健康維持やダイエット、体力の向上を目指して、ジムに通い始める人は非常に増えています。中でもプールエリアは、膝や腰への負担を抑えながら全身運動ができるため、運動不足を感じている方にとって最適な場所です。
しかし、いざプールに入ろうとしても「ジムのプールでどんな泳ぎ方をすればいいのかわからない」「周りの人のペースについていけるか不安」「マナーを知らなくて恥をかきたくない」と、一歩を踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、これからジムのプールを利用する方に向けて、基本的な泳ぎ方のポイントから、初心者でも安心して過ごせるマナー、そしてダイエット効果を高めるための具体的なメニューまでを、やさしく丁寧に解説します。
ジムのプールで泳ぎ方を練習する前の準備と基本ルール

ジムのプールを初めて利用するとき、まず気になるのが「何が必要なのか」や「どんなルールがあるのか」という点ではないでしょうか。安心して泳ぎ始めるために、事前に知っておくべき準備とマナーについて確認していきましょう。これらを知っているだけで、当日の不安がぐっと減ります。
必ず揃えたい必要な持ち物
ジムのプールを利用する際に、必ず用意しなければならないアイテムがいくつかあります。まずは水着です。レジャー用のゆったりしたものではなく、体にフィットする「フィットネス用水着」を選びましょう。水の抵抗が少なくなり、泳ぎやすさが格段に変わります。女性はセパレートタイプやオールインワンタイプ、男性はスパッツタイプが一般的です。
次に必要なのがスイミングキャップ(水泳帽)です。髪の毛がプールに落ちるのを防ぐため、ほとんどのジムで着用が義務付けられています。素材にはメッシュタイプとシリコンタイプがありますが、初心者は蒸れにくく被りやすいメッシュタイプがおすすめです。
そして、目を保護するためのゴーグルも忘れないようにしましょう。プールの水には塩素が含まれているため、裸眼で泳ぐと目が充血したり痛みを感じたりすることがあります。視力が悪い方向けの度付きゴーグルも販売されています。
【持ち物チェックリスト】
・フィットネス用水着(体にフィットするもの)
・スイミングキャップ(必須の場所がほとんど)
・ゴーグル(目の保護のため)
・タオル(大小あると便利)
・水分補給用のドリンク
入水前に守るべきマナーと身だしなみ
多くの人が利用するジムのプールでは、水質維持と安全のために守るべきマナーがあります。もっとも重要なのは、プールに入る前に必ずシャワーを浴びて、化粧や整髪料を落とすことです。メイクやワックスが水に溶け出すと水質が悪化し、他の利用者の迷惑になってしまいます。
また、ネックレスやピアス、腕時計(スマートウォッチを含む)などの貴金属類は、紛失や接触事故を防ぐために外すのが基本ルールです。最近ではウェアラブル端末の着用を許可しているジムも増えていますが、カバーの装着が必須であるなど条件が異なるため、必ずスタッフに確認しましょう。
準備体操を済ませてプールサイドに入ったら、走らないことも大切です。床は濡れていて非常に滑りやすくなっています。転倒事故を防ぐためにも、ゆっくりと歩いて移動してください。
コースの使い分けと譲り合い
ジムのプールは、目的ごとにコースが分かれているのが一般的です。例えば、「ウォーキング専用コース」「初心者(ゆっくり泳ぐ)コース」「上級者(速く泳ぐ)コース」「往復コース(長距離用)」などがあります。自分の目的に合ったコースを選ぶことが、トラブルを避ける第一歩です。
泳いでいる最中は、原則としてコースの中央より左側(または右側)を泳ぐ「右側通行・左側通行」のルールが定められています。床に引かれているラインを目印に、対向者とぶつからないように進みましょう。もし前を泳ぐ人に追いついてしまった場合は、無理に追い越そうとせず、壁際でターンをする際に順番を調整するか、コースを変更するのが安全です。
また、コースの途中で立ち止まることは避けましょう。休憩をする場合は必ずプールの端(壁際)に寄り、他の人がターンするためのスペースを空けておくのがマナーです。
怪我を防ぐ準備体操の重要性
