水泳は全身運動で健康やダイエットに非常に効果的なスポーツですが、一方で「泳いだ後の肌の乾燥がひどい」「通い始めてから肌荒れしやすくなった」と悩む方も少なくありません。プールの水に含まれる消毒用の成分は、私たちの肌に少なからず影響を与えてしまうからです。
せっかく楽しく泳いでリフレッシュしても、肌トラブルがストレスになってしまってはもったいないですよね。健やかな肌を保ちながら水泳を続けるためには、泳ぐ前後の適切なケアと、肌のバリア機能を高める習慣が欠かせません。
この記事では、水泳による肌荒れや乾燥の根本的な原因から、今日からすぐに実践できる具体的な対策方法まで、分かりやすく丁寧に解説します。正しい知識を身につけて、しっとり潤いのある肌を守りながら、充実したスイミングライフを送りましょう。
水泳による肌荒れや乾燥の主な原因とは?塩素の影響を正しく知ろう

プールに入ると肌がカサカサしたり、かゆみを感じたりするのはなぜでしょうか。まずは、私たちの肌が水中でどのような影響を受けているのか、そのメカニズムを知ることから始めましょう。
プールに含まれる塩素が肌のバリア機能を低下させる
プールの水には、衛生管理のために「次亜塩素酸ナトリウム」などの塩素系消毒剤が必ず含まれています。この塩素は強力な殺菌作用を持っていますが、同時に強い酸化力も持っているのが特徴です。
塩素が肌に触れると、肌の表面にある角質層を保護している「皮脂」や、細胞の間を埋めている「細胞間脂質」を酸化させ、奪い去ってしまいます。これにより、肌の水分を蓄える力が弱まり、外部刺激から身を守るバリア機能が低下してしまうのです。
バリア機能が弱まった肌は、非常にデリケートな状態になります。乾燥が進むだけでなく、本来なら何でもないような刺激に対しても敏感に反応し、赤みやかゆみといった肌荒れ症状を引き起こしやすくなるのです。
長時間の入浴効果による皮脂の流出
水泳は、いわば「長時間お風呂に浸かっている」のと同じ状態を作り出します。水に浸かり続けることで、角質層が水分を吸ってふやけてしまい、細胞同士の結びつきが一時的に緩くなってしまいます。
この状態の肌は、中にある天然保湿因子(NMF)やセラミドといった潤い成分が非常に流れ出しやすくなっています。特に温水プールの場合は、冷たい水よりも皮脂が溶け出しやすいため、より乾燥のリスクが高まります。
泳いでいる最中は水の中にいるため乾燥を実感しにくいのですが、水から上がった瞬間に、ふやけた角質から一気に水分が蒸発していきます。この現象は「過乾燥」と呼ばれ、通常時よりも深刻な乾燥状態を招く原因となります。
プール水のpH値と肌への刺激の関係
私たちの健康な肌は、通常「弱酸性」に保たれています。これは、雑菌の繁殖を抑え、バリア機能を最適に保つための自然な状態です。しかし、プールの水は管理基準によって、中性に近いpH5.8〜8.6の範囲に調整されています。
長時間、弱酸性ではない水に触れ続けることで、肌の表面のpHバランスが崩れてしまいます。アルカリ側に傾いた肌はバリア機能が正常に働かなくなり、修復能力も低下するため、ダメージを受けやすくなるのです。
また、塩素が汗や尿などの有機物と反応して発生する「結合塩素(クロラミン)」も、肌への強い刺激となります。特有の「プールの臭い」の元となるこの成分は、目や鼻の粘膜だけでなく、皮膚に対しても強い刺激を与え、肌荒れを悪化させる要因となります。
【豆知識】塩素の酸化作用とは?
