「セームタオルを使いたいけれど、体に悪いって本当?」「肌荒れするって聞いたけど大丈夫?」
水泳やアウトドアで便利なセームタオルですが、インターネット上で検索すると「体に悪い」といった不穏なキーワードを目にして不安になっている方もいるかもしれません。
結論から言うと、セームタオルそのものが体に有毒なわけではありません。しかし、「間違った使い方」や「不適切な管理」をすることで、肌トラブルを引き起こすリスクがあるのは事実です。
この記事では、なぜセームタオルが体に悪いと噂されるのか、その原因を深掘りしつつ、肌を守りながら快適に使うための正しい知識をわかりやすく解説します。不安を解消して、便利なアイテムを賢く使いこなしましょう。
セームタオルが「体に悪い」と言われる4つの理由

セームタオルは、非常に高い吸水性を持つ便利なアイテムですが、なぜ「体に悪い」というイメージが一部にあるのでしょうか。
その背景には、素材の特性や、一般的なタオルとは異なる使用感が関係しています。
ここでは、肌トラブルや不快感の原因となりやすい4つのポイントについて詳しく解説します。
乾燥してカチカチの状態で肌を傷つけている
セームタオル、特に従来のPVA素材(スポンジ状の素材)のものは、乾燥するとカチカチに硬くなるという特徴があります。
これは素材の仕様なのですが、久しぶりに使う時や急いでいる時に、この硬い状態のまま無理やり体を拭こうとしてしまうケースが意外と多いのです。
硬化したセームタオルは、まるでプラスチックの板や段ボールの角のような鋭さを持っています。
この状態で肌に触れれば、当然ながら皮膚を引っ掻いたり、ミミズ腫れのような傷を作ったりする原因になります。
「セームタオルは痛い」と感じる人の多くは、十分に水で戻りきっていない、あるいは乾燥して硬い部分が残った状態で肌に触れてしまっていることがほとんどです。
普通のタオルのように「ゴシゴシ」擦っている
一般的なパイル地(綿)のタオルに慣れていると、つい同じ感覚で肌の上を滑らせるように「ゴシゴシ」と拭いてしまいがちです。
しかし、セームタオルはゴムやスポンジに近い質感を持っており、肌に対する摩擦抵抗(ひっかかり)が非常に強いという特性があります。
濡れた肌の上で無理に滑らせようとすると、強いブレーキがかかり、皮膚を強く引っ張ることになります。
これを繰り返すことで、肌の角質層が傷つき、ヒリヒリとした痛みや赤みが生じることがあるのです。
特に皮膚が薄い顔や首筋などをゴシゴシ擦ると、肌への負担は相当なものになります。
この「摩擦による肌荒れ」が、「セームタオルは肌に悪い」と言われる最大の要因の一つです。
雑菌やカビの繁殖による衛生面の問題
多くのセームタオル(特にPVA素材)は、乾燥して硬くなるのを防ぐため、少し湿った状態でケースに入れて保管することが推奨されている場合があります。
しかし、高温多湿な環境で濡れたまま長時間放置することは、雑菌やカビにとって絶好の繁殖場所を提供しているのと同じです。
久しぶりにケースを開けたら黒い点々(カビ)がついていた、という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
目に見えるカビだけでなく、雑菌が繁殖したタオルで体を拭けば、ニキビや毛嚢炎(もうのうえん)などの皮膚トラブルを引き起こすリスクが高まります。
また、雑菌の繁殖は強烈な「生乾き臭」の原因にもなり、その不快な臭いで気分が悪くなることも、「体に悪い」という印象に繋がっています。
新品時の保存液が肌に合わないケース
これは意外と知られていない盲点ですが、新品のセームタオルには、カビや乾燥を防ぐための「保存液(防腐剤など)」が含まれていることがあります。
商品パッケージにも「初めて使用する際はよく洗ってください」と記載されていますが、これを見落として開封後すぐに肌に使ってしまうと問題が起きることがあります。
特に「イソチアゾリノン系」などの防腐剤が含まれている場合、敏感肌の人やアレルギー体質の人が触れると、「アレルギー性接触皮膚炎」を引き起こす可能性があります。
使用後に肌がかゆくなったり、赤くただれたりした経験がある場合、素材そのものではなく、この保存液を十分に洗い流せていなかったことが原因かもしれません。
化学物質に敏感な方は、特に最初の洗浄を念入りに行う必要があります。
そもそもセームタオルとは?素材の安全性を確認

