平泳ぎのストローク完全ガイド!基本の動きから速く泳ぐコツまで

平泳ぎのストローク完全ガイド!基本の動きから速く泳ぐコツまで
平泳ぎのストローク完全ガイド!基本の動きから速く泳ぐコツまで
泳ぎ方のコツ・技術

平泳ぎは、学校の水泳授業やレジャーで最初に習うことが多い、とても馴染み深い泳ぎ方です。顔を上げて泳ぐこともできるため、のんびりと泳ぐイメージを持っている方も多いかもしれません。しかし、いざ「もっと楽に、もっと速く泳ぎたい」と思ったとき、壁にぶつかりやすいのも平泳ぎの特徴です。「一生懸命手を回しているのに全然進まない」「すぐに疲れてしまう」といった悩みを抱えている方は少なくありません。

実は、平泳ぎの推進力の多くはキック(足の動き)が生み出しますが、そのキックの力を最大限に活かすも殺すも、手の動き、すなわち「ストローク」次第なのです。正しいストロークは水の抵抗を減らし、呼吸をスムーズにし、次のキックへの準備を整えるという重要な役割を担っています。

この記事では、初心者の方でもイメージしやすいように、平泳ぎのストロークの基本から、推進力を逃さないための「ハイエルボー」の技術、そして呼吸とのタイミングまでを、やさしく丁寧に解説していきます。正しい知識とイメージを持って練習すれば、あなたの平泳ぎは驚くほどスムーズで優雅なものに変わるはずです。ぜひ最後までお読みいただき、次回のプールでの練習に役立ててください。

平泳ぎのストロークとは?基本の4局面を理解しよう

平泳ぎの手の動きは、ただ闇雲に回しているわけではありません。効率よく泳ぐためには、動きを4つの局面に分けて理解することが大切です。それぞれの局面には明確な目的があり、それを意識することで、無駄な力が抜け、スムーズな泳ぎにつながります。

ここでは、ストロークの一連の流れである「アウトスイープ」「キャッチ」「インスイープ」「リカバリー」の4つについて、詳しく見ていきましょう。

アウトスイープ(エントリー):抵抗を減らす入水

ストロークの始まりは、両手を前に伸ばした状態から始まります。これを「エントリー」や「アウトスイープ」と呼びます。この局面で最も大切なのは、水の抵抗を最小限に抑えることです。両手は肩幅か、それよりも少し狭いくらいの幅で前に伸ばし、水面近くを滑るように入水します。

初心者の場合、ここでいきなり水をかこうとして、手のひらを外側に大きく広げすぎてしまうことがよくあります。しかし、手を広げすぎると体が沈む原因になったり、水の抵抗を真正面から受けてしまったりします。まずは、アルファベットの「Y」の字を作るようなイメージで、斜め前方にスッと手を広げていく動作を意識しましょう。

このとき、手のひらは完全に下を向くのではなく、少しだけ外側に向けるのがポイントです。こうすることで、次の動作である「キャッチ」へとスムーズに移行することができます。焦って水をかこうとせず、まずは「伸び」を感じることが大切です。

キャッチ:水をしっかり捉える準備

アウトスイープで手を広げたあと、実際に水を捉え始める動作が「キャッチ」です。ここは推進力を生むための準備段階であり、非常に繊細な感覚が求められるパートです。広げた手のひらと前腕(手首から肘までの部分)を使って、水という重たい物体を「ガシッ」と掴むイメージを持ちましょう。

キャッチの瞬間、手首を少しだけ曲げて、手のひらを後ろ(進行方向と逆)に向けます。これによって、水が手から逃げるのを防ぎます。多くの人がここで水を「撫でて」しまいがちですが、それでは前に進む力は生まれません。

「水の中に杭を打ち込み、そこに手を引っ掛ける」ような感覚を持つと分かりやすいかもしれません。肘の位置を固定し、そこを支点にして指先を少し下に向けるように動かすことで、効率よく水を捉えることができます。このキャッチが上手くいくかどうかで、次のプルの威力が決まります。

インスイープ(プル):推進力を生む核心

キャッチで捉えた水を、胸の前まで一気に引き寄せる動作が「インスイープ」、一般的に「プル」と呼ばれる局面です。ここで初めて、体が前に進むための揚力と推進力が発生します。キャッチした水を、懐(ふところ)に抱え込むようにして、加速させながらかき込みます。