水中は浮力があるため体への負担は軽いと思われがちですが、水の抵抗に逆らって動くため、意外と筋肉を使います。いきなり冷たい水に入ると、急激な温度変化で血圧が上がったり、足がつってしまったりする危険性があります。
入水前には必ずストレッチを行いましょう。特に肩まわり、股関節、足首を重点的にほぐします。肩を大きく回したり、アキレス腱を伸ばしたりすることで、可動域が広がり泳ぎやすくなります。
多くのジムでは、決まった時間にプールサイドで準備体操のレッスンを行っていることもあります。そうしたプログラムに参加するのも、体を温める良いきっかけになります。自分の体調と相談しながら、決して無理をしない状態でプールに入るようにしてください。
初心者がまず取り組みたい水中ウォーキングと呼吸法

「泳ぐのは久しぶりで自信がない」「まずは水に慣れたい」という方は、いきなり泳ごうとせず、水中ウォーキングから始めるのがおすすめです。水の中を歩くだけでも立派な運動になり、泳ぐための基礎体力づくりにもつながります。
水中ウォーキングの驚くべき効果
水中ウォーキングは、単に水の中を歩くだけのように見えますが、実は陸上ウォーキングよりも高い運動効果が期待できます。その最大の理由は「水の抵抗」です。水の中では、空気中の約12倍の抵抗がかかると言われており、前に進むだけでも全身の筋肉を使います。
また、浮力が働くため、膝や腰にかかる体重の負担が陸上の約10分の1まで軽減されます。関節に不安がある方や、体重が気になる方でも、痛みを心配せずに運動を続けられるのが大きなメリットです。さらに、水圧によって血液の循環が促進され、むくみの解消にも役立ちます。
水の温度は体温より低いため、体は体温を維持しようとしてエネルギーを消費します。つまり、ただ水に入って歩いているだけでも、代謝アップが期待できるのです。
正しい歩き方のフォームとバリエーション
効果的に水中ウォーキングを行うためには、フォームが大切です。猫背にならず、背筋をしっかりと伸ばしましょう。視線はまっすぐ前を向けます。歩くときは、足の裏全体で着地するのではなく、「かかとから着地し、つま先で蹴り出す」ことを意識してください。これにより、ふくらはぎの筋肉がしっかりと使われます。
腕の振りも重要です。肩の力を抜いて、水を前後に大きくかくように腕を振ります。腕を大きく動かすことで、背中や二の腕のシェイプアップ効果が高まります。大股で歩くようにすると、股関節の柔軟性も向上します。
慣れてきたら、歩き方に変化をつけてみましょう。膝を高く上げて歩く「ニーアップ」や、体をひねりながら歩く「ツイストウォーク」、横歩きをする「サイドウォーク」などを取り入れると、普段使わない筋肉を刺激することができます。
水泳の基本となる呼吸法「ボビング」
泳ぎ方を覚える上で、もっともつまづきやすいのが「息継ぎ」です。泳ぎ始める前に、水の中での呼吸の仕方を練習しておきましょう。これを「ボビング(ジャンプ呼吸)」と呼びます。
基本は「鼻から吐いて、口から吸う」です。陸上での呼吸とは逆になるため、意識的な練習が必要です。まず、水の中に顔を沈めた状態で、鼻から「んー」と息を吐き続けます。鼻から泡が出ているのを確認しましょう。息を吐き切ることで、顔を水面に出した瞬間に自然と口から「パッ」と空気が入ってきます。
この呼吸法が身につくと、クロールや平泳ぎの息継ぎがスムーズになり、水を飲んでしまうトラブルも減ります。ウォーキングの合間に、壁に手をついて練習してみましょう。
クロールをきれいに泳ぐためのポイント

ジムのプールで多くの人が泳いでいるのが「クロール」です。もっともスピードが出やすく、全身をバランスよく使える泳ぎ方です。自己流で泳いでいると疲れやすいため、基本のフォームを見直してみましょう。
ストリームライン(けのび)の作り方
クロールに限らず、すべての泳ぎ方の基本となる姿勢が「ストリームライン(けのび)」です。これは、水中で体を一直線に伸ばし、水の抵抗を最小限にする姿勢のことです。どんなに手足を速く動かしても、姿勢が悪ければブレーキがかかって進みません。
