キラキラと水しぶきを上げ、笑顔で子供たちを指導するスイミングコーチ。爽やかで健康的なイメージが強い職業ですが、その笑顔の裏には、一般の人には想像もつかないような「裏話」や「苦労」がたくさん隠されています。
「なぜコーチの髪はみんな茶色いの?」「若い先生たちはやっぱりモテるの?」といった素朴な疑問から、指導現場での泥臭い現実、そしてちょっとドキッとする恋愛事情まで。今回は、現役コーチや元コーチたちの証言をもとに、スイミングスクールの知られざる実態を徹底的に掘り下げていきます。これを読めば、プールサイドの風景が少し違って見えるかもしれません。
スイミングコーチの裏話といえばこれ!身体に起こる異変と職業病

スイミングコーチを始めると、最初に洗礼を受けるのが身体的な変化です。健康そうに見えるコーチたちですが、実は過酷な環境と戦っています。ここでは、コーチなら誰もが共感する「身体の裏話」を紹介します。
「チャラい」わけじゃない!塩素で髪が茶色くなる悩み
スイミングスクールのコーチを見ると、髪の毛が明るい茶色や金髪に近い人が多いことに気づきませんか?「コーチたちは派手好きな人が多いのかな」「ちょっとチャラいのでは?」と思われがちですが、これは大きな誤解です。実はこれ、プールの塩素による脱色作用(ブリーチ効果)が原因なのです。
毎日何時間も塩素の入った水に髪を浸し、濡れたままプールサイドの高温多湿な環境にさらされることで、髪のメラニン色素が抜けていきます。特に黒髪の日本人は、赤茶色っぽく色が抜けていく傾向があります。真面目なコーチが、学校や親から「髪を染めるな」と怒られるのは、スイミングコーチ界隈では定番の「理不尽あるある」です。
美容院に行っても、パーマがかかりにくかったり、色がすぐに抜けてしまったりと、髪の悩みは尽きません。トリートメントを入念にしても追いつかないほどのダメージと戦いながら、彼らは指導を続けているのです。
お風呂に入っても取れない?染み付く塩素の匂い
コーチにとって切っても切り離せないのが「塩素の匂い」です。仕事終わりにしっかりシャワーを浴び、ボディソープで体を洗って帰宅しても、ふとした瞬間に自分の体からプールの匂いが漂ってくることがあります。これは、皮膚の角質層にまで塩素成分が浸透しているためだと言われています。
特に困るのが、仕事後のデートや食事会です。自分では鼻が慣れてしまって気づかないことも多いのですが、友人やパートナーから「プール行ってきた?」と即座にバレてしまいます。香水をつけても、塩素の匂いと混ざって独特の香りになってしまうこともしばしば。
また、帰宅後の洗濯物も問題です。脱いだ水着やタオルはもちろん、着ていたTシャツからも塩素臭がするため、家族から「別で洗って!」とクレームが来ることも。まさに、生活のすべてがプールを中心に回っていると言っても過言ではありません。
プールサイドはサウナか極寒か?過酷な温度差
室内プールは一年中快適な温度に保たれていると思われがちですが、コーチにとっては過酷な現場です。夏場のプールサイドは湿度が異常に高く、室温も30度を超えます。服を着て指導していると、立っているだけで汗が止まらない「サウナ状態」になります。
逆に冬場は、水温は温かいものの、濡れた体でプールから上がった瞬間の気化熱で、体感温度は極寒になります。特に、子供たちが着替えているのを待つ間や、監視業務でプールサイドに立っている時間は、寒さとの戦いです。唇を紫色にしながら笑顔を作っているコーチも少なくありません。
【コーチの体温調節あるある】
・採暖室(サウナ)に入ると、天国すぎて出られなくなる
・冬場はシャワーの温度設定を限界まで上げる
・夏場は水分補給をしないと、プールサイドで熱中症になりかける
陸上でも声がデカい?職業病の「コーチボイス」
