「もっと楽に長く泳げるようになりたい」「タイムが伸び悩んでいて、何かヒントが欲しい」そんな風に感じたとき、プールの外でできる最良の練習のひとつが「読書」です。水泳の本おすすめを探そうと思っても、初心者向けの入門書から、競泳選手向けの専門的な理論書、子供への指導法まで種類はさまざま。今の自分にぴったりの一冊を見つけるのは意外と難しいものです。
この記事では、水泳の上達を目指すすべての人に向けて、目的やレベルに合わせたおすすめの本を厳選してご紹介します。水泳は感覚的なスポーツですが、理論を頭に入れることで身体の使い方が劇的に変わることもあります。あなたの水泳ライフをより充実させる「運命の一冊」を見つけてみてください。
水泳の本おすすめを選ぶポイントとは?

書店やネットショップには多くの水泳関連書籍が並んでいますが、どれも同じではありません。自分の現在の泳力や悩みにマッチしていない本を選んでしまうと、内容が難しすぎたり、逆に知りたい情報が載っていなかったりしてしまいます。まずは、自分に合った一冊を選ぶための基準を整理しておきましょう。
自分のレベルに合っているか確認する
まず最も重要なのが、ターゲットとしている「レベル層」の確認です。水泳の本には大きく分けて「初心者・カナヅチ克服向け」「中級・フォーム改善向け」「上級・競泳タイムアップ向け」の3つの層があります。
例えば、まだクロールの息継ぎが苦手な人が、高度な流体力学やミリ単位のフォーム修正を説く競泳専門書を読んでも、実践するのは難しいでしょう。逆に、ある程度泳げる人が「水に顔をつける練習」から始まる本を手に取っても物足りなさを感じてしまいます。本の表紙や「はじめに」の部分をチェックし、どのレベルのスイマーを対象にしているかを必ず確認してください。「楽に泳ぐ」がテーマなのか、「速く泳ぐ」がテーマなのかを見極めることが大切です。
イラストやDVD付きなど解説の形式を見る
水泳は身体の動きを伴うスポーツですので、文字だけの説明ではイメージしにくい場合があります。特にフォームの改善を目指すなら、写真やイラストが豊富に使われている「ビジュアル重視」の本がおすすめです。
最近では、QRコードを読み込んでスマートフォンで動画を確認できるタイプや、DVDが付属している書籍も人気があります。水中の動きは陸上からは見えない部分も多いため、水中映像が含まれている教材は非常に貴重です。自分の泳ぎを撮影してもらい、本や動画の理想的なフォームと比較することで、より効果的な練習が可能になります。視覚的に直感で理解できるかどうかは、本を選ぶ際の大きなポイントと言えるでしょう。
理論重視か実践ドリル重視かで選ぶ
本の内容が「理論(なぜそうなるのか)」に重きを置いているか、「ドリル(具体的な練習メニュー)」に重きを置いているかもチェックしましょう。
理論派の本は、水の抵抗や浮力、筋肉の構造など、理屈で納得してから身体を動かしたい人に向いています。「なぜ腰が沈むのか」という根本原因を知ることで、納得して練習に取り組めるようになります。一方、ドリル派の本は「ビート板を使って片手で泳ぐ」「拳を握って泳ぐ」など、具体的な練習方法がたくさん載っています。理屈よりもまずは身体を動かして感覚を掴みたい人や、毎日の練習メニューに変化をつけたい人にはドリル中心の本が役立ちます。自分の学習タイプに合わせて選んでみてください。
著者の実績や指導経験をチェックする
誰が書いた本なのかも信頼性を判断する材料になります。オリンピックメダリストなどのトップ選手が書いた本は、感覚的な「コツ」やメンタル面の記述に優れていることが多く、モチベーションアップにも繋がります。
一方で、長年市民スイマーや子供たちを教えてきたプロコーチや研究者が書いた本は、一般の人が陥りやすいミスや、身体が硬い人向けの改善策などを熟知している傾向があります。トップアスリートの感覚が必ずしも一般スイマーに当てはまるとは限らないため、自分の目指す泳ぎに近い指導をしている著者や、科学的根拠に基づいた解説をしている著者を選ぶと失敗が少なくなります。
初心者さん必見!クロールや基本を学べる水泳の本おすすめ

ここでは、これから水泳を始めたい大人の方や、基本的な泳ぎ方を学び直したい初心者の方におすすめの本を紹介します。無理なく、楽に泳げるようになるためのメソッドが詰まった良書をピックアップしました。
『大人の水泳 知っておきたい上達&改善のコツ50』等の入門書
大人になってから水泳を始める場合、子供とは違ったアプローチが必要です。体力や柔軟性に頼るのではなく、頭で理解して効率よく体を動かすことが上達の近道です。
