幼児期にスイミングを始めると、多くの子供が最初にぶつかる壁が「顔を水につけること」です。親としては、お友達が楽しそうに潜っている姿を見ると、つい焦ってしまうこともあるかもしれません。しかし、水への恐怖心は子供にとって非常に大きなものであり、無理強いは逆効果になることが多いのです。
この記事では、幼児がスイミングで顔につけることを克服するための具体的なステップや、ご家庭でできる遊びを取り入れた練習方法、そして子供のやる気を引き出す親の関わり方について詳しく解説します。水嫌いを解消し、笑顔でプールに通えるようになるためのヒントを見つけていきましょう。
幼児がスイミングで顔につけることを嫌がる理由と克服への第一歩

まずは、なぜ多くの幼児が水に顔をつけることをこれほどまでに嫌がるのか、その心理と理由を正しく理解することから始めましょう。原因を知ることで、子供に寄り添った適切な対策を立てることができます。
水への恐怖心は自分を守るための本能的なもの
幼児にとって、未知の存在である「水」に対して恐怖を感じるのは、実は非常に自然で健全な反応です。水は呼吸を妨げる可能性のあるものであり、本能的に「危ない」と感じる防衛本能が働いているのです。この本能的な恐怖心を無視して無理に顔をつけさせようとすると、子供はパニックに陥り、さらに水が嫌いになってしまいます。
まずは子供が感じている恐怖を否定せず、「怖いと感じるのは当たり前なんだよ」と受け止めてあげることが大切です。恐怖心がある状態では、どんなに練習を重ねても体が強張ってしまい、上手くいきません。まずはプールの環境や水の感触に慣れ、「水は怖くない、楽しい場所なんだ」という安心感を持たせることが克服への最短ルートとなります。
焦らずに子供のペースを尊重し、少しずつ「水との距離」を縮めていく姿勢を持ちましょう。親がゆったりと構えることで、子供も次第にリラックスして水と向き合えるようになります。本能的なガードを解くためには、何よりも安心できる環境作りが欠かせません。
鼻に水が入る痛みのトラウマを解消する
過去にお風呂やプールで、予期せず鼻に水が入ってツーンとした痛みを経験したことがある子供は、その記憶がトラウマになっている場合があります。鼻に水が入る痛みは大人でも不快なものですが、幼児にとっては「溺れるかもしれない」という死の恐怖に近い感覚を抱かせることもあります。
このようなトラウマを克服するためには、「鼻から息を出す」という技術を学ぶことが重要です。水中で鼻から「ブクブク」と息を吐き出すことができれば、水が鼻の中に侵入してくるのを防ぐことができます。陸の上や、洗面器に張った浅い水を使って、鼻からフンッと息を出す練習を遊び感覚で取り入れてみましょう。
「お鼻からアリさんを飛ばしてみて」といった具体的なイメージを持たせる声掛けも有効です。鼻から息を出す感覚を掴めれば、「鼻に水が入らない方法」を自分でコントロールできるようになり、自信に繋がります。一つひとつの成功体験が、トラウマを少しずつ上書きしてくれるはずです。
視界が遮られることへの不安と対策
水に顔をつけるということは、一時的に視界がぼやけたり、目を開けられなくなったりすることを意味します。幼児にとって、周りが見えなくなることは非常に大きな不安要素です。何が起こるかわからない状況は、大人以上に恐怖を感じさせる原因となります。
この不安を解消するためには、まず顔に水がかかっても大丈夫という感覚を養う必要があります。お風呂で遊びながら、手で少しずつ顔に水をかけたり、おでこにシャワーを当てたりすることから始めましょう。この際、子供が自分で水をかけるように促すと、自分の意志でコントロールしている感覚が持てるため、恐怖心が和らぎます。
また、ゴーグルを使用することも一つの有効な手段です。ゴーグルをつければ水の中でも視界がクリアに保たれるため、「見える」という安心感から、すんなりと顔をつけられるようになるケースも珍しくありません。道具の力を借りて、視覚的な不安を取り除いてあげる工夫も検討してみましょう。
