平泳ぎ初心者がコツをつかんで楽に泳ぐための上達ガイド

平泳ぎ初心者がコツをつかんで楽に泳ぐための上達ガイド
平泳ぎ初心者がコツをつかんで楽に泳ぐための上達ガイド
泳ぎ方のコツ・技術

「クロールは泳げるのに、なぜか平泳ぎだけは苦手……」
「足の動きが難しくて、どうしても前に進まない」

このように感じている方は意外と多いのではないでしょうか。平泳ぎは、手と足の動きが異なり、さらにタイミングを合わせる必要があるため、初心者にとっては少し複雑に感じる泳ぎ方です。しかし、一度コツをつかんでしまえば、実は最も体力の消耗が少なく、長く楽に泳ぎ続けられる泳法でもあります。

この記事では、平泳ぎに苦手意識を持っている方や、これから練習を始める初心者の方向けに、無理なく上達するためのポイントを一つひとつ丁寧に解説していきます。水泳教室に通わなくても、ご自身のペースで理解できるよう、具体的な体の動かし方から練習法までを網羅しました。ぜひ、この記事を読んで、スイスイと優雅に進む平泳ぎをマスターしてください。

平泳ぎ初心者が知っておきたい基本姿勢と進むメカニズム

平泳ぎの練習を始める前に、まずはこの泳ぎ方がどのような仕組みで前に進むのか、そして何が最も大切なのかという基本を理解しておきましょう。闇雲に手足を動かすのではなく、理屈を知ることで上達のスピードは格段に上がります。平泳ぎは「抵抗」との戦いであり、「伸び」を利用する独特な泳法です。

水の抵抗を減らす「ストリームライン」が最重要

水泳において、すべての泳ぎの基本となるのが「けのび」の姿勢、つまりストリームラインです。特に平泳ぎは、手足を引き寄せる動作で大きな水の抵抗を受けてしまうため、その分、抵抗の少ない姿勢を作れるかどうかが勝負の分かれ目となります。

初心者の多くは、手足を動かすことばかりに意識がいきがちですが、まずは「何もしないで浮いている時間」を大切にしてください。両手を頭の後ろで組み、耳を腕で挟むようにして、足先まで一直線に伸ばします。この姿勢が崩れていると、いくら強くキックをしてもブレーキがかかった状態でアクセルを踏むようなものになってしまいます。

まずは壁を蹴って、けのびだけで5メートル以上進めるように練習しましょう。体が一直線になり、水面近くを滑るように進む感覚をつかむことが、平泳ぎ上達の第一歩です。

「キック」と「プル」の役割分担を理解する

クロールや背泳ぎは、手と足を絶え間なく動かして推進力を得ますが、平泳ぎは動きが断続的です。「進む瞬間」と「休む瞬間(伸びる瞬間)」がはっきりと分かれているのが特徴です。

平泳ぎの推進力の約7〜8割は「キック(足の動作)」によって生み出されます。手の動作(プル)は、主に息継ぎをするために顔を水面に出す役割と、次のキックへ繋ぐためのリズム取りがメインだと考えてください。

初心者が陥りやすいミスは、手で必死に水をかいて進もうとすることです。手の力に頼りすぎると、体が立ってしまい足が沈む原因になります。「足で進んで、手は呼吸のサポート」という意識を持つだけで、余計な力が抜けてスムーズに泳げるようになります。

「伸び」の時間こそが進んでいる時間

平泳ぎを見ていて「優雅だな」と感じるのは、手足が伸びきってスーーッと進んでいる瞬間があるからです。実は、平泳ぎで最もスピードが出ているのは、キックを打ち終わった直後のこの「伸び(グライド)」の時間です。

初心者は、沈むのが怖くて手足を動かし続けてしまいがちですが、これではせっかく生まれた推進力を次の動作で消してしまうことになります。キックを打ったら、心の中で「1、2」と数えるくらいの間(ま)を作って、体を一直線にして待ちましょう。
この「待つ時間」を作ることが、楽に長く泳ぐための最大の秘訣です。焦らずに、水に乗って進む感覚を楽しんでください。