「体に悪い」という不安を払拭するために、そもそもセームタオルが何から作られているのか、その素材と安全性について正しく理解しておきましょう。
名前の由来や、なぜこれほど水泳選手に愛用されているのかを知れば、危険なものではないことがわかります。
PVA(ポリビニルアルコール)スポンジの正体
現在流通している一般的なセームタオル(スイムタオル)の主成分は、「PVA(ポリビニルアルコール)」という合成樹脂です。
これは親水性が非常に高く、体積の何倍もの水分を吸収できるスポンジのような素材です。
PVA自体は、接着剤やコンタクトレンズの洗浄液、化粧品などにも使われている身近な物質であり、物質そのものに毒性があるわけではありません。
内部に微細な気孔(穴)が無数に空いており、毛細管現象によって水分を強力に吸い上げます。
「人工セーム」とも呼ばれますが、これは天然の鹿革(セーム革)のしなやかさと吸水性を人工的に再現したことに由来しています。
つまり、素材自体は安全性が確認されたものであり、正しく加工された製品であれば、過度に恐れる必要はありません。
本物の「セーム革」と人工セームの違い
本来の「セーム(Chamois)」とは、カモシカやシカ、ヤギなどの皮を油でなめした天然皮革のことです。
天然のセーム革は、非常に柔らかく、古くから貴金属の磨き布や洗車用品として使われてきました。
一方、プールで使われるのは前述の通り「PVAスポンジ」や「マイクロファイバー」で作られた人工素材です。
天然皮革は水に濡れるとヌルヌルしたり、乾燥管理がさらに難しかったりするため、水泳用としては扱いやすい人工素材が主流になりました。
「セームタオル」という名称は通称として定着していますが、実際には「高吸水性スポンジタオル」と呼ぶほうが正確かもしれません。
人工素材だからこそ、品質が均一で、カビ防止加工や抗菌加工などの機能を追加できるというメリットもあります。
なぜ水泳選手はセームタオルを使うのか
これだけ「扱いが難しい」「肌触りが独特」と言われながらも、競泳選手やダイバーたちがセームタオルを手放さないのには明確な理由があります。
それは「絞れば何度でも吸水力が復活する」という圧倒的な機能性です。
普通のコットンタオルは、一度濡れてしまうと乾くまで吸水力が戻らず、冷たくて重い布になってしまいます。
しかし、セームタオルは濡れてもギュッと絞るだけで、すぐにまた乾いたタオルのように水分を吸い取ってくれます。
プールから上がるたびに体を拭いたり、髪の水分をこまめに取ったりする必要がある水泳の現場では、この機能が何よりも優先されるのです。
つまり、肌触りの良さよりも「機能性(排水性と吸水性のサイクル)」に特化したプロ仕様の道具であると言えます。
この特性を理解せずに、お風呂上がりのバスタオル代わりとしてなんとなく使い始めると、「使い心地が悪い」「肌に合わない」と感じてしまうことが多いのです。
肌トラブルを防ぐ!正しい使い方と洗い方

セームタオルによる肌トラブルのほとんどは、使い方の工夫で防ぐことができます。
ここでは、肌への負担を最小限に抑え、快適に使うための具体的なステップを紹介します。
今まで「なんとなく」使っていた方は、ぜひこの方法を試してみてください。
【重要】使う前は必ず水で濡らして柔らかくする
これが最も基本的なルールですが、意外と徹底されていないことがあります。
乾燥してカチカチになったセームタオルを、そのまま広げようとしたり、少し濡れただけの状態で使ったりするのは厳禁です。
使用する前には、必ずたっぷりの水やぬるま湯に浸し、タオル全体が芯まで柔らかくなるのを待ちましょう。
特に折り目の部分は硬さが残りやすいので注意が必要です。
全体がプルプルの柔らかい状態になったら、一度しっかり絞ります。
これで準備完了です。
十分に柔らかくすることで、肌に触れた時の物理的な刺激は劇的に軽減されます。
「拭く」のではなく「押し当てる」が正解
セームタオルで体を拭く際、ゴシゴシと擦ってはいけません。
正しい使い方は、肌の上にタオルを広げて「ポンポン」と優しく押し当てる、あるいは軽く被せて上から押さえる方法です。
驚くべき吸水力を持っているので、肌に触れた瞬間に水分がタオルへと移動します。
擦る必要は全くありません。
この「押し当て拭き」をマスターすれば、摩擦による肌荒れや色素沈着のリスクはほぼゼロになります。
むしろ、普通のタオルでゴシゴシ擦るよりも、肌への摩擦負担は少なくなるとさえ言われています。
髪の毛を拭く時も同様で、髪を挟んでパンパンと叩くようにして水分を吸わせると、キューティクルを傷めずにドライできます。
新品は必ずよく洗ってから使う
先ほど触れた「保存液」や製造時の残留物を落とすために、購入直後の儀式は必須です。
パッケージから出したら、まずは水またはぬるま湯で、手もみ洗いを十分に行いましょう。
洗面器に水を張り、何度か水を換えながら、ぬめりや泡立ちがなくなるまで丁寧にすすぎます。
もし敏感肌で心配な場合は、最初だけ薄めた中性洗剤を使って軽く洗い、その後徹底的にすすぐのも有効です。
このひと手間を惜しまないことで、化学物質による肌トラブルや、独特のゴムのようなニオイを軽減することができます。
メーカーによっては「洗濯機で洗える」としているものもありますが、最初の数回は色落ちの可能性もあるため、手洗いが無難です。
使用後はしっかり洗ってカビを防ぐ
使い終わった後のケアも重要です。
プールや海の水には、塩素や塩分、雑菌が含まれていますし、体から出た皮脂汚れも付着しています。
これらを放置すると、タオルが劣化したりカビが生えたりする原因になります。
使用後は必ず水道水でしっかりと洗い流しましょう。
汚れが気になる場合は、薄めた中性洗剤(おしゃれ着洗い用など)を使って優しく手洗いします。
漂白剤や乾燥機の使用は、素材をボロボロにしてしまうため避けてください。
保管方法は製品タイプによりますが、最近の主流は「完全に乾かして保管」するタイプが増えています。
カビが心配な方は、完全に乾くと硬くなるタイプであっても、一度完全に乾燥させてから保管し、使う時にまた水で戻すというサイクルをおすすめします。
メリット・デメリットを整理して判断しよう