周囲の期待がプレッシャーになっている可能性
スイミングスクールの進級テストや、親からの「早く潜れるようになってほしい」という無言の期待が、子供にとってプレッシャーになっていることもあります。特に真面目な性格の子供ほど、できない自分に引け目を感じ、ますます水に対して消極的になってしまうという悪循環に陥りやすいです。
幼児期のスイミングにおいて最も大切なのは、技術の習得よりも「水を楽しむ心」を育むことです。テストの結果や進級のスピードにこだわりすぎず、子供がプールで笑っている姿を評価してあげてください。「今日は顔に水がかかっても泣かなかったね」といった、他人と比較しない小さな成長を見つけて言葉にしましょう。
親が結果を求めすぎると、子供は失敗を恐れるようになります。まずは「できなくても大丈夫、プールは遊ぶところだよ」というメッセージを送り続け、プレッシャーから解放してあげることが大切です。心が自由になれば、子供の好奇心は自然と水へと向いていくものです。
自宅のお風呂で楽しくできる!顔を水につけるための練習方法

スイミングスクールという特別な環境だけでなく、毎日のお風呂の時間は絶好の練習チャンスです。リラックスできるプライベートな空間で、遊びの延長として水に慣れていくステップを紹介します。
まずは「お口あわあわ」からスタートして自信をつける
顔全体をいきなり水につけるのではなく、まずはパーツごとに段階を踏んでいくのが基本です。一番最初に取り組みたいのが、口だけを水につけて「プクプク」と泡を出す練習です。これは「ブクブク」よりも軽い音をイメージさせることで、子供の心理的なハードルを下げることができます。
お風呂の縁や、親の手に水を溜めて、そこにお口をそっと近づけてみましょう。「お魚さんになって、泡をお話ししてみようか」と誘い、音が鳴るのを楽しむように促します。自分の口から泡が出る様子を面白がることができれば、水との距離が一気に縮まります。この段階では、鼻や目は濡れなくても全く問題ありません。
「お口あわあわ」ができるようになったら、次は「お鼻まで」と少しずつ範囲を広げていきます。焦らず、毎日少しずつ「水に触れる面積」を増やしていくのがポイントです。自分から水に近づいていくという自発的な行動を、しっかりと褒めてあげてください。
【お口あわあわ練習のコツ】
・親が先にやって見せ、楽しい音を出す
・ストローを使って水の中で泡を作る遊びから始めるのも効果的
・「1、2、3」と短い時間から秒数を数えてあげる
じょうろやコップを使った水遊びで顔を濡らす
自分から顔をつけるのが難しい場合は、上から水がかかることに慣れる練習を行いましょう。このとき、いきなりシャワーを使うのは刺激が強すぎるため、じょうろやコップを使うのがおすすめです。じょうろから出る優しい水流は、子供にとって雨のような感覚で、遊びの一環として受け入れやすいものです。
最初は肩や背中にかけ、次に後頭部、そして「おでこ」という順番で進めていきます。おでこから水が流れてくる感覚に慣れると、顔に水が伝わってもパニックになりにくくなります。子供にじょうろを持たせて、自分でお人形やおもちゃに水をかける遊びをさせるのも、水の動きを理解するのに役立ちます。
「次はママの頭にかけるよ!」と役割を交代するなどして、遊びの要素を強めることが成功の秘訣です。「水がかかる=楽しいことが起きる」というポジティブな条件付けを行っていきましょう。顔が濡れてもすぐに拭えるよう、乾いたタオルを近くに用意しておくと安心感が増します。
宝探しゲームで潜る感覚を自然に養う
水に顔をつけるという行為を「目的」にするのではなく、何かを達成するための「手段」に変えてしまうのが、宝探しゲームです。お風呂の底に沈むタイプのおもちゃ(沈降おもちゃ)を用意し、それを拾い上げる遊びを提案してみましょう。最初は浅いところから始め、徐々に深くしていきます。