推進力を生む足の動作!キックを極める練習法

平泳ぎにおいて最も難しく、かつ重要なのが足の動作です。「カエル足」とも呼ばれますが、実際のカエルの動きとは少し異なり、人間が水中で効率よく進むための独特な形が求められます。ここでは、初心者がつまずきやすいポイントを解消し、力強い推進力を生むキックのコツを4つのステップで詳しく解説します。

かかとをお尻に引き寄せる「引きつけ」

キックの準備動作として、まずは足を体に引き寄せる動きから始まります。このとき最も大切なのは、「膝をお腹に近づける」のではなく、「かかとをお尻に近づける」という意識です。
膝を過度にお腹の方へ引き寄せてしまうと、太ももが水の抵抗を大きく受けてしまい、ブレーキがかかります。膝の位置はなるべく動かさず、膝から下だけを折りたたむようなイメージで、かかとをお尻の方へ持ってきましょう。

このとき、足の力はできるだけ抜いておくのがポイントです。力が入っているとスムーズに引きつけられません。スッと脱力して、かかとをお尻にタッチするような感覚で引き寄せてみてください。

ポイント:膝の開き具合
膝を閉じすぎると足首が曲げにくくなり、開きすぎると抵抗が増えて力が逃げてしまいます。膝の間隔は「こぶし1つ〜1.5個分」くらい開けるのが理想的です。

足首を直角に曲げる「足の裏の準備」

平泳ぎのキックで初心者が最も苦戦するのが、この「足首を返す(曲げる)」動作です。引きつけた足で水を蹴る直前に、足首を90度に曲げ、つま先を外側に向けます。ペンギンの足のように、足の裏が真後ろを向く形を作る必要があります。

もし足首が伸びたままで蹴ってしまうと、足の甲で水をなでるだけになり、全く前に進みません。これを「あおり足」と呼び、多くの初心者がここでつまずきます。
陸上で練習する際は、椅子に座った状態で足を引きつけ、つま先を外に向けて足首をしっかり曲げる動きを繰り返してください。「足の裏で後ろの壁を蹴る」というイメージを持つと、正しい形を作りやすくなります。

円を描くように水を押し出す「ウィップキック」

足の裏の準備ができたら、いよいよ水を蹴ります。このとき、単に後ろに足を伸ばすだけでなく、少し外側へ蹴り出してから、内側に絞り込むような円運動(弧を描く動き)を行います。これを「ウィップキック(ムチのようなキック)」と呼びます。

水を「蹴る」というよりも、足の裏とふくらはぎの内側を使って、水を後ろに「押し出しながら挟み込む」感覚に近いです。

膝を支点にして、足先で半円を描くように動かしてみましょう。蹴り出しの瞬間からスピードを上げ、最後まで一気に動かすことで大きな推進力が生まれます。

内ももを意識して足を閉じる「挟み込み」

キックの最後は、開いた足を勢いよく閉じ、両足がピタリと揃うところまで行います。実は、この「足を閉じる動作」こそが、最後にひと伸びするための重要な要素です。

水を後ろに押し出した後、内もも同士を強くぶつけるようなつもりで、素早く足を閉じます。このとき、足の裏で捉えた水を、両足の間でギュッと絞り出すようなイメージを持ってください。
足を閉じ終わった瞬間、足首の力も抜いてつま先を伸ばし、最初の「ストリームライン(一直線の姿勢)」に戻ります。ここで完全に脱力して伸びることで、キックで生まれたパワーがそのまま前進する力に変わります。

呼吸を楽にする手の動き!ストロークのポイント

足の動作がある程度できるようになったら、次は手の動き(ストローク)です。平泳ぎの手の動きは、大きく分けて「水をキャッチする」「呼吸のために体を持ち上げる」「前に戻す」の3段階です。シンプルですが、動かしすぎると逆効果になることもあるため、コンパクトで効率的な動きを目指しましょう。

「逆ハート型」を描くコンパクトな動き

平泳ぎの手の動きを覚える際、「ハートを描くように」と言われることがよくあります。胸の前で小さな逆三角形、あるいはハートの上半分を描くような軌道をイメージしてください。