重要なのは、手の動きを止めないことと、加速(アクセラレーション)をつけることです。かき始めはゆっくりでも構いませんが、胸の前に近づくにつれてスピードを上げてください。水を集めて、自分の体の下を通すようなイメージです。

ただし、手を強くかきすぎようとして、肘が体の後ろまで行ってしまうのはNGです。あくまで「体の前」で水を処理することが基本です。肘が背中側に引けてしまうと、水を押す力が抜けてしまい、ブレーキがかかってしまいます。胸の前でコンパクトに水をまとめる意識を持ちましょう。

リカバリー:素早く前へ戻す動作

胸の前までかき込んだ手を、再び前方のストリームライン(流線形)の姿勢に戻す動作が「リカバリー」です。この局面は、推進力を生むわけではありませんが、泳ぎのリズムを作る上で非常に重要です。インスイープで加速した勢いを殺さずに、抵抗の少ない姿勢で手を前に突き出します。

胸の前で合わせた両手を、水面ギリギリ、あるいは水面上を滑らせるようにして素早く前へ伸ばします。このとき、肩や腕に力が入っていると、動きが遅くなり、体が沈んでしまいます。できるだけ脱力し、「シュッ」と槍を突き刺すような鋭さで前に戻すのがコツです。

リカバリーが遅れると、顔が水上に出ている時間が長くなり、下半身が沈んでしまいます。平泳ぎは「抵抗との戦い」でもあります。かいた手を一瞬で前に戻し、すぐに抵抗の少ない「けのび」の姿勢を作ることが、楽に長く泳ぐための秘訣です。

推進力を逃さない!正しい手の形と「ハイエルボー」

平泳ぎのストロークにおいて、中級者以上を目指すなら絶対に避けて通れないのが「ハイエルボー」という技術です。言葉だけ聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、理屈はとてもシンプルです。このセクションでは、効率よく水を押すための手の形と、肘の使い方について解説します。

「一生懸命かいているのに進まない」という方の多くは、この肘の使い方が原因で水を逃してしまっています。正しいフォームを身につけることで、軽い力でもグンと進む感覚を手に入れましょう。

指先の向きと手のひらのカップリング

まずは手の形から見直してみましょう。水をたくさん掴もうとして、指を大きく広げすぎたり、逆にガチガチに指を閉じたりしていませんか?指の間が開きすぎていると水が漏れてしまいますし、力が入りすぎていると腕全体が硬くなり、疲労の原因になります。

理想的なのは、指先を自然に揃え、手のひらをわずかにくぼませる(カップを作る)形です。卵を優しく握るような、あるいは洗面器の水をすくうときのような、少し丸みを帯びた形を意識してください。これだけで、手のひらに当たる水の圧力が増すのを感じられるはずです。

ワンポイントアドバイス

親指だけを少し離して、他の4本の指を揃える形もおすすめです。手のひらの面積を広く保ちながら、リラックスした状態を作りやすくなります。自分に合った「水が重く感じる手の形」を探してみましょう。

なぜ「ハイエルボー」が重要なのか

「ハイエルボー(High Elbow)」とは、直訳すると「高い肘」という意味です。水泳においては、水をかく(プル)動作の最中に、手首や手のひらよりも「肘が高い位置にある状態」を指します。なぜこれが重要なのでしょうか。

もし、水をかくときに肘が下がってしまう(肘から先に引いてしまう)と、手のひらは水を後ろではなく「上」に向かって撫でるような動きになってしまいます。これでは水を後ろに押し出すことができず、推進力が生まれません。そればかりか、体が浮き上がろうとする力が抜け、下半身が沈んでしまいます。

ハイエルボーを保つことで、前腕(肘から手首)全体を大きな「面」として使うことができるようになります。手のひらだけでなく、腕全体で水を後ろに押し出すことができるため、同じ力でも何倍もの推進力を得ることができるのです。これが、楽に速く泳ぐための最大の鍵となります。

肘を立てるための感覚と練習法

理屈は分かっても、実際に水の中でハイエルボーを行うのは難しいものです。コツは、「肘を動かさずに、肘から先だけを動かす」という意識を持つことです。アウトスイープで手を広げた位置に肘を固定し(仮想の杭に肘を縛り付けるようなイメージ)、そこを支点にして前腕を内側に回しこむように動かします。

陸上でのシミュレーションも効果的です。テーブルの端に肘をつき、手のひらをテーブルの面よりも低く下げてみてください。その状態から、肘をテーブルにつけたまま、手のひらで空気を後ろにかき込む動作をしてみましょう。これがハイエルボーに近い動きです。

