立ち泳ぎのやり方とコツ!初心者でも楽に長く浮くための練習法

立ち泳ぎのやり方とコツ!初心者でも楽に長く浮くための練習法
立ち泳ぎのやり方とコツ!初心者でも楽に長く浮くための練習法
泳ぎ方のコツ・技術

プールや海で、顔を水面に出したまま優雅に浮いている人を見たことはありませんか。「自分もあんなふうに立ち泳ぎができたらいいな」と憧れる方は多いはずです。立ち泳ぎは、万が一の水難事故の際に命を守るための重要な技術でもあります。

しかし、見よう見まねでやってみても、すぐに体が沈んでしまったり、無駄に体力を消耗してしまったりとなかなかうまくいかないものです。

そこで今回は、立ち泳ぎのやり方とコツを、初心者の方にもわかりやすく解説します。足の動かし方の種類から、手のスカーリング技術、そして楽に長く浮くためのポイントまで、段階を追って詳しくご紹介していきましょう。

立ち泳ぎのやり方と基本知識・メリット

立ち泳ぎとは、その名の通り「立った姿勢のまま泳ぐ(浮く)」技術のことです。競泳の種目にはありませんが、水球やアーティスティックスイミング(旧シンクロナイズドスイミング)、そして日本泳法などで用いられる基本的なスキルです。まずは、この泳ぎ方がどのような仕組みで浮力を得ているのか、そして習得することでどのようなメリットがあるのかを理解することから始めましょう。

立ち泳ぎができると何が良いの?

立ち泳ぎをマスターする最大のメリットは、水深のある場所でも呼吸を確保し続けられるという「安全性」です。足のつかない場所でパニックにならず、救助を待ったり周囲の状況を確認したりすることができます。また、レジャーの場面でも役に立ちます。海やプールで友達と会話を楽しんだり、景色を眺めたりする際、立ち泳ぎができればリラックスして水中に留まることが可能です。さらに、水泳のトレーニングとしても効果的です。常に手足を動かし続けるため、持久力の向上や体幹の強化にもつながります。水に対する恐怖心を取り除き、より自由に水を楽しむためのパスポートのような技術だと言えるでしょう。

浮くための2つの力:浮力と揚力

人間が水に浮くためには、大きく分けて2つの力が関係しています。ひとつは、肺に空気を溜めることで得られる「浮力」です。そしてもうひとつが、手足を動かして水を押すことで生まれる「揚力(ようりょく)」です。立ち泳ぎが苦手な人の多くは、手足を激しく動かして「浮こう、浮こう」と必死になりがちですが、実は肺の浮力を最大限に活かすことが成功への近道です。あごを上げて肺を水没させ、できるだけ多くの空気を胸に溜めておくことで、体は自然と浮きやすくなります。手足の動きは、その浮力を補助し、顔を水面より上にキープするためのサポート役だと考えてください。

代表的な足の動かし方の種類

立ち泳ぎには、主に3つの足の動かし方があります。1つ目は平泳ぎのキックを縦に行う「踏み足(ふみあし)」、2つ目は水を交互に挟み込む「あおり足」、そして3つ目が最も効率的で高度な技術である「巻き足(まきあし)」です。初心者の方は、まずは馴染みのある平泳ぎの動きをベースにした「踏み足」から入るのが一般的です。しかし、長時間楽に浮き続けるためには、左右の足を交互に回す「巻き足」の習得が理想的です。それぞれの特徴を理解し、自分のレベルや目的に合った方法を選択することが大切です。次のセクションでは、これらの足の動かし方をさらに詳しく掘り下げていきます。

まずは「沈まないこと」よりも「顔が水面に出ていること」を目標にしましょう。耳まで水につかっても、口と鼻が出ていれば呼吸はできます。

【種類別】立ち泳ぎの足の動かし方とコツ

立ち泳ぎにおいて、推進力の要となるのが「足」の動きです。手はバランスを取るために使いますが、体を支えるメインの力は下半身から生み出されます。ここでは、代表的な足の動かし方を4つの視点から詳しく解説します。自分に合ったスタイルを見つけて、練習に取り組んでみてください。