子供はおもちゃを取ることに夢中になると、無意識のうちに顔を水に近づけたり、鼻先までつけたりすることがあります。最初は手だけで取れる位置に置き、少しずつ「顔を近づけないと届かない場所」へおもちゃを移動させてみてください。自発的に顔を近づけた瞬間を逃さず、「今、お鼻までついたよ!すごい!」と驚きを持って褒めることが重要です。
おもちゃは、子供が好きなキャラクターのものや、キラキラ光る石のようなものだとモチベーションが上がります。「遊びに夢中になっていたらいつの間にかできていた」という状態が理想的です。強制される練習ではなく、自ら挑戦したくなる仕掛けを作ってあげましょう。
お風呂での宝探しは、滑りやすいので必ず大人がそばで見守り、安全に配慮して行ってください。深さも、子供が座った状態で無理のない範囲に調整しましょう。
親がお手本を見せて「怖くない」を共有する
子供は親の反応を驚くほどよく見ています。親が「顔をつけなさい」と言いながら自分は顔を濡らさないようにしていると、子供は「やっぱり水は避けるべきものなんだ」と感じ取ってしまいます。まずは親自身が楽しそうに顔を水につけ、水遊びを心から楽しんでいる姿を見せることが、何よりの教育になります。
「見ててね、パパがお顔をつけるよ!ブクブクブク…ぷはー!気持ちいい!」と、大げさなくらいアクションをつけて見せましょう。顔を上げた後の爽快な表情を見せることで、水につけることへのネガティブなイメージを払拭できます。子供が「自分もやってみたい」と思えるような、楽しそうな空気感を作ることが大切です。
また、親子で向き合って同時に顔をつけるのも効果的です。信頼している親と一緒に取り組むことで、孤独な恐怖感が軽減されます。「パパ・ママと一緒にできた」という共有体験は、子供の心に強い自信と安心感を植え付けてくれます。練習を「教える時間」ではなく「一緒に遊ぶ時間」へと変換していきましょう。
グッズを上手に活用して恐怖心を取り除く工夫

精神的なアプローチだけでなく、物理的な道具を使うことで、驚くほどスムーズに課題をクリアできることがあります。幼児のスイミングにおける便利アイテムの活用法を紹介します。
ゴーグルの使用はいつからが良い?メリットと注意点
「水に顔をつけられない子にはゴーグルを使わせるべきか」という悩みは多いものです。結論から言うと、恐怖心が強くて練習が進まない場合は、早めにゴーグルを取り入れるのが正解です。前述の通り、視界が確保されることは幼児にとって大きな安心材料となり、顔をつけるハードルを一気に下げてくれます。
ゴーグルを使用するメリットは、目が痛くならないことと、水中の世界がはっきりと見える楽しさを知ることができる点です。一方で、ゴーグルに依存しすぎると、外したときに何もできなくなってしまうという懸念もあります。しかし、まずは「顔をつけられるようになること」を最優先にし、自信がついてから徐々に外す練習をするという順番でも遅くはありません。
選ぶ際は、子供の顔にフィットするサイズで、ベルトの調整がしやすいものを選びましょう。また、くもり止め加工がされているものを選ぶと、視界が常にクリアでストレスがありません。自分で選んだお気に入りの色のゴーグルなら、身につけること自体が楽しみになり、練習への意欲も高まります。
| メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|
| 視界がはっきりして恐怖心が減る | ゴーグルがないと潜れなくなる可能性がある |
| 目に水が入る痛みを防げる | 正しい装着には親やコーチの介助が必要 |
| 水中の生き物(おもちゃ)を観察できる | サイズが合わないと隙間から水が入る |
お気に入りのおもちゃを練習の仲間にする
幼児にとって、おもちゃは単なる道具ではなく、心強い「仲間」です。スイミングや練習の際に、自分のお気に入りのおもちゃを一緒に連れていくことで、緊張した心が和らぎます。例えば、お風呂練習の時にいつも遊んでいるアヒルや船のおもちゃを「応援団」として配置してみましょう。