塩素には物質を錆びさせたり、分解したりする「酸化力」があります。これが菌を殺す力になるのですが、人間のタンパク質でできている肌や髪に対しても同様に働き、組織を傷めてしまう性質があります。
プールに入る前の準備で決まる!乾燥を防ぐ事前スキンケア対策

水泳による肌ダメージを減らすには、泳いだ後のケアだけでなく「泳ぐ前」の準備が非常に重要です。あらかじめ肌を守る壁を作っておくことで、塩素の浸透を最小限に食い止めることができます。
シャワーで全身を濡らして塩素の浸透を防ぐ
プールに入る直前に、必ず真水のシャワーで全身をたっぷりと濡らしましょう。これは単なるマナーではなく、立派な肌荒れ対策の一つです。乾いた状態の肌や髪は、スポンジのように周囲の水分をぐんぐんと吸収してしまいます。
あらかじめ真水を肌の角質層に浸透させておくことで、塩素を含んだプールの水が入り込む「隙間」を埋めることができます。これにより、皮膚の深いところまで塩素が浸透するのを防ぎ、ダメージを軽減させることが可能になります。
シャワーを浴びる際は、髪の毛も根本からしっかりと濡らすのがポイントです。表面だけでなく、全身を真水のベールで覆うようなイメージで、丁寧に時間をかけてシャワーを浴びるように習慣づけましょう。
ワセリンや保護クリームによるバリア形成
特に乾燥が気になる方や敏感肌の方は、プールに入る前に「ワセリン」などの油分主体のクリームを薄く塗るのが効果的です。ワセリンは肌の表面に膜を張り、水の侵入を物理的にブロックしてくれる役割を果たします。
ただし、施設によっては化粧品やクリームの使用を制限している場合があります。ベタベタに塗りすぎるとプールの水を汚したり、ゴーグルが曇ったりする原因になるため、注意が必要です。使用する際は、薄く伸ばしてしっかりと肌になじませる程度に留めましょう。
最近では、水泳選手向けに開発された「プレスイムローション」なども市販されています。これらは塩素を中和する成分や、水に強い保護膜を作る成分が含まれているため、肌荒れに悩む方には心強い味方となってくれます。
髪の毛や頭皮の乾燥対策も忘れずに
肌と同様に、髪の毛も塩素によるダメージを大きく受けます。髪のタンパク質が破壊されると、キシキシとした質感になり、色が抜けて茶色くなってしまうこともあります。頭皮もまた「皮膚」の一部ですので、乾燥によってフケやかゆみが出る場合があります。
最も効果的な対策は、「シリコン製のスイムキャップ」を着用することです。メッシュタイプのキャップは水を通しやすいため、髪が常に塩素水に浸った状態になります。シリコン製なら水の浸入を大幅にカットでき、物理的に塩素から髪を守れます。
もしシリコンキャップが苦手な場合は、あらかじめヘアオイルを薄くなじませてからキャップを被るのも一つの手です。髪の表面をコーティングすることで、塩素による酸化ダメージを抑え、パサつきを防ぐことができます。
事前にしっかり保湿していても、プールの水質や体質によっては完全に防ぎきれないこともあります。もし強い赤みやかゆみが出た場合は、無理をせず専門医に相談することをおすすめします。
泳いだ後のケアが最重要!肌荒れを最小限に抑えるアフターケア術

プールから上がった後は、一刻も早く肌の状態をリセットすることが大切です。プールサイドからシャワー室、脱衣所での数分間の行動が、翌日の肌のコンディションを大きく左右します。
塩素をしっかり洗い流すための丁寧なシャワー
プールから上がったら、まずは真水のシャワーで肌に付着した塩素を徹底的に洗い流してください。表面をサッと流すだけでは、毛穴や皮膚の凹凸に残った塩素を取り除くことはできません。ぬるま湯を使って、なでるように優しく洗い流しましょう。
この時、洗浄力の強すぎるボディソープの使用は避けてください。塩素でバリア機能が弱っている肌に、さらに強い界面活性剤(汚れを落とす成分)を使うと、残されたわずかな皮脂までも奪い去ってしまいます。
おすすめは、低刺激のアミノ酸系ソープを使うか、特に汚れが気にならない部分は真水だけで流す方法です。ゴシゴシとタオルでこするのも厳禁です。水気を拭き取る時は、柔らかいタオルで肌を優しく押さえる「ポンポン拭き」を徹底してください。
ビタミンC配合のスプレーで塩素を中和する