壁を蹴ってスタートした後、両手を頭の上で重ね、二の腕で耳を挟むようにして腕を伸ばします。視線は真下(プールの底)に向けましょう。このとき、お腹に軽く力を入れて背中が反りすぎないようにするのがコツです。
体が水面に対して水平になるイメージを持ちましょう。足が沈んでしまう場合は、頭を少し入れ込むようにすると、シーソーの原理で下半身が浮きやすくなります。きれいなストリームラインができれば、ひとかきで進む距離がぐんと伸びます。
腕の回し方とキャッチ
クロールの推進力の約8割は、腕の動き(ストローク)によって生まれます。腕を回すときは、肩甲骨から大きく動かすことを意識してください。指先から遠くの水に入水し、水を体の下へとかき込みます。
水中で水を捉える動作を「キャッチ」と言います。手のひらだけでなく、腕全体を使って水を後ろに押し出すイメージです。このとき、手のひらが体の中心線(センターライン)を越えないように注意しましょう。中心線を越えてしまうと、体が左右にブレてしまい、抵抗が増えてしまいます。
水から手を抜くときは、小指側から抜き上げ、肘を高く保ったまま(ハイエルボー)前に戻します。力を入れすぎず、リラックスして回すことが、長く泳ぎ続けるコツです。
バタ足のコツとNG例
バタ足(キック)は、前に進む力だけでなく、下半身を浮かせて水平姿勢を保つために重要な役割を果たします。初心者にありがちなのが、膝を大きく曲げてバタバタと水面を叩いてしまうキックです。これでは水の抵抗が大きくなり、進まないばかりかすぐに疲れてしまいます。
正しいバタ足は、足の付け根(股関節)から動かすのがポイントです。膝や足首の力は抜き、しなやかにムチのように動かします。足の甲で水を押す感覚をつかめると、スムーズに進むようになります。
足幅はあまり広げすぎず、親指同士が軽く触れ合う程度の間隔を保ちましょう。頑張って速く打つ必要はありません。腕の動きに合わせて、リズミカルに打つことを心がけてください。
息継ぎのタイミングと姿勢
クロールでもっとも難しいのが息継ぎです。「息継ぎをすると沈んでしまう」という悩みをよく聞きます。これは、息を吸おうとして頭を上げすぎてしまうことが原因です。
息継ぎは、頭を上げるのではなく、「体を傾ける(ローリング)」動きに合わせて顔を横に向けることで行います。腕を後ろにかき切るタイミングで体を横に向け、水面から口半分が出るくらいの位置で息を吸います。頭頂部は常に進行方向へ向けたまま、首をひねるのではなく、体全体を回転させるイメージです。
このとき、前の手(伸ばしている手)が下がらないように注意しましょう。前の手でしっかりと水を捉えておくことで、体を支えることができます。苦しいときは無理に吸おうとせず、水中でしっかりと息を吐くことに集中すると、タイミングが合いやすくなります。
長く泳ぐための平泳ぎのコツ

平泳ぎは、クロールに比べてスピードは出にくいですが、呼吸がしやすく、長時間泳ぐのに適した泳ぎ方です。また、手足の動きが左右対称なので、体の歪みを整える効果も期待できます。
足の動き(キック)の基本
平泳ぎの推進力のメインは「キック」です。クロールとは異なり、足の裏で水を後ろに押し出すことで進みます。この動きが独特で難しく感じるかもしれませんが、基本は「引き付け・蹴り出し・挟む」の3ステップです。
まず、かかとをお尻に近づけるようにゆっくりと足を引き付けます。このとき、膝が開きすぎないように注意しましょう(肩幅程度)。次に、つま先を外側に向けて足首を曲げ(フレックス)、足の裏で水を後ろに向かって強く蹴り出します。
蹴り終わった後は、両足の裏を合わせるようにして足をしっかりと閉じ、まっすぐ伸ばします。この「蹴って、閉じる」動作を丁寧に行うことで、大きな推進力が生まれます。
手の動きとタイミング
平泳ぎの手の動きは、ハートを描くようなイメージです。両手を前に伸ばした状態から、手のひらを外側に向け、水をかき分けながら胸の前まで引き寄せます。このとき、肘を引きすぎないように注意してください。肘が背中側まで行ってしまうと、ブレーキになってしまいます。
水をかき込んだら、素早く脇を締め、両手を合わせて前方に突き出します。手の動きで大切なのは、「かきすぎない」ことです。あくまで息継ぎをするために顔を上げる補助と考え、推進力はキックに任せるのが、楽に泳ぐコツです。