ここまで、注意点やリスクについて詳しく解説してきましたが、セームタオルにはそれを補って余りあるメリットもあります。
良い点と悪い点を整理し、自分のライフスタイルや肌質に合っているか判断してみましょう。
【メリット】
・圧倒的な吸水力:触れるだけで水分を吸い取るため、時短になる。
・絞れば復活:ビショビショになっても、絞ればすぐに吸水力が戻る。
・荷物が減る:バスタオル数枚分の働きを、フェイスタオル1枚のサイズでこなせる。
・摩擦レス:正しく使えば肌を擦らずに水分を除去できる。
【デメリット】
・肌触りの癖:ふわふわ感はなく、濡れたゴムのような感触。
・摩擦が強い:擦ると肌に引っかかりやすく痛い。
・管理の手間:乾燥すると硬くなる、湿ったままだとカビやすい。
・準備が必要:使う前に必ず濡らす必要がある。
結局、肌に良いの?悪いの?
結論として、「使い手次第」と言えます。
何も知らずに普通のタオルと同じように扱えば、肌を傷つける「悪いタオル」になり得ます。
しかし、「ポンポンと押し当てる」「清潔に保つ」というポイントさえ守れば、摩擦を起こさずに水分を除去できる「肌に優しいタオル」として活躍します。
特に、アトピーや乾燥肌で「タオルで擦る刺激すら辛い」という方の中には、セームタオルの「押し拭き」をあえて採用している人もいるほどです。
要は、特性を理解して正しく付き合えるかどうかが鍵となります。
進化している!最新セームタオルの選び方

「硬くなるのが嫌だ」「肌触りがどうしても苦手」という方に朗報です。
最近の技術進化により、従来のセームタオルの弱点を克服した新しいタイプの製品が続々と登場しています。
これから購入を考えている方は、ぜひ以下のタイプをチェックしてみてください。
乾いても硬くならない「ソフトタイプ」
最近人気を集めているのが、乾燥してもカチカチにならず、柔らかいまま保管できる「ソフトタイプ」のセームタオルです。
素材にナイロンやポリエステルを配合したり、特殊な加工を施したりすることで、従来のPVAスポンジのようなバリバリ感を解消しています。
乾いた状態でも折りたたむことができ、使う時にいちいち水で戻す手間もありません。
肌触りも布のタオルに近く、初めての方でも違和感なく使えるでしょう。
「マイクロセームタオル」などの名称で販売されていることが多いので、探してみてください。
肌触りを重視した「マイクロファイバー混紡」
吸水速度と肌触りの良さを両立させたのが、マイクロファイバー素材を採用したセームタオルです。
表面が少し起毛しているような優しい感触があり、肌に触れた時の「ヒヤッ」「ペタッ」というゴムのような感覚が苦手な人に最適です。
一般的なマイクロファイバータオルよりも高密度で、絞った時の排水性も優れています。
スピード(Speedo)やミズノ(Mizuno)などの大手水泳メーカーからも、この肌触りを重視したモデルが多数ラインナップされています。
抗菌・防臭加工で衛生面も安心
衛生面が気になる方には、強力な「抗菌・防臭加工」が施された製品がおすすめです。
素材自体に抗菌剤が練り込まれており、湿った状態で保管しても雑菌の繁殖を抑えてくれる機能を持っています。
もちろん洗わなくて良いわけではありませんが、うっかり干し忘れてしまった時のリスクを軽減できます。
商品パッケージに「抗菌」「防カビ」といったマークがあるかを確認して選ぶと良いでしょう。
自分の肌質や管理のしやすさに合わせて、最適な一枚を見つけてください。
まとめ
「セームタオルは体に悪い」という噂の正体は、毒性があるわけではなく、「硬い状態で使うことによる物理的な傷」や「不衛生な管理によるカビ・雑菌」が主な原因でした。
セームタオルは、正しく使えば肌への摩擦を減らし、効率よく水分を拭き取れる非常に優秀なアイテムです。
最後に、記事の要点を振り返りましょう。
これらのポイントを守れば、セームタオルはあなたのプールライフや旅行をより快適にしてくれる頼もしい相棒になります。
不安な点は解消して、ぜひその便利な吸水力を体感してみてください。