例えば『大人の水泳 知っておきたい上達&改善のコツ50』(メイツ出版)のような本は、大人が陥りがちな体の硬さや力の入りすぎといった問題を前提に解説されています。無理に頑張らなくても、浮力をうまく使えば楽に進むことができます。こうした入門書では、壁を蹴って進む「けのび」の姿勢や、力を抜くための「浮き身」の技術など、泳ぎの土台となる部分が丁寧に解説されており、大人の学び直しに最適です。
『クロール大全』で楽に長く泳ぐ技術を学ぶ
水泳界で革命的とも言われたメソッド「トータル・イマージョン(TIスイム)」の関連書籍も、初心者や中高年スイマーには非常におすすめです。従来の「水をかいて進む」という考え方ではなく、「重心移動で魚のように滑らかに進む」ことを提唱しています。
特に竹内慎司氏の著書『クロール大全』(晶文社)は、いかに抵抗を減らして楽に泳ぐかを科学的に解説しています。「バタ足を頑張らない」「手を回すのではなく前に伸ばす」といった目から鱗の理論が満載で、すぐに息が上がってしまう人や、25メートル泳ぐのがやっとという方にとっては、泳ぎを劇的に変えるきっかけになるでしょう。
DVD付きで視覚的に理解できる書籍
初心者にとって、文章で「肘を高く上げて」と書かれていても、実際にどの程度上げれば良いのか、タイミングはいつなのかを理解するのは難しいものです。そこで役立つのがDVD付きの書籍です。
『DVDでマスター! 必ずうまくなる水泳 クロール・平泳ぎ・背泳ぎ・バタフライ』(学研プラス)などの本は、4泳法の基本を映像で確認できるため、イメージトレーニングに最適です。スロー再生や水中アングルからの映像を見ることで、自分の泳ぎとのギャップに気づきやすくなります。プールに行く前に映像を見てイメージを作り、プールから帰ってきてから復習する。この繰り返しを行うことで、独学でも着実にきれいなフォームを身につけることができます。
中級者・上級者向け!タイムを縮める競泳・フォーム改善の本

ある程度泳げるようになり、次はタイムを縮めたい、もっときれいに泳ぎたいという中上級者向けには、より専門的で実践的な内容の本が必要になります。ここからは、競泳選手やマスターズスイマーにおすすめの本を紹介します。
『上達泳本 4泳法をマスターして速く泳ぐ』
「鉄人」と呼ばれるスイマー、原英晃氏による著書です。自身もトップスイマーとして活躍しながら、指導者としての実績も豊富な著者が、速くなるための極意を解説しています。
この本の特徴は、単なるフォームの解説にとどまらず、大人が陥りやすい「頭ではわかっているけど身体が動かない」という悩みに対して、具体的な解決策を提示している点です。身体の構造や感覚的な表現をうまく言語化しており、中級者がワンランク上の泳ぎを目指す際にぶつかる壁を突破するヒントが詰まっています。4泳法それぞれのスキルアップ術が網羅されているため、専門種目以外の泳ぎをレベルアップさせたい時にも役立ちます。
『競泳 最強のコツ50』でポイントを絞って改善
タイムアップを目指す際、漫然と泳いでいても記録は伸びません。どこを修正すれば抵抗が減るのか、どこを強化すれば推進力が増すのか、ポイントを絞って改善することが重要です。
『DVDで記録を伸ばす! 競泳 最強のコツ50』(メイツ出版)のような「コツ」をまとめた書籍は、自分の課題に合わせてピンポイントで情報を得られるのがメリットです。「スタート・ターン」「ストローク」「キック」「呼吸」など、各要素における「最強のコツ」が簡潔にまとめられています。練習の合間や試合の直前などにパラパラと読み返し、「今日はこのコツを意識して泳ごう」とテーマを決めて練習に取り組むのに適しています。付属DVDでトップ選手の動きを確認できる点も大きな魅力です。
抵抗を減らす「フラットスイム」を解説した本
中上級者がさらにタイムを縮めるために避けて通れないのが「水の抵抗」との戦いです。どれだけパワーがあっても、姿勢が悪ければ水の抵抗を受けてブレーキがかかってしまいます。
そのため、水面に対して身体を水平に保つ「フラットスイム」や「ストリームライン」の重要性を説いた本を選ぶのも賢い選択です。多くの技術書の中で、体幹の使い方や骨盤の角度など、微細なコントロールについて深く掘り下げているものを選びましょう。パワーに頼らず技術で速くなりたいマスターズスイマーにとって、抵抗削減の理論はまさに救いの手となるでしょう。
ドリル練習やトレーニングメニューを組むのに役立つ水泳の本