水中で行うときは、「大きな樽(タル)を抱え込む」ような動きをイメージすると良いでしょう。肘を張り出し、その内側にある水を胸の前で抱きしめるような動作です。肘が落ちると樽を抱えることはできません。

ストロークと呼吸のタイミングを合わせるコツ

平泳ぎが「難しい」と感じられる最大の要因は、手と足、そして呼吸のタイミングを合わせるコンビネーションにあります。特に呼吸動作はストロークと密接に関係しており、タイミングがずれると失速の原因になります。

ここでは、スムーズに呼吸を行い、かつスピードを落とさないためのベストなタイミングについて解説します。

顔を上げるタイミングはいつがベスト?

呼吸のために顔を上げるタイミングは、「インスイープ(プル)の開始直後」から「手が胸の前に来るまで」の間です。具体的には、キャッチで水を捉え、内側にかき込み始めると同時に、その揚力を利用して自然に頭を持ち上げます。

初心者の場合、手をかく動作が終わってから顔を上げようとする方がいますが、それでは遅すぎます。手が胸の前で止まってしまうと体は沈み始めますから、呼吸をするのが苦しくなります。水をかき込む動作と、顔を上げる動作をセットにして行うことが大切です。

また、顔を上げる意識よりも「あごを少し前に出す」くらいの意識の方が、姿勢が崩れにくくなります。水面から高く顔を出そうとしすぎると腰が沈んでしまうため、口が水面から出る最低限の高さで十分です。

呼吸動作で姿勢を崩さないポイント

呼吸の際に体が沈んでしまう、あるいは体が上下に揺れすぎてしまうのは、目線の位置に問題があることが多いです。息を吸おうとして天井や空を見上げてしまうと、頭が後ろに反り、ブレーキがかかります。また、お尻が下がって水の抵抗を大きく受けてしまいます。

呼吸時は、目線を「斜め前」の水面に置くようにしましょう。あごを引きすぎず、上げすぎず、首の後ろを長く保つイメージです。そして、息を吸ったらすぐに顔を水に戻す準備をします。

呼吸動作のチェックリスト

・水をかき込むパワーを利用して体を持ち上げているか
・目線は正面〜斜め下を向いているか
・息を吸う時間は短くコンパクトにしているか
・リカバリー(手を前に戻す)と同時に顔を水に入れているか

キックとの連動:手と足の協調性

平泳ぎのストロークを語る上で欠かせないのが、キックとのタイミングです。平泳ぎのリズムは「プル(手)→呼吸→キック(足)→伸び(グライド)」という順番で成り立っています。

最も避けたいのは、手と足を同時に動かしてしまうことです。手をかいている最中に足を引いてしまうと、水の抵抗が最大になり、ブレーキがかかってしまいます。正しいタイミングは以下の通りです。

  1. 手が水をかき込み、呼吸をする(足は伸びたまま)。
  2. 手がリカバリー(前に戻る)し始めたタイミングで、足を引く。
  3. 手が完全に伸びきった瞬間に、キックを打つ。
  4. 手足が揃って一直線になり、伸びる(グライド)。

特に重要なのは、4番目の「伸び」の時間です。ストロークとキックのタイミングが完璧に合ったとき、この「伸び」の瞬間に体は最も進みます。焦って次のストロークを始めず、ひと呼吸分だけでもしっかりと伸びる時間を確保してください。

よくある失敗例と改善ポイントをチェック

ここまで基本の動きを見てきましたが、プールサイドで他の方の泳ぎを見ていると、いくつかの共通した「もったいない動き」が見受けられます。ご自身の泳ぎがこれらに当てはまっていないか、チェックしてみましょう。

手を後ろまでかきすぎてしまう

クロールのように、手を太ももの横までかいてしまうのは、平泳ぎにおける最大のNG動作の一つです。平泳ぎのストロークは、あくまで「胸の前」まで。それ以上後ろにかいても、平泳ぎの場合は手を前に戻す際の抵抗が大きくなりすぎてしまい、結果としてマイナスになります。

改善ポイントとしては、自分の視界の中で手が動くように意識することです。手が視界から消えるほど後ろに行ってしまったら、かきすぎです。胸の前で「小さく前ならえ」をするような位置で手を止め、素早く前に戻す習慣をつけましょう。

肘が落ちて水を撫でてしまう

先ほどの「ハイエルボー」の逆の状態です。水をキャッチするときに肘から引いてしまい、手のひらが自分の方を向いてしまう状態です。これでは水を「押す」のではなく「撫でる」だけになり、体が浮きも進みもしません。

