懸垂は水泳に効果絶大!タイムが伸びる理由と正しいやり方を解説

懸垂は水泳に効果絶大!タイムが伸びる理由と正しいやり方を解説
懸垂は水泳に効果絶大!タイムが伸びる理由と正しいやり方を解説
筋トレ・陸トレ・体作り

「陸上トレーニングで本当に水泳が速くなるの?」そんな疑問を持っていませんか。水泳のパフォーマンスを上げるために、陸上でできる最も効果的なトレーニングの一つ、それが「懸垂(チンニング)」です。

トップスイマーの多くが練習メニューに取り入れているこの種目は、水をかくための筋肉をダイレクトに鍛えられる、まさに「水泳のための筋トレ」と言っても過言ではありません。この記事では、なぜ懸垂が水泳に効くのか、そして初心者でもできる正しいやり方やコツをわかりやすく解説します。

懸垂が水泳のパフォーマンスアップに欠かせない理由

懸垂は単なる力自慢のための運動ではありません。水泳において「速く泳ぐ」ための要素が凝縮されたトレーニングです。ここでは、具体的にどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

「水をかく力」が飛躍的に向上する

水泳で前に進むための推進力の大部分は、手で水をかく動作(プル動作)から生まれます。懸垂はこの動作で使われる筋肉を最も効率よく鍛えることができます。

自分の体重を引き上げる動きは、水中での「キャッチ(水を捉える瞬間)」から「プル(水をかき込む動作)」に直結します。懸垂で養った筋力は、後半の疲れが出る場面でも力強いストロークを維持する土台となります。

ストリームラインを維持する体幹が強くなる

懸垂は腕や背中の筋肉だけで行うものではありません。体が揺れないように制御するため、腹筋や背筋といった「体幹」も同時に使われます。

水泳の基本姿勢である「ストリームライン(けのび姿勢)」を維持するには、強い体幹が必要です。懸垂で体が一直線になる感覚を養うことで、水中でも抵抗の少ない姿勢を保ちやすくなり、結果としてタイム短縮につながります。

肩甲骨周りの柔軟性と安定性が高まる

正しいフォームで懸垂を行うと、肩甲骨が大きく動きます。これにより、肩周りの可動域が広がると同時に、関節を安定させるインナーマッスルも強化されます。

水泳は肩を酷使するスポーツですが、肩甲骨周りが柔軟かつ強くなることで、スムーズな腕の回転が可能になります。これはパフォーマンス向上だけでなく、スイマー特有の肩の怪我(スイマーズショルダー)の予防にも役立ちます。

ここがポイント!

懸垂は「背中」と「体幹」を同時に鍛えられるため、水泳に必要な推進力と姿勢保持能力を一石二鳥で高めることができます。

水泳で使う筋肉と懸垂で鍛えられる部位の関係

「どこに効いているか」を意識することは、トレーニング効果を最大化するために重要です。水泳の動きと照らし合わせながら、懸垂で鍛えられる主な筋肉を解説します。

広背筋(こうはいきん):推進力のエンジン

背中の脇の下から腰にかけて広がる大きな筋肉です。クロールやバタフライで腕を上から下へ引き下ろす動作、つまり水をかいて体を前に運ぶメインエンジンの役割を果たします。