初心者におすすめの「踏み足」

「踏み足」は、平泳ぎのキックを体が立った状態で行うイメージです。両足を同時に引きつけ、外側に向かって蹴り出し、再び閉じます。平泳ぎができる人なら、感覚を掴みやすいのが最大の特徴です。ポイントは、蹴り下げた後にしっかりと足を閉じて、水を挟む意識を持つことです。ただし、この方法はキックの瞬間に体が上下動しやすく、顔が水没したり浮き上がったりを繰り返しやすいという欠点があります。また、両足を同時に動かすため、動きが止まる「タメ」の時間ができ、その間に沈みやすくなることもあります。最初はこれで感覚を掴み、徐々に他の方法へ移行していくのが良いでしょう。

最も効率的な「巻き足(エッグビーター)」

水球選手やアーティスティックスイミングの選手が使っているのが、この「巻き足」です。英語では「エッグビーター(泡立て器)」と呼ばれ、その名の通り、左右の足を交互に回して水をかき続けます。右足は反時計回り、左足は時計回りに、膝を支点にして下腿(ひざ下)を回します。この方法の最大の利点は、常にどちらかの足が水を捉えているため、体が上下動せず安定することです。習得には少し時間がかかりますが、一度覚えてしまえば長時間浮いていても疲れにくく、最も実用的なテクニックです。椅子に座って足を開き、膝から下を内回しにぐるぐると回す陸上トレーニングも有効です。

力強い「あおり足(シザースキック)」

横泳ぎのキックを縦にしたような動きが「あおり足」です。片足を前に、もう片足を後ろに大きく開き、ハサミのように閉じることで水を挟み込みます。非常に大きな揚力を得られるため、瞬間的に高く体を持ち上げたい時などに有効です。しかし、足を大きく開閉する必要があるため水の抵抗も大きく、連続して行うと体力の消耗が激しくなります。通常の立ち泳ぎとして使い続けるのは大変ですが、バランスを崩した際のリカバリーや、急いで浮上したい時の補助的な動きとして覚えておくと役立ちます。

簡単なようで難しい「バタ足」

クロールのキックであるバタ足を、縦方向に行う方法です。単純に足をバタバタさせるだけなので、初心者でもすぐに動き自体は真似できます。しかし、立ち泳ぎとして機能させるには、かなりの脚力と体力が必要です。通常のバタ足は推進力を後ろへ送りますが、立ち泳ぎの場合は下へ水を蹴らなければなりません。効率が悪く疲れやすいため、長時間浮くための技術としてはあまり推奨されません。あくまで、他の泳ぎ方ができない場合の緊急避難的な動きとして捉えておきましょう。

足の種類の選び方まとめ

踏み足:平泳ぎが得意な初心者向け。上下動しやすい。

巻き足:中級者以上向け。最も疲れにくく安定する。

あおり足:瞬間的な浮力が欲しい時向け。

バタ足:緊急時以外は非推奨。疲れやすい。

手の動かし方「スカーリング」をマスターする

足の動きだけで浮き続けることも可能ですが、手を上手に使うことで、より楽に、より安定して立ち泳ぎができるようになります。この手の動きを「スカーリング」と呼びます。水をかいて進むのではなく、水を撫でるように動かして揚力を生み出す技術です。

スカーリングの基本動作:8の字を描く

スカーリングの基本は、手のひらで水の中に「8の字(無限大マーク∞)」を描くような動きです。腕全体を大きく動かすのではなく、肘の位置を固定し、前腕(肘から先)と手首を使ってコンパクトに動かします。手のひらをやや外側に向けながら外へ広げ、次に手のひらを内側に向けながら内へ閉じます。この繰り返しにより、常に下向きの揚力を発生させることができます。水面の下、胸の前あたりで、柔らかく水を「こねる」ようなイメージを持つと良いでしょう。

手のひらの角度と水圧の感じ方

スカーリングで最も重要なのは「手のひらの角度(ピッチ)」です。手が外側に動くときは、小指側を少し上げて水を外へ押し出すようにします。逆に内側に動くときは、親指側を少し上げて水を内へ集めるようにします。この微妙な角度調整によって、水に対して斜めに力が加わり、上方向への揚力が生まれます。角度がつきすぎると水を切るだけになってしまい、逆に平らすぎると抵抗が大きくて手が動かしにくくなります。水の手応え(重さ)を常に手のひらに感じ続けることが成功の秘訣です。水圧が抜けてスカスカしている時は、角度が合っていない証拠です。