「アヒルさんも見てるから、一緒にお顔を洗ってみようか」といった声掛けは、子供の勇気を引き出します。また、水に浮かぶものだけでなく、沈むタイプのおもちゃも活用してください。沈んだおもちゃに顔を近づける行為は、自然な潜水の練習になります。おもちゃを通じて、「水=遊びの道具がある場所」という認識を定着させることがポイントです。
最近では、水に入れると光るおもちゃや、カラフルな魚の形をしたダイビングリングなども市販されています。こうした視覚的に魅力的なアイテムを投入することで、恐怖心よりも「触ってみたい」「追いかけたい」という好奇心を刺激することができます。好奇心は、恐怖を乗り越えるための最大のエネルギー源となります。
スイミングキャップやタオルの重要性
意外と見落としがちなのが、スイミングキャップやタオルの役割です。スイミングキャップは、髪の毛が顔にかかるのを防いでくれます。顔に水をつける際、濡れた髪の毛が目や口にまとわりつくと、子供はそれだけで不快に感じ、拒否反応を示すことがあります。しっかりと髪をまとめ、視界を遮らないようにすることは基本ですが非常に重要です。
また、練習の合間にすぐに顔を拭けるタオルの存在は、絶大な安心感を与えます。「顔をつけた後、すぐにこれで拭けば大丈夫だよ」と、乾いたタオルを準備しておくことで、子供は安心して挑戦できます。特に顔を水から上げた直後の「水が目に入る感覚」を嫌がる子供は多いため、「すぐに拭ける環境」を保証してあげることが、次への挑戦に繋がります。
お気に入りのキャラクターが描かれたタオルや、肌触りの良いふわふわのタオルを用意してあげましょう。「練習を頑張った後に使う特別なタオル」として位置づければ、スイミングへのモチベーション維持にも役立ちます。小さな配慮の積み重ねが、子供の心の安定を支えることになります。
親のサポートで変わる!子供のやる気を引き出す声掛け

技術的な練習と同じくらい大切なのが、親の言葉によるサポートです。どのような声掛けが子供の背中を押し、逆にどのような言葉が意欲を削いでしまうのかを理解しておきましょう。
「頑張って」ではなく「見てるよ」の魔法
子供が何かに挑戦しようとしているとき、つい「頑張って!」と言ってしまいがちです。しかし、すでに限界まで頑張っている子供にとって、「頑張って」という言葉は「もっとやらなきゃいけない」という重荷になることがあります。特に水への恐怖心と戦っている最中の子供には、期待よりも安心感が必要です。
そんな時におすすめなのが「見てるよ」という言葉です。「パパはずっと見てるから大丈夫だよ」「ママが見守ってるから、安心してやってごらん」と伝えることで、子供は「自分は一人じゃない」「失敗しても守ってもらえる」という安心感を得ることができます。親の視線が自分に注がれていると感じるだけで、子供の勇気は格段に増すものです。
「頑張れ」という励ましは、ある程度自信がついてきた段階で使うのが効果的です。初期段階や克服中のデリケートな時期は、「見守っている」というメッセージを強調し、心理的な安全基地を作ってあげることを優先しましょう。親の温かい眼差しこそが、子供にとって一番の特効薬になります。
小さな成功体験を大げさに褒める
幼児にとって、顔を水に1秒つけるだけでも、エベレストに登るくらいの大きな挑戦です。大人の感覚で「まだこれだけしかできない」と判断するのではなく、子供が成し遂げた「小さな一歩」を全力で褒めてあげてください。褒める際は、単に「すごい」と言うだけでなく、具体的に何が良かったのかを伝えるとより効果的です。
「さっきよりお鼻が長く水に入ってたね!」「お顔を上げたあとの笑顔がとってもかっこいいよ!」といった具体的な称賛は、子供の自己肯定感を高めます。親に褒められることで、子供は「自分はできるんだ」という自信を持ち、次のステップへ進む意欲が湧いてきます。たとえ少しでも前進が見られたら、ハイタッチをしたり抱きしめたりして、喜びを共有しましょう。
