが速くなると言われています。自分のタイムを計る際は、どちらのプールでの記録かを意識しておきましょう。
小学生・中学生・高校生の50メートル平均タイム

次に、子供たちの平均タイムについて解説します。学校の体育の授業での平均と、スイミングスクールに通っている子供たちの基準は大きく異なります。ここでは学校教育のデータや、一般社団法人日本スイミングクラブ協会の資格級などを参考に、目安となるタイムを見ていきます。
小学生の平均タイムと傾向
小学生の場合、低学年では50メートルを泳ぎ切ること自体が大きなチャレンジです。高学年(5・6年生)になると、体育の授業で50メートルクロールの測定を行うことが増えます。泳げる子の平均としては、男子で50秒〜60秒、女子で55秒〜1分10秒程度が目安となります。
一方、スイミングスクールに通っている「選手コース」レベルの小学生は驚異的な速さを誇ります。高学年の選手であれば、男子で30秒前後、女子でも31秒〜32秒で泳ぐ子は珍しくありません。学校のクラスで一番速い子は、大人の平均タイムを軽々と超えていくことも多いのです。
中学生の平均タイムと成長
中学生になると、男子は筋力が急激につき始め、タイムが大幅に短縮されます。学校の平均(水泳部以外の生徒も含む)でも、男子は40秒台で泳ぐ生徒が増えてきます。女子は45秒〜55秒程度が一般的です。
部活動で水泳に取り組んでいる中学生の場合、男子の平均は28秒〜32秒、女子は30秒〜34秒あたりが目安となります。特に男子トップ選手は25秒を切るタイムを出し始め、大人のトップマスターズスイマーと変わらない、あるいはそれ以上のスピードを発揮します。
高校生の平均タイムと完成度
高校生になると体格がほぼ大人と同じになり、タイムも安定してきます。一般の高校生(水泳部以外)でも、男子なら35秒〜45秒程度で泳ぐ力を持つ生徒が多いです。女子は中学生の頃と大きく変わらず、45秒〜50秒程度が平均的なラインでしょう。
メモ:高校生の水泳部員になると、0.1秒を削り出すシビアな世界になります。インターハイ出場レベルでは、男子は23秒〜24秒台、女子は26秒〜27秒台という、魚のような速さで泳ぎます。
泳ぎ方(種目)による平均タイムの違い

50メートルという距離は、どの泳ぎ方(種目)で泳ぐかによっても平均タイムが大きく異なります。ここでは、クロール以外の3種目についても、一般成人のフィットネスレベルを目安に解説します。
クロール(自由形)の基準
最もスピードが出る泳ぎ方であり、これまで解説してきた通り、多くの人にとっての基準となるタイムです。初心者はまずこのクロールで50メートルを泳ぎ切ることを目指します。脱力を覚えることで、タイムは劇的に向上します。
平均的なタイムとしては、男性で45秒、女性で55秒あたりが中間層です。クロールは他の種目に比べて推進力を得やすいため、最も速いタイムが出ます。まずはこの種目で自分の基準タイムを作ると、他の種目の目標も立てやすくなります。
平泳ぎの平均タイム
平泳ぎは、顔を上げて呼吸がしやすいため初心者にも人気ですが、水の抵抗を受けやすくスピードが出にくい種目です。そのため、クロールのタイムにプラス10秒〜15秒ほど足したタイムが平均的と言われています。
具体的な目安としては、成人男性で55秒〜1分10秒、女性で1分〜1分20秒程度です。ただし、キックの技術が高い人はクロールに近いタイムで泳ぐこともあります。逆に、足の裏で水を捉えられていない場合、極端に遅くなるのもこの種目の特徴です。
背泳ぎの平均タイム
背泳ぎは呼吸の確保が楽な反面、進行方向が見えないため、コースロープにぶつかる恐怖心からスピードを出しにくい種目です。一般的にはクロールのタイムにプラス5秒〜10秒程度が目安となります。
成人男性で50秒〜1分00秒、女性で55秒〜1分10秒程度が平均的です。背泳ぎは姿勢(ストリームライン)が崩れると腰が沈んでしまい、ブレーキがかかりやすくなります。タイムを縮めるには、お腹を持ち上げて水面と平行な姿勢を保つことが鍵となります。
バタフライの平均タイム
バタフライは最も体力を消耗する種目であり、50メートルを泳ぎ切るだけでも中級者以上のレベルが必要です。そのため「平均タイム」を出すのが難しい種目ですが、泳げる人だけで比較すると、意外にも背泳ぎや平泳ぎより速いタイムが出ることがあります。
フォームが整っている男性なら35秒〜45秒、女性なら40秒〜50秒程度で泳ぐことが多いでしょう。ただし、後半にバテて体が立ち上がってしまうと、急激に失速します。クロールに近いスピードが出るポテンシャルを持っていますが、それを維持する筋力と技術が求められます。
50メートルを泳ぎ切るためのペース配分と体力