足との連動:バランスを取る役割

立ち泳ぎにおける手の役割は、あくまで「補助」と「バランス調整」です。足の動きで基本的な浮力を確保し、手のスカーリングで姿勢を微調整します。例えば、足のキックのタイミングで体が少し沈みそうになった時、スカーリングでグッと水を抑えて沈下を防ぎます。また、体が前後左右に傾きそうになった時も、手の動きで修正します。足と手をバラバラに動かすのは最初は難しいかもしれませんが、「足はエンジン、手はハンドル兼サスペンション」と考えて、リラックスして動かす練習をしましょう。

立ち泳ぎを成功させる練習ステップ

いきなり足のつかない深いプールで練習するのは危険ですし、恐怖心が先に立って体が硬くなってしまいます。安全かつ効率的に立ち泳ぎを習得するために、段階を追った練習方法をご紹介します。

ステップ1:プールサイドや壁を持って練習

まずは浅い場所で、プールサイド(壁)を両手で掴んで足の動きだけを練習します。体は垂直にし、膝を曲げて水中で座っているような姿勢を作ります。この状態で「巻き足」や「踏み足」を行いましょう。壁を持っているため沈む心配がなく、足の動きに集中できます。特に巻き足の練習では、足首をしっかりと曲げ(フレックス)、足の裏や内側で水を捉えている感覚を確認してください。左右の足がぶつからないように、リズムよく回す練習を繰り返します。

ステップ2:ビート板を使って浮力サポート

足の動きに慣れてきたら、次はビート板を使って練習します。ビート板を両手で抱え込むようにして胸の前で持ち、顔を水面に出して浮きます。ビート板の浮力があるので、体は沈みません。この状態で、足の動きだけで体を支える感覚を養います。慣れてきたら、ビート板を持つ手を徐々に緩めて、ビート板に頼る割合を減らしていきましょう。最終的には指先だけでビート板に触れている状態を目指します。

ステップ3:スカーリングのみで浮く練習

今度は足を使わず、手の「スカーリング」だけで浮く練習をします。足の間にビート板やプルブイを挟んで下半身を浮かせた状態にし、体は垂直を保ちます。この状態で、手の動きだけで顔を水面に出し続けられるかトライしてみましょう。これができると、手の使い方が格段に上達し、実際の立ち泳ぎで足への負担を大幅に減らすことができます。水面ギリギリで口元をキープするコントロール力を磨きましょう。

ステップ4:サポートなしで数秒からチャレンジ

いよいよ道具なしでの挑戦です。最初は壁の近くで行いましょう。壁から少し離れて、手足を動かして5秒間キープすることを目標にします。最初は必死になってバタバタしてしまうかもしれませんが、落ち着いて「肺に空気を入れる」「ゆっくり大きく動かす」ことを意識してください。5秒ができたら10秒、30秒と時間を延ばしていきます。もし沈みそうになったら、すぐに壁を掴める距離を保つことが大切です。

練習の安全対策
無理は禁物です。足がつったり、水を飲んでしまったりすることもあります。必ず監視員のいるプールで行い、体調が優れないときは練習を控えましょう。

長く楽に浮き続けるためのコツ

「やり方は分かったけれど、すぐに疲れてしまう」という悩みは、立ち泳ぎ初心者の最大の壁です。ここでは、無駄な力を使わずに、できるだけ長く、楽に浮き続けるためのコツを解説します。技術的なことだけでなく、意識の持ち方も重要です。

姿勢は「やや前傾」が安定する

「立ち泳ぎ」という名前から、地面に直立しているような姿勢をイメージしがちですが、実は少しだけ前傾姿勢をとるのがコツです。背筋を真っ直ぐに伸ばしすぎると、足が前に出たり後ろに流れたりしてバランスを崩しやすくなります。上体を軽く前に倒し、猫背気味になるくらいのリラックスした姿勢の方が、重心が安定しやすくなります。また、手は体の真横よりも少し前の方で動かす方が、視界に入って操作しやすく、前傾姿勢を保つのにも役立ちます。

呼吸のリズムを整える

長く浮くためには、呼吸のコントロールが欠かせません。常に肺の中に空気が入っている状態を維持することが重要です。息を吐ききってしまうと、浮力がなくなって体が沈んでしまいます。「短く吐いて、素早く吸う」というリズムを意識しましょう。また、顔を高く上げすぎないこともポイントです。顔を高く上げようとすると、反作用で体が沈もうとする力が働きます。口と鼻が水面に出ていれば十分だと割り切り、リラックスして呼吸を続けてください。