懸垂の動作はこの広背筋を主動筋として使うため、スイマーにとっては最も優先度の高い筋肉と言えます。ここが発達すると、一かきで進む距離(ストローク長)が伸びます。

大円筋(だいえんきん):広背筋のサポート役

肩甲骨の外側にある筋肉で、広背筋とともに腕を引き寄せる働きをします。特に腕を広げた状態から閉じる動作で強く働くため、クロールのキャッチの瞬間に重要になります。

懸垂で脇を開いて行うワイドグリップの動作では、この大円筋にも強い刺激が入ります。

上腕二頭筋(じょうわんにとうきん):フィニッシュの押し込み

いわゆる「力こぶ」の筋肉です。懸垂で体を引き上げる際、補助的に働きます。

水泳では、水をかき切る「フィニッシュ動作」や、平泳ぎのかき込み、背泳ぎのプッシュ動作で活躍します。水を最後まで強く押し切るために必要な筋肉です。

広背筋を意識するコツ

腕の力だけで上がろうとせず、「肘(ひじ)を腰にぶつける」イメージで体を引き上げると、自然と広背筋が使われやすくなります。

泳法に合わせて変えたい!懸垂のバリエーション

懸垂には手の幅や持ち方によって、鍛えられる部位が変わるという特徴があります。自分の専門種目や強化したいポイントに合わせて、フォームを使い分けてみましょう。

順手・ワイドグリップ(クロール・バタフライ・背泳ぎ)

手のひらを自分と反対側に向け(順手)、肩幅よりも広めにバーを握る方法です。最もオーソドックスですが、負荷も高いフォームです。

この持ち方は「広背筋」への刺激が最大になります。クロール、バタフライ、背泳ぎなど、大きなストロークで水を捉える泳法の選手に最適です。「逆三角形の背中」を作るのにも最も効果的です。

逆手・ナローグリップ(平泳ぎ・フィニッシュ強化)

手のひらを自分の方に向け(逆手)、肩幅かそれより少し狭く握る方法です。一般的に「チンニング」と呼ばれることもあります。

このフォームは「上腕二頭筋」と「広背筋下部」への関与が強くなります。平泳ぎの脇を締める動作や、全泳法共通のフィニッシュ(水を押し切る動作)の強化に向いています。比較的上がりやすいので、初心者にもおすすめです。

パラレルグリップ(肩の保護・バランス)

手のひらが向き合うように握れるハンドルがある場合に行う方法です。手首や肩への負担が少なく、自然な関節の動きで行えます。

広背筋と腕の筋肉をバランスよく使えるため、怪我が心配な場合や、フォームを安定させたい場合に取り入れると良いでしょう。長距離を泳ぐ選手など、持久的な筋力をつけたい時の基礎作りにも適しています。

L字懸垂(短距離・体幹強化)

足を前に出して、体と足が「L字」になるように直角に保ったまま行う懸垂です。非常に強度は高いですが、短距離選手には特におすすめです。

常に腹筋に力を入れた状態で行うため、水中で腰が落ちないための強力な体幹を作ることができます。ストロークのパワーと同時に、姿勢維持能力を極限まで高めたい場合に挑戦してみてください。

スキャプラ・プルアップ(フォームの土台作り)

肘を曲げずに、ぶら下がった状態から「肩甲骨の上げ下げ」だけを行うトレーニングです。体を引き上げる最初の初動動作になります。

「懸垂をすると腕ばかり疲れる」という人は、背中の筋肉を使えていない可能性があります。この種目で肩甲骨を寄せて下げる感覚を覚えることで、水をキャッチする際の「背中で引く」感覚が養われます。

メモ: バリエーションを変えることで、筋肉への刺激がマンネリ化するのを防げます。週ごとにメインの種目を変えるのも効果的です。

懸垂ができない人でも大丈夫!段階的なトレーニング法

「そもそも懸垂が1回もできない」という方も安心してください。特に水泳選手は、筋肉量よりも浮力を重視する体型の人も多く、最初はできなくて当たり前です。ここでは、0回から1回を目指すためのステップアップ法を紹介します。

斜め懸垂(インバーテッド・ロウ)

低い鉄棒や、ジムのマシンを使って行います。足を地面につけた状態で、体を斜めにしてバーを握り、胸を引き寄せます。

足で体重を支えられるため負荷が軽く、背中の筋肉を使う感覚を養うのに最適です。体の角度が地面と水平に近づくほど負荷が高くなります。まずはこの種目で10回×3セットを目指しましょう。

