水泳の選手コースに通うお子さんを持つ保護者の方にとって、中学受験や高校受験に向けた「選手コースの辞め時」は非常に悩ましい問題です。毎日のように続くハードな練習と、日に日に増していく勉強量の間で、お子さんも親御さんも心身ともに疲弊してしまうケースは少なくありません。
いつまで泳ぎ続けるのか、それとも勉強に専念するためにキッパリと辞めるべきなのか。その決断は、お子さんの将来や性格、そして目標とする志望校によっても大きく異なります。この記事では、受験を控えたスイマーたちがどのようなタイミングで決断を下しているのか、具体的な事例を交えて解説します。
選手コースで培った精神力や体力は、受験勉強においても大きな武器になります。辞めることを「逃げ」や「挫折」と捉えるのではなく、次のステップへ進むための前向きな選択にするためのヒントをまとめました。お子さんにとって最適な道を見つけるための参考にしてください。
選手コースの辞め時と受験シーズンの一般的な傾向

水泳の選手コースを続けていると、学年が上がるにつれて練習時間や強度が増していきます。特に受験が現実味を帯びてくる小学校高学年や中学3年生の時期には、多くの家庭で継続か引退かの選択を迫られます。
中学受験に向けた辞め時のピークはいつ?
中学受験を検討している場合、選手コースの辞め時として最も多いのは小学5年生の終わりから6年生の春にかけてです。この時期になると塾の授業日数が週3〜4回に増え、週末には模試が重なるようになるため、物理的にプールへ通う時間が確保できなくなります。
また、夏休み以降は本格的な「追い込み」の時期に入るため、そこまで続けていたお子さんも夏休み前の大会を区切りにするケースが目立ちます。一方で、5年生のうちに週の練習回数を減らし、6年生の1年間は完全に受験に専念するというスケジュールを組む家庭も多いのが現状です。
難関校を目指す場合は、より早い段階での決断が必要になることもあります。4年生の段階で通塾とのバランスを見て、選手コースから育成コース、あるいは一般コースへクラスを下げて、水泳を「リフレッシュ」として残すという選択肢も賢明な判断の一つと言えるでしょう。
高校受験を見据えた中学生の決断タイミング
中学生の場合、部活動とクラブチーム(スイミングスクール)の両立に悩むお子さんが増えます。高校受験に向けた辞め時として一般的なのは、中学3年生の夏の県大会や総体(総合体育大会)での引退です。これが一つの大きな区切りとなります。
しかし、中学生は思春期ということもあり、勉強のプレッシャーと練習のきつさが重なると、精神的に追い詰められやすい時期でもあります。成績が伸び悩んでいる場合、保護者としては「早く辞めて勉強に集中してほしい」と考えがちですが、本人が納得するまで泳がせることも重要です。
最近では、スポーツ推薦(裁量枠)での高校進学を目指し、あえて受験直前まで選手コースに残るという選択をする子もいます。ただし、これには一定以上のタイムや実績が必要になるため、コーチや家族としっかりと戦略を立てることが求められます。
大学受験や将来の進路に伴う引退の形
高校生まで選手コースを続けた場合、辞め時は大学受験のスタイルに大きく左右されます。一般入試で大学を目指すのであれば、高校2年生の冬や高校3年生の春には競技生活にピリオドを打ち、受験モードに切り替えるのが一般的です。水泳での実績を活かすなら、総合型選抜や推薦入試が選択肢に入ります。
選手コースを最後までやり遂げたという経験は、大学入試の面接や小論文において非常に強いアピール材料になります。単に「辞める」のではなく、これまでの努力をどう言語化し、次の目標に繋げるかを意識することで、競技引退がポジティブな転機となります。
もし大学でも水泳を続けたいと考えているのであれば、大学の部活動の見学に行ったり、現役大学生の話を聞いたりして、目標とするレベルを確認しておきましょう。辞め時を決めることは、決して終わりではなく、新しい生活をデザインすることと同義なのです。
選手コースを辞めるか迷った時の判断基準チェックリスト

「本当に今辞めていいのだろうか」「もう少し頑張れば両立できるのではないか」と迷うのは、これまで水泳に真剣に取り組んできた証拠です。迷った時に確認すべきポイントを整理しました。
本人の「泳ぎたい」という意欲は残っているか