また、結果だけでなく「挑戦しようとした姿勢」も褒める対象です。「今日はプールの縁まで顔を近づけられたね。その勇気がすごいと思うよ」と、行動のプロセスを評価してあげてください。成功したかどうかよりも、挑戦したこと自体に価値があることを伝え続けることが、強い心を育てます。
他の子と比較しない勇気を持つ
スイミングスクールに通っていると、同じ年齢の他の子がすいすい潜っている姿が目に入り、「どうしてうちの子は…」と比較してしまいがちです。しかし、成長のスピードは子供によって千差万別です。特に水への慣れに関しては、性格や過去の経験が大きく影響するため、個人差が出るのは当然のことなのです。
他の子との比較は、親の焦りを生むだけでなく、子供にも敏感に伝わります。親ががっかりした表情を見せると、子供は「自分はダメな子なんだ」と感じ、プール自体を嫌いになってしまいます。比べるべきは他の子ではなく、「昨日のその子自身」です。「先週は顔を濡らすのも嫌がっていたのに、今日は自分から水を触れたね」という風に、過去の本人からの成長に注目しましょう。
親がどっしりと構え、「うちはうち、この子のペースで大丈夫」と信じて待つ姿勢は、子供に大きな安心感を与えます。周囲の進級スピードに惑わされず、我が子の小さな変化を慈しむ心の余裕を持ちたいものです。その余裕が、結果として克服を早めることにも繋がります。
焦りは禁物!子供のペースを尊重する
水への苦手を克服する過程で、一度できるようになったことが翌日にはできなくなっている、という「一進一退」の状況はよく起こります。昨日までは顔をつけられたのに、今日は断固として拒否する、といった場面に直面すると、親は「どうして後戻りするの?」と焦りや苛立ちを感じてしまうかもしれません。
しかし、こうした揺れ動きは成長の過程で不可欠なものです。子供の心は繊細で、その日の体調や気分、プールの温度など些細な要因で変化します。できない日があっても「そんな時もあるよね」と大らかに受け流してあげてください。無理にやらせようとすると、せっかく積み上げてきた信頼関係や水へのポジティブな感情が崩れてしまいます。
克服までの道のりは、直線ではなく螺旋階段のように少しずつ上がっていくイメージです。「いつかはできるようになる」という長期的な視点を持ち、子供の「やりたい」という気持ちが自然に湧いてくるのを待ちましょう。親が焦りを捨てたとき、不思議と子供の成長は加速することが多いものです。
スイミングスクールでの指導とコーチとの連携

家庭での練習も大切ですが、スイミングスクールのプロの指導を活用することも克服への近道です。スクールという環境ならではのメリットや、コーチとの上手な付き合い方についてお伝えします。
指導のプロに任せるメリットと心理的効果
スイミングインストラクターは、数多くの「水嫌い」な子供たちを指導してきた経験を持つプロフェッショナルです。彼らは子供の恐怖心の度合いを見極め、それぞれのレベルに合わせた最適なアプローチを知っています。親だと甘えが出てしまって練習が進まない場合でも、先生相手なら「頑張ってみよう」と背筋が伸びる子供も多いものです。
また、コーチは「水遊びの天才」でもあります。歌を歌いながら、あるいは面白い擬音を使いながら、いつの間にか顔が濡れるような楽しいメニューを組み立ててくれます。プロの技術によって「気づかないうちに課題をクリアしていた」という体験ができるのは、スクールに通う最大のメリットと言えるでしょう。
親としては、指導の内容に口を出しすぎず、プロに任せる勇気も必要です。レッスン中は少し離れた場所から見守り、子供が先生の指示に従っている姿を肯定的に捉えましょう。プロの手を借りることで、親子間の緊張関係を緩和し、スイミングを純粋な習い事として楽しむ余裕が生まれます。
集団生活の中での刺激と学び
スクールでは、同じ年齢やレベルの子供たちが一緒に練習します。この「集団の力」は、幼児の成長において非常に大きな役割を果たします。自分と同じように顔をつけるのを怖がっていたお友達が、勇気を出して挑戦している姿を見ることは、言葉で説明されるよりも何倍も強い刺激になります。