プールの施設内は、換気扇の音、水の音、子供たちの声が反響し、非常に騒がしい環境です。その中で指示を通すためには、お腹の底から声を出す必要があります。これを長年続けていると、無意識のうちに声量が大きくなる職業病、通称「コーチボイス」が身につきます。
プライベートで居酒屋やカフェにいても、店員さんを呼ぶ声が異常に響き渡ってしまい、周囲の注目を集めて恥ずかしい思いをすることも。また、喉を酷使するため、ハスキーボイスのコーチが多いのも特徴です。のど飴は必需品であり、ポケットには常に延髄のケア用品が入っています。
指導現場での本音!子供たちとの面白エピソードと苦労

コーチたちの毎日は、予測不能な子供たちの行動との戦いです。可愛いだけでは済まされない、指導現場ならではのリアルな「裏話」を見ていきましょう。
「温かい場所」には要注意!トイレトラブルの真実
幼児クラスや低学年のクラスを担当するコーチにとって、最大の恐怖は「お漏らし」です。水の中では水圧がかかるため、普段よりもトイレに行きたくなる生理現象が起こりやすくなります。コーチが指導中に、ふと自分の周りの水温が生温かく感じる瞬間、それは悲劇の合図です。
「先生、おしっこ!」と言ってくれた時はまだマシですが、無言で放出してしまった場合、そのエリアの水質管理が一大事となります。さらに深刻なのは「大」の方です。水着の隙間から「浮遊物」が発見された場合、即座にレッスンは中断、生徒全員を退水させ、網で回収し、消毒作業に追われることになります。
コーチたちは常に水中の変化に目を光らせており、子供の顔色が少しでも怪しいと察知したら、即座にトイレへ誘導する「予知能力」を身につけていきます。これは経験を積んだコーチだけが持つ特殊スキルの一つです。
「1、2、3…」では動かない?子供を動かす魔法の数字
たくさんの子供たちをプールから上がらせたり、集合させたりするのは至難の業です。「早く上がってー」と声をかけても、子供たちは遊びに夢中でなかなか聞いてくれません。しかし、ここでコーチたちが使う共通のテクニックがあります。それは「カウントダウン」です。
「1、2、3…」と順に数えても子供はのんびりしていますが、「10、9、8…」とカウントダウンを始めると、爆弾が爆発するかのように慌てて動き出すのです。0になったらどうなるのか、具体的な罰則があるわけではないのですが、子供心理として「0になる前に終わらせなきゃ!」という本能が働くようです。
進級テストの憂鬱!合格と不合格の間の葛藤
毎月あるいは2ヶ月に一度行われる「進級テスト」。これは子供たちだけでなく、コーチにとっても胃が痛くなるイベントです。もちろん全員を合格させてあげたい気持ちは山々ですが、基準に達していない子を合格させるわけにはいきません。
特に、一生懸命練習してきたのに、あと少しだけタイムが届かない、フォームが崩れてしまうという子に「不合格」を告げる瞬間は、何度経験しても辛いものです。泣き出してしまう子、悔しそうにゴーグルを投げる子、それぞれの感情を受け止める必要があります。
また、判定基準はコーチの主観も多少含まれるため、「なんであの子が受かって、うちの子は落ちたんだ」という保護者からの無言のプレッシャー(時には有言のクレーム)とも戦わなければなりません。テスト期間中のコーチ室は、いつもよりピリピリとした空気が流れています。
ギャラリーからの視線が怖い?保護者との関係にまつわる裏話

スイミングスクールには、プールサイドとは別に、ガラス越しにレッスンを見学できる「ギャラリー(観覧席)」があります。そこにはもう一つの「社会」が存在しています。
「ガラス越しの視線」はコーチも緊張している
レッスン中、コーチは子供たちを見ていますが、同時に背中や横顔に強烈な視線を感じています。ガラスの向こうにいる保護者たちの視線です。最近のスクールは観覧席が近い設計になっていることも多く、コーチの一挙手一投足が監視されています。