毎日の練習がマンネリ化している、自分一人でメニューを組むのが難しいと感じている方には、具体的な練習メニューやドリル(部分練習)が豊富に掲載されている本がおすすめです。
『差がつく練習法 水泳 実践的練習ドリル』
こちらも原英晃氏監修の人気書籍で、具体的なドリル練習のレパートリーを増やしたい人には最適な一冊です。
「片手スイム」や「キャッチアップクロール」といった基本的なドリルから、上級者向けの高度なコーディネーションドリルまで、多くの練習方法が紹介されています。それぞれのドリルが「何を改善するための練習なのか」という目的が明確に示されているため、自分の弱点に合わせてメニューを組み立てることができます。プールサイドに持っていきやすい構成になっているものも多く、指導者が選手に教える際のネタ帳としても非常に優秀です。
『水泳のきれいなカラダをつくる ドライランドトレーニング』
水泳の上達には、水中練習だけでなく陸上でのトレーニング(ドライランド)も欠かせません。しかし、一般的な筋トレ本では水泳に必要な筋肉を効率よく鍛えられないこともあります。
そこでおすすめなのが、高橋雄介氏の著書『水泳のきれいなカラダをつくる スリムな逆三角形になる!ドライランドトレーニング』です。水泳選手に必要な「逆三角形の体」を作るためのトレーニングや、柔軟性を高めるストレッチ、体幹トレーニングなどが詳しく解説されています。特に、肩甲骨周りの可動域を広げるエクササイズや、水中での姿勢を安定させるためのコアトレーニングは、怪我の予防という観点からも非常に重要です。自宅でできるメニューも多いため、忙しくてプールに行けない日のトレーニングとしても活用できます。
マスターズスイマー向けの練習メニュー本
自分一人で練習しているマスターズスイマーにとって、その日の練習メニュー(サークルタイムや本数)を決めるのは悩みの種です。
そんな時に役立つのが、レベル別の練習メニューが何パターンも掲載されている本です。「今日は持久力アップの日」「今日はスプリント強化の日」といった具合に、目的に合わせたメニューを本から選んでそのまま実践できます。プロのコーチが考案したメニューであれば、アップからメインスイム、ダウンまでの流れが理にかなっており、効率的に心肺機能や筋力を強化できます。練習日誌をつける際に、参考にしたメニューを記録しておくと、成長の過程がわかりやすくなります。
指導者や親御さん向け!子供に水泳を教えるための本

「子供に泳ぎを教えたいけれど、どう教えればいいかわからない」「子供がスイミングスクールに通っているが、もっとサポートしてあげたい」そんな親御さんや指導者向けの本も充実しています。
『子どもに必要な能力はすべて水泳で身につく』
この本は技術的な指導書というよりは、水泳という習い事が子供の成長にどう影響するかを説いた教育書的な側面が強い一冊です。
著者の菅原優氏は、水泳が全身運動であるだけでなく、脳の発達や自己肯定感の向上にも良い影響を与えると説いています。自身の指導経験に基づき、水泳を通じて子供の「体力」「集中力」「目標達成能力」をどう伸ばすかを解説しています。親として子供の水泳とどう向き合うべきか、スランプに陥った時にどう声をかけるべきかといったメンタルサポートのヒントも満載です。子供をスイミングに通わせている保護者なら、読んでおいて損はない内容です。
『小学生の水泳 最強上達BOOK』
子供自身が読んでも理解しやすく、親御さんが教える際の参考書としても優秀なのが『小学生の水泳 最強上達BOOK ライバルに差をつける!』(メイツ出版)です。
小学生向けに作られているため、写真やイラストが大きく、難しい専門用語を使わずに解説されています。クロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライの4泳法について、段階的なステップアップ方式で学べるようになっています。特に「息継ぎができない」「足が沈む」といった、子供が最初につまずきやすいポイントへの対処法が丁寧に書かれているのが特徴です。親子で一緒に本を見ながら、「次はこれをやってみよう」と目標を立てるコミュニケーションツールとしても活用できます。
『ドラえもんの体育おもしろ攻略 水泳がみるみる上達する』
活字が苦手な子供には、漫画で学べる学習シリーズが最強の味方です。
ドラえもんが登場する『ドラえもんの体育おもしろ攻略 水泳がみるみる上達する』(小学館)は、ストーリー仕立てで水泳のコツを楽しく学べます。漫画だからといって内容は侮れません。