まず、両手を前に伸ばした状態から、手のひらを外側に向け、少し広げながら水を捉えます(キャッチ)。そこから、脇を締めるようにして胸の前まで手をかき込みます。

初心者は、大きく進もうとして手を体の横や後ろまで大きくかいてしまいがちですが、これはNGです。手が肩のラインより後ろに行ってしまうと、手を前に戻す際の抵抗が大きくなり、失速の原因になります。

「手は常に視界の中にある範囲で動かす」ことを意識しましょう。小さな動きのほうが、次の動作へ素早く移れ、結果的に楽に泳げます。

脇を締めて体を持ち上げる

水をかいて手を胸の前に持ってくるタイミングで、脇をキュッと締めます。この動作によって上半身が自然と持ち上がり、顔が水面に出やすくなります。

手の力だけで体を持ち上げようとせず、脇を締める反動を利用するのがコツです。肘を立てて水を抱え込むようにし、その水を胸の下に集めるイメージを持つと良いでしょう。

このとき、目線は無理に前を見すぎないようにしてください。顎を上げすぎると腰が沈んでしまいます。水面ギリギリに口が出れば十分ですので、斜め前を見るくらいの首の角度を保つと、安定した姿勢で呼吸ができます。

抵抗を最小限にして素早く手を前に戻す

呼吸が終わったら、すぐに手を前に戻します(リカバリー)。この動作は、できるだけ素早く、そして抵抗を少なく行うことが重要です。

胸の前で合わせた両手を、槍のように鋭く前へ突き出します。水面の上を滑らせるように戻すか、あるいは水面直下を真っ直ぐ突き刺すように戻します。

この戻す動作が遅いと、体が沈み始めてしまいます。「かいたらすぐに戻す」というリズムを体に覚え込ませましょう。手を前に伸ばしきった瞬間が、次の「伸び」の始まりです。肩の力を抜き、耳の後ろに腕が来るようなきれいなストリームラインへスムーズに移行しましょう。

苦しくない息継ぎとコンビネーションのコツ

手と足、それぞれの動きがわかっても、それを組み合わせると急に難しくなるのが平泳ぎです。「息継ぎをすると沈んでしまう」「手足がバラバラになる」という悩みは、タイミングを整理することで解決できます。ここでは、スムーズな呼吸と、手足の協調動作について解説します。

タイミングの合言葉は「プル・ブレス・キック・伸び」

手と足の動きを同時に行ってしまうと、推進力が打ち消し合ってしまい、前に進みません。平泳ぎのリズムは、動作を少しずつずらすことが大切です。
覚えやすいリズムは「手(プル)→ 呼吸(ブレス)→ 足(キック)→ 伸び」の順番です。

1. :水をかき始めると同時に顔を上げ始めます。
2. 呼吸:手が胸の前に来た瞬間に「パッ」と息を吸います。
3. :手を前に戻し始めたタイミングで足を引きつけ、手が伸びきると同時にキックを打ちます。
4. 伸び:手足が一直線になった状態で2〜3秒進みます。

特に重要なのは、「手が伸びてから足が蹴り終わる」というわずかな時間差です。手が前に戻り、抵抗のない姿勢を作ってからキックのパワーを爆発させることで、驚くほど進むようになります。

顔を上げすぎないことが沈まないコツ

息継ぎの際、どうしても空気をたくさん吸いたくて、頭を高く上げようとしてしまう方がいます。しかし、頭が高く上がれば上がるほど、シーソーの原理で下半身(足側)は深く沈んでしまいます。

下半身が沈むと水の抵抗が増え、次のキックを打つ体勢も崩れてしまいます。息継ぎは「水面から口だけ出す」くらいの低い姿勢を目指しましょう。

また、息を吸うことよりも「吐くこと」を意識してください。水中で鼻からブクブクと息を吐ききっておけば、顔を上げた瞬間に自然と空気が入ってきます。吐く動作が不十分だと、吸うのに時間がかかり、顔を上げている時間が長くなって体が沈む原因になります。

グライド(伸び)で体をリセットする

コンビネーションの中で最も意識してほしいのが、やはり「グライド(伸び)」の時間です。この時間は、単に進んでいるだけでなく、体を水平な姿勢(フラットな状態)にリセットする時間でもあります。