この癖を直すには、「肘を高い位置にキープする」という意識を強く持つ必要があります。また、脇を締めすぎないことも大切です。脇が締まると肘は自然と落ちてしまいます。脇の下にボールを挟んでいるようなイメージで、少し空間を空けておくと、肘を立てやすくなります。

肩に力が入りすぎて動きが硬い

「沈みたくない」「速く泳ぎたい」という焦りから、肩に力が入り、ガチガチになって泳いでいる方もよく見かけます。肩に力が入ると、リカバリー(手を前に戻す動作)がスムーズにいかず、手が水面に引っかかったり、動きが止まったりしてしまいます。

水泳の基本は「脱力」です。特にリカバリーの瞬間は、完全に力を抜いて、腕の重さを利用して前に放り投げるような感覚が必要です。肩を耳から遠ざけるように意識し、首を長く保つことで、肩の余計な緊張を解くことができます。

平泳ぎのストロークが劇的に変わるドリル練習法

理屈が分かっても、実際の泳ぎの中で修正するのは難しいものです。そこで役立つのが「ドリル練習」です。泳ぎの一部を切り取って集中的に練習することで、正しい動きを体に覚え込ませることができます。ここでは、ストローク改善に効果的な3つのドリルを紹介します。

スカーリングで水の感覚を養う

スカーリングは、水を感じるセンサー(手のひら)を磨くための最も基本的な練習です。平泳ぎのキャッチの感覚を養うには、「フロントスカーリング」がおすすめです。

うつ伏せで浮き、手を前に伸ばした状態で、手のひらを外側・内側へと小さく動かします。このとき、手首の角度を変えて、常に水圧を感じ続けるようにします。進むことよりも、手が水に重く引っかかる感覚を探すことが目的です。肘の位置を動かさず、前腕だけで無限大(∞)の字を描くように動かしてみましょう。

2キック1ストロークで伸びを意識する

通常の平泳ぎは「1回かいて1回蹴る」ですが、あえて「1回かいて2回蹴る」練習を行います。これを「2キック1プル」と呼びます。

1回目のキックで通常通り泳ぎ、手が前に伸びた状態で、もう一度キックを打ちます。これにより、ストロークの後の「グライド(伸び)」の時間を強制的に長く確保することができます。体が一直線に伸びて水の中を進んでいく気持ちよさを体感してください。この練習を繰り返すことで、慌ただしいストロークから卒業し、余裕のある大きな泳ぎが身につきます。

片手スイムで左右のバランスを整える

片手だけで平泳ぎのストロークを行い、もう片方の手は前に伸ばしたまま(あるいは体に添えたまま)にします。右手だけで25m、次は左手だけで25m、といった具合です。

片手で泳ぐと、バランスを取るのが難しくなります。そのため、体幹(コア)を意識せざるを得なくなります。また、片手でしっかりと水を捉えないと前に進まないため、キャッチやプルのごまかしが効きません。左右それぞれの腕の動きを確認し、弱い方の腕を重点的に練習することで、左右均等な力強いストロークが完成します。

まとめ:平泳ぎのストロークを見直して、楽に長く泳げるようになろう

まとめ
まとめ

平泳ぎのストロークについて、基本の4局面からハイエルボーの技術、タイミングの合わせ方まで詳しく解説してきました。最後に、今回の記事の要点を振り返ってみましょう。

この記事の要点まとめ

・ストロークは「アウトスイープ」「キャッチ」「プル」「リカバリー」の4つに分けて考える。
・「ハイエルボー」を意識し、肘を立てて前腕全体で水を捉えることが推進力のカギ。
・手は胸の前までかき込んだら、止まらずに素早く前へ戻す(かきすぎない)。
・呼吸はインスイープの揚力を利用し、目線は斜め前へ。
・「プル→呼吸→キック→伸び」のリズムを守り、特に「伸び」の時間を大切にする。

平泳ぎは、力任せに泳いでもなかなか進まない、奥の深い泳法です。しかし、ストロークの技術をひとつひとつ丁寧に磨いていけば、水の抵抗を味方につけ、驚くほど楽に進むようになります。

一度にすべてのポイントを修正するのは大変ですので、まずは「今日はキャッチの形を意識しよう」「次は伸びの時間を長くしよう」といったように、テーマを決めて練習に取り組んでみてください。正しいストロークを手に入れて、水と一体になるような心地よい平泳ぎを楽しんでくださいね。

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