実は、普通のシャワーだけでは完全に塩素を除去しきれないことがあります。そこで活用したいのが「ビタミンC」です。ビタミンC(アスコルビン酸)には、塩素を化学的に中和して無害化する働きがあります。
市販のビタミンC配合スプレーを利用するか、スプレーボトルに精製水と少量のビタミンC粉末を混ぜて自作したものを用意しましょう。シャワーを浴びた後、全身にシュッと吹きかけるだけで、肌に残った残留塩素を効率よく取り除くことができます。
このひと手間を加えるだけで、塩素特有のピリピリ感や乾燥後のツッパリ感が驚くほど軽減されます。髪の毛にも使用できるため、ヘアケアとしても非常に有効な手段です。高価な美容液を使う前に、まずはこの「中和」を意識してみてください。
「5分以内」のスピード保湿が乾燥を防ぐ秘訣
プール上がりの肌は、急激に水分が失われていく「乾燥のゴールデンタイム」です。脱衣所に移動したら、着替えよりも先に保湿ケアを行うのが理想的です。理想は、タオルで拭いてから「5分以内」に保湿を完了させることです。
使用するアイテムは、水分を補う化粧水だけでなく、必ず油分を含んだ乳液やクリーム、ボディバターなどを重ねてください。バリア機能が低下しているため、水分だけではすぐに蒸発してしまいます。油分の蓋をすることで、補った潤いを肌の中に閉じ込めます。
特にスネや肘、膝などは皮脂腺が少なく乾燥しやすい部位です。また、顔の中でも皮膚が薄い目元や口元は念入りにケアしましょう。オールインワンタイプのジェルや、伸びの良いボディミルクなら、忙しい更衣室でも手早くケアが完了します。
毎日の生活習慣でサポート!水泳を楽しみながら強い肌を作る方法

外部からのケアだけでなく、体の内側から「乾燥しにくい肌」を作っていくことも重要です。日々の生活習慣を整えることで、プールによるダメージを跳ね返す健やかな肌の土台を築くことができます。
内側からの潤いを守る水分補給のポイント
水泳中は意外と多くの汗をかいていますが、水の中にいるため自覚しにくいものです。体内の水分が不足すると、血液の巡りが悪くなり、肌の細胞に栄養が行き渡らなくなります。その結果、肌が本来持つ修復力が低下し、乾燥しやすくなってしまいます。
泳ぐ前、泳いでいる最中(休憩時)、そして泳いだ後には、こまめに水分を摂取しましょう。一度に大量に飲むのではなく、コップ1杯程度の量を回数を分けて飲むのが効果的です。常温の水や、ミネラルを補給できる麦茶などが適しています。
喉が渇いたと感じる前に飲むのが、脱水を防ぎ、肌の潤いを保つコツです。体内の水分バランスが整うことで、肌のキメが整い、外部の刺激に対しても強い耐性を持つようになります。美容のためにも、まずは「意識的な水分補給」を心がけてください。
美肌を育む食事とビタミン摂取の重要性
健やかな肌を作る材料は、すべて日々の食事から作られます。特に水泳を習慣にしている方は、肌のターンオーバー(生まれ変わり)を助ける栄養素を積極的に取り入れましょう。意識したいのは「ビタミンA・C・E」の3つ、通称「ビタミンエース」です。
| ビタミン | 主な働き | 多く含まれる食材 |
|---|---|---|
| ビタミンA | 皮膚や粘膜の健康維持、バリア機能強化 | レバー、うなぎ、ほうれん草、人参 |
| ビタミンC | コラーゲンの生成を助ける、酸化を防ぐ | キウイ、ブロッコリー、パプリカ、イチゴ |
| ビタミンE | 血行促進、肌の老化を防ぐ(若返りのビタミン) | アーモンド、アボカド、かぼちゃ、植物油 |
また、肌の主成分である「タンパク質」もしっかり摂取してください。運動量が多いスイマーは、筋肉だけでなく肌の修復にもタンパク質が使われるため、不足しがちです。肉・魚・卵・大豆製品をバランスよく食べ、細胞レベルで肌を強化していきましょう。
睡眠不足が肌のリカバリーを妨げる理由
肌のダメージを修復する「成長ホルモン」は、主に睡眠中に分泌されます。どんなに高価なクリームを塗っても、十分な睡眠が取れていなければ、肌の細胞はうまく再生されません。水泳で疲れた体と肌には、質の高い休息が不可欠です。
水泳は適度な疲労感をもたらすため、深い眠りに入りやすいというメリットがあります。しかし、泳いだ後に長時間スマートフォンを見続けたり、夜更かしをしたりすると、自律神経が乱れて睡眠の質が低下してしまいます。