元競泳選手の不破央氏が指導・監修しており、水への恐怖心をなくす方法から本格的な泳法技術まで、要点をしっかり押さえています。子供が自分から進んで読みたくなるため、プールに行く前のモチベーションアップにもつながります。「水泳って楽しそう!」と子供に思わせるきっかけ作りとして、最初の一冊におすすめです。
メモ:
子供に教えるときは「褒める」ことが最大の技術です。本に書いている通りにできなくても焦らず、できた部分を見つけて褒めてあげましょう。本はあくまでガイドラインとして活用してください。
水泳の理論や体の仕組みを深く知るための専門書

最後に紹介するのは、感覚ではなく「科学」で水泳を捉えたい人向けの専門書です。コーチやトレーナーを目指す人はもちろん、理論派の一般スイマーにとっても知的好奇心を刺激される内容となっています。
『スイミング・サイエンス 水泳を科学する』
水泳を「物理学」「生理学」「バイオメカニクス」などの科学的な視点から解き明かした一冊です。
「なぜ速く泳げるのか」を流体力学の観点から解説したり、エネルギー代謝の仕組みから最適な栄養摂取を論じたりと、内容は多岐にわたります。海外の最新の研究データなどが盛り込まれていることも多く、日本の従来の指導法とは違った視点を得られることもあります。オールカラーの図解やイラストが豊富なものが多く、眺めているだけでも新しい発見があります。自分の泳ぎを論理的に分析し、0.1秒を削り出すためのヒントを探している研究熱心なスイマーにはたまらない一冊です。
『スイミング解剖学』
身体の筋肉や骨格の仕組みを知ることは、フォーム改善や怪我予防に直結します。『スイミング解剖学』は、水泳の動作中に「どこの筋肉がどのように使われているか」を透視図のようなイラストで解説した名著です。
例えば、ストロークのキャッチ局面ではどの筋肉が働いているのか、キックの打ち下ろしではどこの筋肉が重要なのかが一目でわかります。さらに、その筋肉を強化するための陸上トレーニング方法もセットで紹介されているのが素晴らしい点です。「広背筋を意識して」と言われてもピンとこない人でも、この本を見れば意識すべき部位が明確になります。怪我をせずに長く泳ぎ続けるためのコンディショニング知識としても役立ちます。
メンタル面やコンディショニングの本
水泳は個人競技であり、自分自身との戦いでもあります。そのため、メンタルコントロールに関する本も有効です。
試合前の緊張をほぐす方法や、苦しい練習を乗り越えるための思考法、スランプ時の心の保ち方などが書かれたスポーツ心理学の本は、心の支えになります。また、食事や睡眠などのコンディショニングに特化した本も重要です。水泳はエネルギー消費が激しいスポーツなので、練習後のリカバリー食事法や、試合当日の食事スケジュールなどを学ぶことで、パフォーマンスを最大限に発揮できるようになります。
水泳の歴史や文化を学べる読み物
技術書ではありませんが、水泳の歴史や過去の名選手たちの自伝なども、水泳への理解を深めるのに役立ちます。
古式泳法」の歴史や、オリンピックの競泳史などを読むことで、水泳という競技の奥深さを知ることができます。また、トップアスリートのエッセイなどは、彼らがどのような苦悩を乗り越えてきたかを知ることができ、自分も頑張ろうという勇気をもらえます。プールに行けない日や、少し水泳に対するモチベーションが下がってしまった時に、こうした読み物を手に取ってみるのも良い気分転換になります。
まとめ:水泳の本おすすめを活用して理想の泳ぎを手に入れよう
水泳の上達を目指すためのおすすめ本を、レベルや目的別にご紹介しました。
初心者の方には『大人の水泳 知っておきたい上達&改善のコツ50』や『クロール大全』のような、楽に泳ぐコツを教えてくれる本が最適です。また、タイムアップを目指す中上級者には、『上達泳本』や『競泳 最強のコツ50』のような実践的な技術書が、壁を破るきっかけを与えてくれるでしょう。さらに、『スイミング・サイエンス』や『スイミング解剖学』のような理論書を読み込むことで、頭で理解しながら効率的な練習ができるようになります。
本を読むことの最大のメリットは、プールにいない時間も水泳の練習に変えられることです。通勤電車の中や就寝前のひとときに本を読み、理想の泳ぎをイメージトレーニングする。そしてプールで実際に試してみる。この「インプット」と「アウトプット」の繰り返しこそが、上達への最短ルートです。
ぜひ今回紹介した中から、あなたの今の課題に合った一冊を見つけて、水泳ライフをより楽しく、充実したものにしてください。