手と足のタイミングも重要です。「手が先、足が後」のリズムを覚えましょう。手が伸びきってからキックを打つようにすると、スムーズに進みます。
抵抗を減らす姿勢「伸び」が重要
平泳ぎが上手な人とそうでない人の最大の違いは、「伸び(グライド)」の時間があるかどうかです。キックを打って手を前に伸ばした後、すぐに次の動作に入らず、体がスーッと水の中を進む時間を必ず作りましょう。
この「伸び」ている間が、平泳ぎでもっとも進んでいる瞬間です。手足をまっすぐに伸ばし、ストリームラインを作って2〜3秒待ちます。慌てて次の動作を始めると、水の抵抗を受けて失速してしまいます。
「蹴って、伸びる、1・2」と頭の中でカウントしながら泳ぐと、ゆったりとした大きな泳ぎになります。このリズムをつかめば、何百メートルでも疲れずに泳ぎ続けられるようになります。
ジムのプールでダイエット効果を高める泳ぎ方とメニュー

せっかくジムのプールに通うなら、ダイエット効果もしっかり出したいですよね。水泳は消費カロリーが高い運動ですが、ただ漫然と泳ぐよりも、工夫することで脂肪燃焼効率をさらに上げることができます。
有酸素運動としての効果的な時間配分
脂肪燃焼を目的とするなら、最低でも20分以上、できれば30分〜60分程度動き続けることを目標にしましょう。短距離を全力で泳いでゼーゼーと息を切らすよりも、会話ができるくらいの「ややきつい」と感じる強度で長く続ける方が、有酸素運動としての効果は高くなります。
泳ぎ続けるのが難しい場合は、途中で水中ウォーキングを挟んでも構いません。「泳ぐ→歩く→泳ぐ」を繰り返すことで、心拍数を一定に保ちながら運動時間を延ばすことができます。
【初心者向けのおすすめメニュー(約40分)】
1. 水中ウォーキング(5分):体を温め、水に慣れる。
2. ビート板キック(10分):顔を上げて呼吸しながら、脚を動かす。
3. クロールまたは平泳ぎ(15分):25m泳いだら少し休み、また泳ぐ。ゆっくりペースで。
4. 水中ウォーキング(10分):クールダウン。腕を大きく振ってリラックス。
インターバルトレーニングの導入
慣れてきたら、少し強度を上げた「インターバルトレーニング」を取り入れてみましょう。これは、「少し速く泳ぐ」と「ゆっくり休む(または歩く)」をセットにして繰り返す方法です。
例えば、「25mを少し速いペースで泳ぐ」→「30秒休憩」→「25m泳ぐ」を4〜8セット行います。心拍数にメリハリをつけることで、運動後のカロリー消費が続く「アフターバーン効果」も期待できます。
ただし、無理は禁物です。最初はセット数を少なくし、体調に合わせて徐々に負荷を上げていきましょう。
泳ぎ終わった後のケア
プールから上がった後のケアも、ダイエットや健康維持には欠かせません。まず大切なのは水分補給です。水中では気づきにくいですが、体は汗をかいて水分を失っています。運動中もこまめに水を飲むのがベストですが、終わった後もしっかりと水分を摂りましょう。
また、プールの塩素によって肌や髪が乾燥しやすくなっています。シャワーを浴びる際は、塩素をしっかりと洗い流し、ボディクリームやトリートメントで保湿ケアを行ってください。特に冬場は冷えを防ぐため、サウナやお風呂で体を芯から温めてから帰宅すると、疲労回復も早まります。
ジムのプールで泳ぎ方を楽しみながら継続するためのまとめ
ジムのプールは、初心者から上級者まで、自分のペースで楽しめる素晴らしい運動環境です。最初は緊張するかもしれませんが、基本的な泳ぎ方とマナーさえ押さえておけば、周りを気にしすぎることなく快適に過ごせます。
まずは「きれいに泳ごう」「速く泳ごう」と焦らず、水の中での浮遊感や、体が軽くなる感覚を楽しんでください。水中ウォーキングから始めて、少しずつクロールや平泳ぎに挑戦していくステップアップ方式なら、無理なく続けられるはずです。
「今日は20分歩こう」「次は25m泳ぎ切ってみよう」といった小さな目標を持ちながら、ジムのプールでの時間を健康的な体づくりに役立てていきましょう。継続することで、必ず体型の変化や体力の向上を実感できるはずです。