「〇〇ちゃんができたから、自分もやってみようかな」というポジティブな対抗意識や、お友達同士での励まし合いは、恐怖心を乗り越える大きな原動力です。また、集団の中にいることで、自分の番が来るという適度な緊張感が、一歩踏み出すきっかけを作ってくれることもあります。「みんなと一緒に頑張る」という一体感が、個人の限界を押し広げてくれるのです。
ただし、集団の中で一人だけできないことに強く劣等感を感じてしまうタイプのお子さんの場合は、ケアが必要です。そのような時は、「みんなと一緒にプールにいられただけで花丸だよ」と、集団に参加できていること自体を高く評価してあげてください。環境を味方につけ、適度な刺激を力に変えていきましょう。
不安なときはコーチに相談しよう
子供がなかなか顔をつけられず、スクールに行き渋るようになった場合は、一人で抱え込まずに担当のコーチに相談してみましょう。コーチはレッスン中の子供の様子を細かく観察しており、親が見ていない場所での小さな変化や、つまずいているポイントを把握しているはずです。
「家では顔を洗うのも嫌がるのですが、スクールではどうですか?」「少し潜るのを怖がっているので、配慮をお願いできますか?」といった具体的な相談をすることで、コーチもよりきめ細やかなサポートを行えるようになります。コーチとの信頼関係を築くことは、子供が「先生なら守ってくれる」という安心感を持つのにも役立ちます。
プロの視点からのアドバイスを受けることで、親の悩みも軽くなることが多いです。スクールと家庭が連携して、同じ方針で子供をサポートすることが、克服への一番の近道となります。遠慮せずにコミュニケーションを取り、子供にとって最適な環境を一緒に作っていきましょう。
相談するタイミングは、レッスンの前後や、電話での連絡、連絡帳の活用など、スクールのルールに合わせて行いましょう。忙しい時間帯を避けると、より丁寧な対応を期待できます。
振替レッスンや環境の変化を考慮する
スイミングスクールに通う中で、急に嫌がるようになった場合は、外的環境の変化が影響していることもあります。例えば、振替レッスンでいつもと違うコーチやお友達になった、プールのコースが変わった、水温がいつもより低かったなど、大人にとっては些細なことが幼児には大きなストレスになります。
特に「顔をつける」というハードルに挑んでいる時期は、できるだけ環境を一定に保ってあげることが重要です。可能な限り決まった曜日、決まった時間、決まったコーチの下で練習を継続させることで、余計な不安を取り除くことができます。「いつもの場所でいつもの先生と」というルーチンが、挑戦への土台となります。
もしどうしても環境を変えなければならない時は、事前に子供によく説明し、「先生が変わっても、ママはいつもと同じ場所で見ているからね」と安心させてあげてください。変化に対して敏感な時期であることを理解し、心の準備をさせてあげる配慮が、スムーズな克服を助けます。
幼児がスイミングで顔をつける苦手を克服し楽しく泳ぐために
幼児のスイミングにおいて、顔を水につけることができない悩みは非常に一般的であり、決して恥ずかしいことでも遅れていることでもありません。大切なのは、子供が感じている恐怖を認め、そのペースに寄り添いながら、小さな成功体験を積み重ねていくことです。家庭でのお風呂遊びや、便利なグッズの活用、そして何より親の温かい声掛けが、子供の勇気を引き出す鍵となります。
「早く潜れるようになってほしい」という願いは、子供への愛情の裏返しですが、その焦りが子供のプレッシャーにならないよう、親自身も水遊びを楽しむ心の余裕を持ちましょう。コーチともしっかり連携し、焦らず一歩ずつ進んでいけば、いつの間にか笑顔で潜っている我が子の姿を見ることができるはずです。スイミングを通じて育まれる「苦手なことに向き合った経験」は、将来の大きな自信へと繋がっていくでしょう。