50メートルは「短距離」と思われがちですが、全力疾走(スプリント)で泳ぎ切るのはプロでも難しい距離です。特に初心者の方がタイムを縮めるためには、やみくもに腕を回すのではなく、賢いペース配分が必要になります。
「魔の35メートル」を意識する
50メートルを泳ぐ際、多くの人が苦しくなるのが35メートル付近です。スタートから25メートルまでは勢いでいけますが、ターンをして浮き上がった直後から急激に乳酸が溜まり、腕が重くなります。ここが「魔の35メートル」と呼ばれるポイントです。
初心者の多くは、前半の25メートルを飛ばしすぎてしまい、後半に失速してタイムを落としています。理想的なレース展開は、前半と後半のタイム差をあまり広げないことです。特に後半の残り15メートルでフォームを崩さない体力が、全体のタイムを大きく左右します。
前半は「リラックスしたスピード」で
良いタイムを出すコツは、前半の25メートルを「全力の8割〜9割」の力で泳ぐことです。これを水泳用語で「イージー・スピード」と呼ぶこともあります。ガチガチに力を入れて水を叩くのではなく、伸びのある大きな泳ぎでスピードに乗ります。
前半をリラックスして入ることで、後半にスパートをかける余力を残せます。結果的に、最初から全力で泳いだ時よりも、トータルのタイムが速くなることがよくあります。力を抜いているのに進む感覚を掴むことが、上達への近道です。
呼吸のリズムと酸欠対策
50メートル泳において、呼吸の回数はタイムに直結します。呼吸動作をすると水の抵抗が増えるため、回数が少ないほうが速く泳げます。しかし、我慢しすぎて酸欠になると後半に体が動かなくなってしまいます。
このように、区間によって呼吸の頻度を変える戦略が有効です。初心者の方は無理に呼吸を減らすよりも、リズムを一定に保つことを優先しましょう。
タイムを縮めるための練習方法とポイント

平均タイムを知って「もう少し速くなりたい」と思った方へ、明日から実践できる具体的な練習ポイントを紹介します。筋力トレーニングも大切ですが、水泳は「抵抗を減らす」ことが最も効率的なタイム短縮につながります。
基本姿勢「ストリームライン」の徹底
水泳で最も重要なのが「けのび」の姿勢、すなわちストリームラインです。壁を蹴った後、両手を重ねて耳の後ろで挟み、指先から足先まで一直線になる姿勢を作ります。この姿勢がきれいであればあるほど、壁を蹴った勢いを殺さずに進むことができます。
スタートやターンの後の「けのび」だけで、5メートル以上進むのが理想です。泳ぎ始めの初速を維持できれば、それだけで1秒〜2秒のタイム短縮になります。鏡の前で陸上トレーニングとして姿勢を確認するのも効果的です。
キックとプルのタイミングを合わせる
腕の力だけで進もうとするとすぐに疲れてしまいます。大切なのは、手で水をかく動作(プル)と、足で水を蹴る動作(キック)のタイミングを合わせることです。これを「コンビネーション」と呼びます。
例えばクロールなら、右手が水に入水して伸びる瞬間に、左足または右足を強く蹴り込むことで、グンと体が前に進みます。バラバラに動かすのではなく、全身を連動させるリズムを練習しましょう。ビート板を使ったキック練習や、足にプルブイを挟んだプル練習も、それぞれの動きを確認するのに有効です。
ターン動作の改善
25メートルプールで50メートルを泳ぐ場合、中間のターン動作はタイム短縮の宝庫です。タッチしてから壁を蹴るまでの動作が遅いと、そこで大きなロスが生まれます。上級者が行う「クイックターン(前転して回る)」ができればベストですが、通常の「タッチターン」でも速くすることは可能です。
コツは、壁に手をついたら素早く膝を引き寄せ、体を小さく丸めることです。そして、壁を蹴る時は水面近くではなく、少し深く潜るように蹴り出すと、波の抵抗を受けずに加速できます。ターン後のひとかき目で浮き上がらないよう、しっかりと水中で姿勢を作ることも忘れないでください。
まとめ
今回は「水泳50メートル平均」をキーワードに、年齢や性別、泳法ごとの目安タイムや速くなるためのコツについて解説してきました。
一般成人の場合、クロールで男性45〜55秒、女性50〜70秒程度が平均的な目安です。30秒を切ることができればマスターズの上位レベル、40秒を切ればジムの中ではかなり速いレベルと言えます。子供の場合は年齢やスイミングスクールに通っているかどうかが大きく影響しますが、成長とともにタイムは劇的に変化します。
もし自分のタイムが平均より遅くても、焦る必要はありません。水泳は「他人との競争」以上に「自分との対話」が楽しいスポーツです。ストリームラインを見直したり、ペース配分を工夫したりするだけで、タイムは驚くほど縮まります。まずは今の自分のタイムを計測し、無理のない目標を立てて、少しずつ記録更新を目指して泳いでみてください。その積み重ねが、水泳をより楽しく、充実したものにしてくれるはずです。