息継ぎで少し沈んだ腰を、伸びることで再び水面近くまで浮かせます。初心者のうちは、この伸びの時間を少し長めにとることをおすすめします。
「キックして、1、2、3」と数えるくらい待ってみてください。体が水面に浮き上がってくる感覚がつかめれば、連続して泳いでも疲れにくくなります。焦って次の動作に移るのではなく、余裕を持って伸びを感じることが、きれいな平泳ぎへの近道です。

初心者が陥りやすいミスと改善策

練習をしていると、どうしても上手くいかない壁にぶつかることがあります。ここでは、初心者が特によくやってしまうミスと、それを修正するための具体的な方法を紹介します。自分の泳ぎに当てはまっていないかチェックしてみてください。

あおり足(足首が伸びている)の修正

前述した通り、足首が伸びたまま水を蹴ってしまう「あおり足」は、平泳ぎで最も多い悩みです。進まないだけでなく、膝を痛める原因にもなります。

これを直すには、プールサイドに座って行う足首のストレッチが有効です。足首を直角に曲げた状態(フレックス)をキープする感覚を養いましょう。

水中での練習としては、ビート板を持って、足の裏で壁を蹴ってスタートする練習がおすすめです。壁を蹴ったときの「足の裏に重みがかかる感覚」を覚え、その感覚をキックの際にも再現するように意識してみてください。足首が固い方は、お風呂上がりなどに足首の柔軟体操をすることも効果的です。

キックの時に膝がお腹の下まで来てしまう

キックの引きつけで、膝を過剰にお腹の下まで引いてしまうと、太ももが大きな抵抗となりブレーキがかかります。また、お尻が浮いてしまい、空回りのキックになりやすいです。

これを改善するには、ビート板をお腹の下に敷いて泳ぐ練習を試してみてください。もし膝を引きすぎると、ビート板が邪魔になって蹴りにくくなります。膝の位置を固定し、かかとだけをお尻に近づける感覚をつかむのに最適なドリル練習です。

意識としては「膝は動かさず、膝から下だけを動かす」くらい極端に考えてもちょうど良いでしょう。

手足が同時に動いてしまう(カエル泳ぎ)

手と足が同時に縮んで、同時に伸びる動きは、いわゆる「昔のカエル泳ぎ」のような状態で、効率が悪くすぐに疲れてしまいます。

この癖を直すには、「片手平泳ぎ」という練習がおすすめです。ビート板を片手で持ち、もう片方の手だけでストロークを行います。呼吸のタイミングとキックのタイミングを片手だけで行うことで、脳が動作の順序を整理しやすくなります。

また、陸上で立って鏡を見ながら、「手、手、足、足」と声に出して動作確認をするのも有効です。頭で理解できていない動きは水中では再現できませんので、まずは陸上でリズムを完璧にしてから水に入りましょう。

平泳ぎ初心者がコツを意識して上達するためのまとめ

まとめ
まとめ

平泳ぎは、力任せに泳ぐのではなく、タイミングと姿勢を大切にすることで、誰でも楽に泳げるようになる泳法です。最初は手足の動きがバラバラになったり、思うように進まなかったりするかもしれませんが、焦る必要はありません。

上達のための重要ポイント振り返り

基本姿勢:すべての動作の終わりは、一直線の「ストリームライン」に戻る。
足の動作:足首をしっかり曲げて、足の裏で水を挟み込む「ウィップキック」を意識する。
手の動作:小さく「ハート型」を描き、かきすぎずに素早く前に戻す。
タイミング:手と足を同時に動かさず、「伸び(グライド)」の時間をたっぷりとる。

まずは、足の形だけ、手の形だけといった部分練習から始め、少しずつ動きを組み合わせていくのが最短ルートです。特に「伸びる時間」を楽しめるようになれば、平泳ぎはもっとも気持ちの良い泳ぎに変わります。

今回の記事で紹介したコツを一つずつ試しながら、水の中を滑るような感覚を見つけてください。あなたの平泳ぎが、楽に、そして美しく進化することを応援しています。

タイトルとURLをコピーしました