最も大切なのは、お子さん自身が「まだ泳ぎたい」という気持ちを持っているかどうかです。親が受験を心配して辞めさせようとしても、本人に意欲があるうちは、無理に辞めさせると勉強にも身が入らなくなるという逆効果を招く恐れがあります。
逆に、練習に行くのを嫌がったり、タイムが伸びないことに過度なストレスを感じていたりする場合は、受験というきっかけを「逃げ道」として求めている可能性もあります。朝起きた時の様子や、練習から帰ってきた時の表情をよく観察してみてください。
もし、水泳が苦痛になっているのであれば、受験を理由に潔く辞めることで、心がスッと軽くなることもあります。本人にとってプールが「リラックスできる場所」なのか、それとも「重荷」になっているのかを、じっくり話し合って見極めることが大切です。
勉強時間と睡眠時間が確保できているか
選手コースと受験勉強の両立で、物理的に最も問題になるのが「時間」です。練習が夜遅くまで続き、帰宅後に宿題や自習をこなすと、どうしても就寝時間が遅くなってしまいます。成長期のお子さんにとって、睡眠不足は学習効率の低下だけでなく健康面でも大きなリスクです。
1日のスケジュールを書き出してみて、睡眠時間が削られていないか、机に向かう時間が志望校合格に必要な量を満たしているかを確認しましょう。もし睡眠時間が6時間を切るような生活が続いているのであれば、生活スタイルを見直すタイミングが来ていると言えます。
勉強と水泳のバランスを保つために「平日は勉強に集中し、週末だけ泳ぐ」といった調整が可能なクラブもあります。しかし、選手コースとしての質を維持するのが難しい場合は、思い切ってクラスを変更するか、休会を選択することも検討すべきです。
練習や試合へのモチベーションが低下していないか
水泳はタイムという明確な数字が出る競技です。受験勉強が忙しくなり、練習を休みがちになると、当然ながらベストタイムの更新は難しくなります。この「停滞期」に対して、お子さんがどう感じているかが重要な判断材料となります。
「今は勉強が優先だからタイムが出なくても仕方ない」と割り切れるのであれば良いのですが、周囲のライバルに抜かされることに耐えられず、やる気を失ってしまう子もいます。モチベーションが低い状態で練習に参加しても、怪我の原因になったり、時間を無駄にしたりすることになりかねません。
練習中の態度やコーチからの評価、試合の結果に対する反応などから、現在のモチベーションを推測してみましょう。もし「泳ぐこと自体が楽しくない」と感じ始めているのであれば、それは選手コースを卒業し、新しい目標へ向かうべきサインかもしれません。
辞める決断を下す前に、一度「1週間だけ休んでみる」という期間を設けるのも有効です。離れてみて初めて「やっぱり泳ぎたい」と思うか、「いなくて清々した」と思うかで、本当の気持ちが見えてきます。
受験勉強と選手コースを両立させるための具体的な工夫

「どうしても辞めたくないけれど、受験にも合格したい」という強い意志がある場合、戦略的な両立プランが必要です。限られた時間を最大化するための具体的な方法をご紹介します。
練習回数を減らして「細く長く」続ける選択肢
多くのスイミングスクールでは、選手コースでも「週3回コース」や「週末のみ参加」といった柔軟な対応をしてくれる場合があります。コーチに受験の意向を伝え、練習の強度や頻度を調整してもらうことが両立の第一歩です。トップチームに残ることは難しくなるかもしれませんが、籍を置くことは可能です。
週に何度か水に入るだけでも、体力維持やストレス解消には大きな効果があります。完全に辞めてしまうと、筋肉が落ちてしまい、後で復帰したくなった時に苦労します。現状維持を目標として「細く長く」続ける形をとることで、精神的な安定を保ちながら受験に臨むことができます。
ただし、この方法は「周りがどんどん速くなる中で、自分だけ停滞すること」を受け入れる精神的な強さが必要です。お子さんが他者との比較ではなく、自分自身のコンディション維持に価値を見出せるよう、保護者の方がサポートしてあげてください。
塾のスケジュールと練習時間の効率的な調整術
受験勉強が進むと、塾の講習やテストが練習時間と重なることが増えます。まずは半年から1年先までの塾のカレンダーを確認し、いつ、どの時期に負荷がかかるかを視覚化しましょう。夏期講習や冬期講習の期間は、水泳を完全に休み、勉強一本に絞るといったメリハリが重要です。