「あそこのコーチ、うちの子を全然見てくれていない」「あの子ばかり指導している」といった印象を持たれないよう、コーチは意識的に全員にまんべんなく声をかけるパフォーマンスを行うことがあります。大げさに身振り手振りをしたり、笑顔でうなずいたりするのは、子供への指導であると同時に、保護者への「ちゃんと見ていますよアピール」でもあるのです。
クレーム対応のリアルと理不尽な要求
保護者からのクレームは、コーチの精神を削る大きな要因です。「進級できないのは指導が悪いからだ」「うちの子が水をかけられたと言っている」といった内容が典型的ですが、中には理不尽なものもあります。
「コーチが若すぎて不安」「バスの運転手が挨拶しなかった」など、指導とは関係のない部分での苦情も少なくありません。特にベテランの保護者(いわゆるボスママ的な存在)に目をつけられると、あることないこと噂を広められてしまうことも。
しかし、クレームを言ってくる保護者ほど、しっかりと話を聞き、誠意を持って対応することで、逆に一番のファン(味方)になってくれることもあります。この「転換テクニック」を身につけることも、コーチとして生き残るための重要なスキルです。
感謝の言葉が最大のモチベーションになる瞬間
大変なことばかり強調してしまいましたが、保護者との関係には素晴らしい瞬間もたくさんあります。進級できた時に親子で駆け寄ってきて「先生のおかげです!」と言われたり、転勤や卒業で辞める際に手紙をもらったりすると、それまでの苦労が全て吹き飛びます。
「先生が担当でよかった」という言葉は、安くない給料や過酷な肉体労働を続けるための、何よりの燃料になります。多くのコーチが仕事を辞めずに続けている理由は、結局のところ、この瞬間の喜びに尽きるのかもしれません。
意外と気になる恋愛事情!スイミングコーチはモテるのか

「水着姿が爽やか」「優しくて力持ち」というイメージがあるスイミングコーチ。実際の恋愛事情はどうなのでしょうか?ここでは、外からは見えない色恋沙汰について、少し踏み込んで解説します。
若いコーチ同士のカップル率は意外と高い
結論から言うと、スイミングスクール内でのスタッフ同士の恋愛、つまり「職場恋愛」は非常に多いです。大学生のアルバイトコーチ同士や、社員とアルバイトが付き合うケースは日常茶飯事です。
理由は明確で、「吊り橋効果」と「共有体験」です。高温多湿の過酷な環境で共に働き、生意気な子供たちに手を焼き、クレーム対応で慰め合う…。こうした苦楽を共にすることで、強い絆が生まれます。また、閉館後の掃除や研修などで夜遅くまで一緒にいることも多く、自然と距離が縮まるのです。
お互いに水着姿を見慣れているため、外見の飾り気なさ(すっぴんや濡れた髪)を見せ合っていることも、親密になりやすい要因の一つかもしれません。
保護者からのアプローチはある?禁止事項のリアル
ドラマや漫画では、イケメンコーチと生徒の母親が…という展開がありますが、現実はどうでしょうか。実は、保護者からコーチへのアプローチは「意外とある」のが実情です。特に、若い男性コーチに対して、シングルマザーや主婦の方から熱烈な視線が送られることがあります。
バレンタインに個人的なチョコを渡されたり、連絡先を書いた手紙を子供経由で渡されたりすることも。しかし、ほとんどのスクールでは会員や保護者との私的な交際を厳しく禁止(就業規則違反)しています。バレれば即解雇や異動のリスクがあるため、真面目なコーチほど、そうしたアプローチには丁重にお断りを入れるか、気づかないフリをしてスルーします。
「爽やかイケメン・美女」のイメージと現実のギャップ
プールの中では、水による屈折効果や、きびきびとした動作によって、コーチは実物以上に「かっこよく・かわいく」見えます。これを業界用語で「プールマジック」や「水割り(水増し)効果」と呼ぶことがあります。