特に泳いだ日は、いつもより30分早く寝ることを意識してみましょう。寝ている間にダメージを受けた皮膚組織が修復され、翌朝には肌のハリや潤いが回復しているはずです。睡眠こそ、最高の「天然の美容液」であることを忘れないでください。
プール施設選びやアイテム活用で肌への負担を減らすコツ

通うプールの環境や、使用するアイテムを工夫することでも、肌への負担は大きく変わります。自分の肌質に合わせて、より優しい選択肢を見つけてみましょう。
施設によって異なる消毒方法や水質管理
一般的に「塩素」が主流ですが、最近では肌や目に優しい最新の浄化システムを導入している施設も増えています。例えば、「オゾン殺菌」や「電解水殺菌」などを併用しているプールは、塩素濃度を低く抑えることができるため、肌への刺激が少ない傾向にあります。
また、海に近い地域では「海水プール(塩水プール)」を採用しているところもあります。塩分には保湿効果や殺菌効果があり、通常の塩素プールよりも肌荒れしにくいと感じる人が多いようです。通える範囲に複数の施設があるなら、水質で選んでみるのも一つの手です。
プールの透明度や臭いもチェックポイントです。塩素の臭いがきつすぎる場所は、汚れと反応した「結合塩素」が多い可能性があります。清潔で管理が行き届いたプールを選ぶことは、快適な水泳だけでなく、肌を守ることにも直結します。
敏感肌の人に優しい水着やスイムキャップの選び方
肌に直接触れる水着の素材も、摩擦によって肌荒れを誘発することがあります。特に縫い目やゴムの締め付けが強い部分は、肌が赤くなったりかゆくなったりしやすい箇所です。サイズ選びは慎重に行い、締め付けすぎないものを選びましょう。
最近では、化学繊維による刺激を抑えた敏感肌用の水着や、縫い目を最小限にしたシームレス設計のものも登場しています。また、肌の露出を抑える「ラッシュガード」や「セパレートタイプ」の水着を着用することで、直接プールの水に触れる面積を減らすことができます。
スイムキャップについても、前述の通りシリコン製がおすすめですが、シリコン自体で蒸れて痒くなる場合は「内側がメッシュ、外側がポリウレタン」の2重構造タイプを試してみてください。髪の保護と快適性を両立できる場合があります。
屋外プールでの紫外線対策と肌ケアの両立
夏場の屋外プールやリゾート地のプールでは、塩素に加えて「紫外線」という大きな敵が現れます。紫外線は肌の乾燥を加速させるだけでなく、炎症(日焼け)を引き起こし、バリア機能を壊滅的な状態にしてしまいます。
屋外で泳ぐ際は、必ず「水に強い(ウォータープルーフ)」タイプの日焼け止めを使用しましょう。最近では環境に配慮し、サンゴを傷つけない成分で作られたものも増えています。こまめに塗り直すことが理想ですが、難しい場合はラッシュガードの着用が最も確実な対策になります。
紫外線を浴びた後の肌は、いわば「軽度の火傷」を負っている状態です。塩素の刺激も加わっているため、アフターケアは通常の水泳後よりもさらに念入りに行う必要があります。まずは冷たいシャワーやタオルで肌を十分に冷やしてから、たっぷりと保湿を行ってください。
自分に合った環境やアイテムを揃えることで、肌の悩みは大幅に改善されます。少しの工夫で、水泳後の肌の状態は見違えるほど良くなるはずです。
水泳後の肌荒れ・乾燥対策を習慣にして楽しく泳ぎ続けよう
水泳による肌荒れや乾燥は、プールの塩素が主な原因ですが、適切な知識を持って対策を講じることで十分に防ぐことができます。大切なのは、「泳ぐ前・泳いでいる最中・泳いだ後」のそれぞれのタイミングでケアを怠らないことです。
プールに入る前の真水シャワーやワセリンでの保護、上がった後のビタミンCによる中和とスピード保湿、そして内側からの栄養補給と睡眠。これらの一つひとつは小さなステップですが、積み重ねることで肌のバリア機能は見違えるほど強くなります。
水泳は心身ともにリフレッシュできる素晴らしい習慣です。肌トラブルのためにその楽しみを諦める必要はありません。今回ご紹介した対策を参考に、自分の肌に合ったルーティンを見つけ、いつまでも潤いのある健康的な肌で水泳を楽しんでください。