目線は水平に、一点を見つめる

目線が定まらないと、頭の位置がふらついてバランスが崩れます。目線は遠くの水平線や、プールの壁の目印など、一点に定めるようにしましょう。下を向いてしまうと、頭の重みで体が前に倒れすぎてしまいますし、上を向きすぎると体が反ってしまいます。頭は体重の約10%もの重さがあるため、この「頭の位置」を安定させることが、省エネで浮くための重要な要素になります。

脱力が最大の「浮き輪」になる

最大のコツは「力を抜くこと」です。筋肉に力が入ると体は硬くなり、沈みやすくなります。また、力むと酸素消費量が増え、すぐに息が上がってしまいます。「沈んでもまた上がればいい」くらいの軽い気持ちで、肩の力を抜きましょう。水に身を委ねる感覚を持つことができれば、驚くほど楽に浮けるようになります。特に肩が上がって首が縮こまっている状態はNGです。肩を下げ、首を長く保つイメージを持ってください。

恐怖心があるとどうしても体が固まります。浅い場所で、背浮きなどをして「水は体を浮かせてくれる」という感覚を思い出してから練習に入ると、リラックスしやすくなります。

よくある失敗と改善ポイント

練習をしていてもなかなか上達しない場合、いくつかの共通した原因が考えられます。ここでは、初心者が陥りやすい失敗パターンと、それを解決するための具体的なアドバイスをまとめました。

足がどんどん沈んでしまう

足が沈んで体が斜めになり、最終的に仰向けやうつ伏せになってしまうケースです。これは、腰が引けて「くの字」になっているか、足の動きが止まっていることが原因です。

【改善策】 お尻を少し締める意識を持ち、体を一本の軸にするイメージを持ちましょう。また、足の動き(特に巻き足)は止めることなく、一定のリズムで回し続けることが大切です。膝の位置が低すぎると足が沈みやすいので、膝をお腹の方に引きつける意識ではなく、股関節から動かすように意識してみてください。

すぐに息が上がって疲れる

数秒でハアハアと息切れしてしまうのは、動きが速すぎることと、無駄な力が入っていることが原因です。

【改善策】 手足を動かすスピードを今の半分に落としてみましょう。速く動かすよりも、大きくゆっくり動かして、たくさんの水を捉える方が効率よく浮力を得られます。また、水中にいる間は息を止めがちですが、意識的に呼吸を続けることで筋肉への酸素供給がスムーズになり、疲れにくくなります。

手が水面から出てしまう

スカーリングをしている手が水面から出てしまい、空気をかいてしまう失敗です。これでは浮力が発生しません。

【改善策】 手の位置を意識的に下げましょう。肩よりも低い位置、胸の前あたりで操作するのが基本です。水面下20〜30センチくらいの深さをキープするように心がけてください。手が浮いてきてしまうのは、肩に力が入っているサインでもあります。

まとめ:立ち泳ぎのコツを掴んで水泳を楽しもう

まとめ
まとめ

立ち泳ぎは、一見難しそうに見えますが、原理を理解してコツを掴めば誰でも習得できる技術です。最後に、今回の記事の重要ポイントを振り返りましょう。

立ち泳ぎ習得のポイント

足の選び方:初心者は「踏み足」、慣れてきたら効率的な「巻き足」を目指す。

手の役割:スカーリングで「8の字」を描き、バランスと補助的な揚力を作る。

姿勢と呼吸:やや前傾姿勢でリラックスし、肺に空気を溜めておく。

練習の順序:壁持ち → ビート板 → 道具なし と段階を踏む。

脱力:力まず、大きくゆっくり動かすことが長く浮く秘訣。

最初は手足の動きがバラバラになったり、すぐに沈んでしまったりするかもしれませんが、諦めずに練習を続けてください。1日ですぐにできるようになる魔法のような方法はありませんが、日々の積み重ねで必ず体は水に馴染んできます。立ち泳ぎができるようになれば、プールでの休憩中も優雅に過ごせますし、海や川での安全性も飛躍的に向上します。ぜひ、今回ご紹介したやり方とコツを参考にして、快適なスイミングライフを楽しんでください。

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