ネガティブ・プルアップ(下りるだけ懸垂)

椅子や台を使ってジャンプしてトップポジション(顎がバーの上にある状態)まで上がり、そこから「ゆっくりと」時間をかけて下りてくる方法です。

筋肉は縮む時よりも、伸ばされながら耐える時(エキセントリック収縮)の方が強い力を発揮できます。5秒〜7秒くらいかけてじわじわと下りることで、懸垂に必要な筋力が効率よくつきます。

チューブ・アシスト懸垂

トレーニング用のゴムバンド(チューブ)をバーに結び、その輪の中に足や膝を入れて行います。チューブの縮む力が体を持ち上げるのを助けてくれます。

ゴムの太さで補助の強さを調整できるのがメリットです。正しいフォームを崩さずに回数をこなせるため、実際の懸垂に近い動きで神経系を鍛えることができます。

ぶら下がりキープ(デッドハング)

まずはシンプルに、バーにぶら下がって耐える時間を伸ばします。握力(前腕)が弱いと、背中を使う前に手が離れてしまいます。

水泳のキャッチでも、水を逃さないためには指先から前腕にかけての一定の筋力が必要です。30秒〜1分間、余裕を持ってぶら下がれるようになると、懸垂のスタートラインに立てます。

水泳選手が陥りやすい懸垂のNGフォームと注意点

せっかくトレーニングをしていても、フォームが間違っていると効果が半減するどころか、肩や肘を痛める原因になります。特に水泳選手が注意すべきポイントをまとめました。

反動を使って上げてしまう

体を前後に振ったり、足をバタつかせたりして反動で上がる(キッピング)のは避けましょう。クロスフィットなどの競技では良しとされますが、水泳の筋力アップとしては不向きです。

水泳では「水を捉えて運び続ける」持続的な力が必要です。反動を使うと負荷が抜け、狙った筋肉に効きません。体幹を固め、コントロールされた動作で行うことが大切です。

肩がすくんだまま行っている

疲れてくると、首をすくめて肩が耳に近づいた状態で無理やり上がろうとしがちです。これでは広背筋ではなく、首周辺の僧帽筋上部にばかり力が入ってしまいます。

水泳のストロークでも、肩が上がると水をつかめなくなります。「首を長く保つ」意識で、肩を下げたまま動作を行うようにしましょう。

可動域が狭すぎる

きついからといって、腕が伸び切らない位置から始めたり、顎がバーまで届かない位置で止めたりしていませんか?

水泳のストロークは「最大限に遠くへ手を伸ばし、最後までかき切る」ことが重要です。懸垂でも可動域をフルに使うことで、ストローク長を伸ばすための柔軟で強い筋肉が作られます。

呼吸も忘れずに!

息を止めると血圧が上がり危険です。体を上げながら息を吐き、下ろしながら息を吸うのが基本です。リズミカルな呼吸は、水泳のリズム作りにも通じます。

まとめ

まとめ
まとめ

懸垂は、水泳に必要な「推進力」「体幹」「肩周りの安定性」をまとめて鍛えられる、非常に効率的なトレーニングです。プールの練習だけでなく、陸上での懸垂を取り入れることで、壁にぶつかっていたタイムが更新できるかもしれません。

最後に、今回のポイントを振り返ります。

  • 広背筋を強化: 水をかくメインエンジンを大きくし、ストロークを力強くする。
  • 目的に応じたフォーム: クロールなら順手ワイド、平泳ぎなら逆手など、泳法に合わせてグリップを変える。
  • できなくても焦らない: 斜め懸垂やネガティブ動作から始めれば、誰でも必ずできるようになる。
  • 正しいフォームが命: 反動を使わず、肩を下げて行うことで、水泳に活きる筋肉がつく。

最初は1回もできなくても、継続すれば必ず体は変わります。まずは週に2〜3回、無理のない範囲から始めて、水中での「進む感覚」の変化を楽しんでください。

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