隙間時間の活用も欠かせません。例えば、プールへの移動時間に単語帳を見たり、練習前後の短い時間で1枚のプリントを終わらせたりする工夫です。選手コースの子は集中力が高い傾向にあるため、短い時間でも驚くほどの密度で勉強をこなせることがあります。
また、塾選びの際にも、個別指導塾や映像授業を活用するなど、自分のペースで進められる学習形態を選ぶのも一つの手です。集団塾の決まった時間に縛られないスタイルであれば、練習スケジュールとのパズルが組みやすくなります。
期限を決めて一時的に「休会」する運用
「辞める」という言葉は非常に重く、これまでの積み重ねを全て捨てるような感覚に陥りがちです。そこで、「〇月から受験が終わるまでの数ヶ月間だけ休会する」という形を提案してみてください。戻る場所があると思うだけで、精神的なプレッシャーは大きく軽減されます。
多くのスクールには休会制度があり、少額の維持費で選手登録を維持したまま、活動を休止できる仕組みがあります。特に中学受験の場合は、6年生の12月から入試本番の2月までの3ヶ月間だけ集中して休むというパターンが多く見られます。
休会期間中は、家庭でできる簡単なストレッチや筋力トレーニングを続けることで、運動不足による体力の衰えを防ぐことができます。受験が終わったら思い切り泳げるという「ご褒美」を目の前にぶら下げることで、勉強へのラストスパートをかけることができます。
両立を成功させるための3つのポイント
・コーチと密に連絡を取り、練習メニューの調整を相談する
・「何時から何時は勉強」とスケジュールを分刻みで管理する
・完璧を目指さず、8割の力で継続することを良しとする
選手コースを辞めた後の過ごし方と得られるメリット

「辞めたらこれまでの努力が無駄になる」と心配するお子さんも多いですが、実際には選手コースを卒業することで得られるプラスの影響も多大です。辞めた後の変化について見ていきましょう。
集中力を勉強に転換して成績アップを狙う
選手コースに通う子は、1日に数千メートルを泳ぎ込み、厳しいタイム設定に耐える「集中力のベース」が既に出来上がっています。その莫大なエネルギーを勉強に向けた時の爆発力は凄まじいものがあります。これまで練習に費やしていた週15〜20時間が全て勉強に充てられるわけですから、成績が急上昇するケースも珍しくありません。
水泳で培った「目標から逆算して努力する力」は、受験勉強においてもそのまま応用できます。模試の成績をタイムのように分析し、苦手分野を克服するための練習(勉強)を淡々とこなす姿勢は、他の受験生にはない強みです。辞めたことで得られた時間を最大限に活かすことで、第1志望校への合格がぐっと近づきます。
ただし、いきなり自由な時間が増えると、ついダラダラと動画を見たりゲームをしたりして過ごしてしまう子もいます。辞めてから数週間は、生活リズムを崩さないように親御さんがフォローし、水泳で使っていた時間を「勉強のルーチン」へスムーズに移行させることが大切です。
育成・一般コースへ変更して体力と健康を維持する
選手コースを辞める=水泳を完全に辞める、というわけではありません。タイムを競う厳しい環境からは一度離れ、週に1〜2回、趣味として泳ぐクラスに移るのも非常に有効な選択です。適度な有酸素運動は脳の活性化を促し、記憶力の向上やストレス緩和に役立つことが科学的にも証明されています。
受験勉強中、ずっと座りっぱなしでいると肩こりや腰痛、運動不足による肥満などの悩みが出てきます。週に一度、水の中で全身を動かすことで、リフレッシュ効果が得られ、次の日からの勉強効率が劇的に改善します。また、同じスクールの友達と競わずに談笑しながら泳ぐ時間は、受験期の孤独を癒してくれるでしょう。
もし将来的に高校や大学で水泳を再開したいと考えているなら、フォームが崩れない程度に泳ぎ続けておくことは大きなメリットになります。ガツガツ泳ぐのではなく、水の感触を楽しみながら健康を維持する「スイミングライフ」へシフトチェンジしてみてください。
他のスポーツや新しい趣味に挑戦する余裕が生まれる
選手コースを続けている間は、水泳以外の活動に時間を割く余裕はほとんどありませんでした。しかし、辞めることで「自分の時間がたっぷりある」という新しい感覚を味わうことができます。これまで興味があったけれど手を出せなかった、他の習い事や読書、プログラミングなどに挑戦する絶好の機会です。