しかし、いざデートをして私服になると、「あれ?意外と普通…?」と思われることも。また、常にジャージや水着で過ごしているため、私服のセンスが少し独特だったり、ファッションに無頓着だったりするコーチも少なくありません。「先生は水着の時が一番輝いている」というのは、褒め言葉でありながら、少し切ない真実でもあります。
デート中もつい出てしまう職業病的な行動
コーチと付き合うと、デート中に不思議な行動を目撃することになります。例えば、水族館に行った時。魚の泳ぎ方を見て「あの尾ひれの使い方は推進力が高い」と解説し始めたり、イルカショーを見て「あのインストラクターの合図の出し方は上手い」とプロ目線で評価し始めたりします。
また、プールや海に遊びに行っても、純粋に楽しむというよりは、周りで溺れそうな子がいないか無意識に監視(ライフガード目線)してしまいます。「危ない!」と本気で他人の子を注意してしまうのも、コーチならではの習性です。
決して楽ではない?お金と労働環境のリアルな裏話

「好きな水泳を仕事にできて楽しそう」と思われがちですが、労働環境や待遇面ではシビアな現実があります。夢だけでは語れない、お金と労力の話です。
時給や給料は労働量に見合っているのか
スイミングコーチの給料は、残念ながら「高い」とは言えません。アルバイトの場合、最低賃金に近いスタートであることも多く、身体的な負担の大きさを考えると「割に合わない」と感じる人が多いのが現実です。
特に問題なのが「準備時間」です。レッスンの1時間前には出勤し、水質のチェック、プールの掃除、指導案の作成などを行いますが、これらに十分な手当がつかないケースもあります。社員コーチになっても、朝から晩までプールに入り、休日は大会の引率で潰れるなど、労働時間は長くなりがちです。
メモ:
最近では人手不足解消のため、時給を上げるスクールも増えていますが、それでも体力的な消耗を考えると、情熱がないと続かない仕事と言えます。
指導以外の雑務が意外と多い
コーチの仕事は「泳ぎを教えること」だけではありません。実は、それ以外の雑務が業務の大半を占めることもあります。例えば、スクールバスの運転、更衣室の掃除、排水溝に詰まった大量の髪の毛の処理、イベントの企画運営、チラシ配りなどです。
特に「排水溝の掃除」は、メンタルに来る作業の一つです。大量の抜け毛や絆創膏のゴミなどを手作業で取り除く必要があり、華やかなイメージとは程遠い、地味で汚れる作業もコーチの大切な任務なのです。
濡れた水着の着脱など地味なストレス要因
一日に何度もレッスンがある場合、その都度休憩を挟みますが、そのたびに濡れた冷たい水着を脱いだり着たりするのは大変なストレスです。特に冬場、休憩を終えて冷え切った濡れた水着に再び袖を通す瞬間は、拷問に近い感覚を味わいます。
肌荒れや乾燥、着替えの面倒さといった「地味なストレス」の積み重ねが、ボディブローのように効いてきます。それでもプールサイドに出れば満面の笑みで「こんにちはー!」と叫ぶ。そのプロ根性には、本当に頭が下がります。
まとめ:スイミングコーチの裏話を知って、より深くプールを楽しもう
今回は、スイミングコーチの知られざる裏話や本音について紹介しました。塩素による髪色の変化や独特の匂い、トイレトラブルへの迅速な対応、そしてガラス越しのプレッシャーなど、笑顔の裏側には数え切れないほどの努力と苦労が隠されています。
しかし、それでも多くのコーチがプールに立ち続けるのは、子供たちの「できた!」という瞬間に立ち会える喜びや、水泳を通じて人が成長していく姿を見るのが何より好きだからです。
もし、スイミングスクールで髪が少し茶色くて、声が大きくて、ちょっと塩素の匂いがするコーチを見かけたら、「遊んでいるわけではなく、毎日頑張っている証なんだな」と温かい目で見てあげてください。そして、機会があれば「いつもありがとうございます」と声をかけてみてください。その一言が、コーチにとって明日も冷たい水着を着る勇気になります。