受験勉強が主軸にはなりますが、勉強以外の「逃げ場」を新しく作ることは、精神衛生上とても良い影響を与えます。水泳一筋だった子が、音楽の楽しさに目覚めたり、チームスポーツで新しい仲間を作ったりすることで、人間としての幅が広がります。
水泳を辞めることは、決して「諦め」ではありません。一つの分野で一定の結果を出したからこそ、次のステージへ進むための権利を得たのだと、ポジティブに捉えてください。多様な経験を積むことは、将来の進路選択においても必ずプラスに働きます。
後悔しないために親子で話し合っておくべき3つのこと

選手コースの辞め時を決める際、親子でのコミュニケーションが不足していると、後に大きな後悔を残すことになります。決断を下す前に、必ず共有しておきたいポイントをまとめました。
親の希望ではなく子供の「本心」を最優先にする
保護者としては「受験に失敗してほしくない」という一心で、良かれと思って「もう辞めたら?」と促してしまうことがあります。しかし、納得感のないまま辞めさせられたという記憶は、お子さんの心に深い傷を残し、その後の親子関係や勉強への意欲に影を落とすことがあります。
まずは、お子さんが今の状況をどう感じているのか、膝を突き合わせてゆっくり聞いてあげてください。最初は「親を怒らせたくない」という思いから本音を隠すかもしれませんが、急かさず、じっくりと対話を重ねることが必要です。子供自身が「今は勉強を頑張りたいから、一旦区切りをつけたい」と口にするまで待つ忍耐も、親には求められます。
もし本人が「最後まで続けたい」と言い張る場合は、どの成績を下回ったら辞めるか、あるいはどの程度の勉強時間を確保するかという具体的な「約束」を書面などで交わすのも一案です。自分自身で決めたルールであれば、お子さんも自覚を持って両立に取り組むことができます。
辞めた後の「喪失感」との向き合い方を考えておく
生活の大部分を占めていた練習がなくなると、多くのお子さんが「自分から水泳を取ったら何も残らないのではないか」という喪失感に襲われます。特に、一緒に頑張ってきたチームメイトが練習を続けている様子をSNSで見たり、噂で聞いたりすると、取り残されたような寂しさを感じることがあります。
あらかじめ「辞めた直後は寂しくなるかもしれないけれど、それはそれだけ一生懸命だった証拠だよ」と伝えておき、その感情を否定せずに受け止めてあげてください。また、水泳以外の自分の良さや強みを親が積極的に褒めてあげることで、自己肯定感を保つことができます。
喪失感を埋めるのは、やはり新しい目標です。受験であれば「第1志望校に合格して、そこでまた水泳部に入る」といった具体的な未来像を描かせることで、エネルギーのベクトルを前向きに変えることができます。寂しさを成長の糧にするためのメンタルケアを意識しましょう。
「挫折」ではなく「発展的解消」と捉えるマインドセット
選手コースを辞めることを「ドロップアウト」や「挫折」と捉えてしまうと、その後の自信に響きます。そうではなく、「このステージでの学びは完了した」という肯定的な捉え方、いわゆる発展的な卒業として演出してあげることが非常に重要です。
「あんなに厳しい練習に何年も通い続けたあなたは、もう十分すぎるほどの力を持っている」と、これまでの過程を最大限に承認してあげてください。最後に参加する試合や練習の日には、家族でお祝いをしたり、コーチへ感謝の挨拶をしたりして、儀式的に区切りをつけるのも効果的です。
「水泳を辞めた自分」ではなく、「水泳の経験を持った新しい自分」として受験に挑むのだ、という意識を持たせてあげましょう。このマインドセットができている子は、試験本番で緊張した時も「あの練習に耐えられたんだから、この試験だって乗り越えられる」と、自分の経験を勇気に変えることができます。
受験を終えた保護者の方からは、「もっと早く辞めていれば……」という声よりも、「本人が納得するまで続けさせて良かった」という声の方が多く聞かれます。納得感こそが、後の自信を生むからです。
選手コースの経験を受験や将来の強みに変えるコツ

水泳という過酷なスポーツの選手コースで過ごした時間は、決して無駄にはなりません。むしろ、受験という戦いにおいて他の受験生にはない強力な武器を持っていると自覚しましょう。
厳しい練習で培った「忍耐力」は受験勉強の武器になる
選手コースのスイマーは、冬の冷たいプールでも、息が上がって苦しい時でも、決められたメニューを完遂する高い忍耐力を持っています。受験勉強において、机に向かい続ける苦労や、なかなか成績が上がらないもどかしさに耐える力は、まさに水泳で鍛えられたものです。
「あと1問だけ解こう」「あと10分だけ集中しよう」という粘り強さは、スポーツをやっていなかった子にはなかなか身につかない能力です。保護者の方は、お子さんが勉強で苦しんでいる時に「あの時の猛練習に比べれば、これなら乗り越えられるよ」と声をかけてあげてください。
水泳で培った「粘りの精神」は、特に試験終盤の逆転劇を生み出します。最後まで諦めずにペンを動かし続ける持久力は、必ず合格を引き寄せる力になります。水泳での苦労が、今まさに自分の助けになっているのだと実感できるはずです。
自己管理能力とタイムマネジメントの習慣化
選手コースに通いながら学校の宿題もこなしてきたお子さんは、無意識のうちに「限られた時間で何をすべきか」を判断する能力が身についています。ダラダラと時間を過ごすのではなく、パッと集中して終わらせるメリハリの付け方は、受験生活においても大きな強みです。
受験勉強が始まると、膨大な課題に優先順位をつける必要が出てきます。ここで、練習メニューを消化するように、今日の課題をリスト化し、一つずつクリアしていくスタイルを導入してみてください。進捗を可視化することで、達成感を得ながら効率的に学習を進めることができます。
また、体調管理に対する意識が高いのもスイマーの特徴です。バランスの良い食事や十分な休養がパフォーマンスにどう影響するかを経験的に知っているため、受験直前の大事な時期に体調を崩しにくいという隠れたメリットもあります。自己管理の徹底は、長期戦の受験を勝ち抜く必須条件です。
目標達成に向けた「プロセス思考」の応用
選手コースでは、常に「次の大会でベストを出すために、今の練習で何が必要か」を考えて泳ぎます。この目標と現状のギャップを埋める思考プロセスは、受験戦略そのものです。模試の結果を分析し、合格ラインに届くための弱点補強を行う作業は、水泳のフォーム改善と同じです。
PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を自然と回せる能力は、将来社会に出た時にも大いに役立ちます。受験を「志望校合格」という一つの大きな大会だと捉えれば、日々の学習はそのためのトレーニングに他なりません。感情的にならず、淡々とプロセスを積み上げる冷静さを持ち合わせているはずです。
これまでの水泳生活で培ったすべての力は、お子さんの血肉となっています。たとえ選手コースを辞めたとしても、そこで得た輝かしい経験や精神は消えることはありません。自信を持って、新しい目標である「合格」というゴールタッチに向かって突き進んでください。
| 選手コースで得た力 | 受験勉強での活かし方 |
|---|---|
| 圧倒的な忍耐力 | 長時間の学習や苦手科目の克服に粘り強く取り組む |
| タイムマネジメント力 | 隙間時間の活用や、効率的な学習計画の立案・実行 |
| 目標逆算型の思考 | 模試の結果から弱点を分析し、合格への戦略を立てる |
| 本番の集中力 | 入試本番の極限状態でも、普段通りの力を発揮する |
まとめ:選手コースの辞め時と受験への向き合い方
選手コースの辞め時を考えることは、お子さんの成長過程において非常に大きな決断です。中学受験や高校受験という節目は、これまでの競技生活を振り返り、新たなステージへと踏み出すための良いきっかけになります。決断を下す際は、周囲の意見に流されるのではなく、お子さんの体調、学習状況、そして何より「本人の納得感」を最優先にしてください。
もし両立を選ぶのであれば、練習回数の調整や休会制度を賢く利用し、無理のないスケジュールを組みましょう。一方で、引退を決意した場合は、それを挫折ではなく「次の目標への進化」と捉え、水泳で培った集中力や忍耐力をすべて勉強に注ぎ込んでください。選手コースで過ごした過酷な日々は、必ずお子さんの背中を押し、受験という壁を乗り越えるための最強の武器となります。
どのような選択をしても、これまで水泳に打ち込んできた事実は変わりません。親子でしっかり話し合い、受験が終わった時に「あの時、あの日、決断して良かった」と笑顔で振り返れるような道を選んでください。水泳で鍛えた心と体があれば、どんな未来も切り拓いていけるはずです。お子さんの受験、そしてこれからの人生が素晴らしいものになるよう、心から応援しています。

