キャッチアップクロールのコツとは?長く楽に泳ぐための練習法

キャッチアップクロールのコツとは?長く楽に泳ぐための練習法
キャッチアップクロールのコツとは?長く楽に泳ぐための練習法
泳ぎ方のコツ・技術

「クロールで長く泳ぐとすぐに疲れてしまう」「バタ足は頑張っているのに全然進まない」といった悩みを持っていませんか?

もしそうなら、泳ぎのタイミングが少しずれているだけで、無駄な力を使っている可能性があります。そんな悩みを解決するために最も効果的なのが「キャッチアップクロール」という泳ぎ方です。

キャッチアップクロールは、左右の手を前で揃えてから次の動作に移る泳法で、初心者のフォーム矯正から上級者の効率アップまで幅広く取り入れられています。

この記事では、キャッチアップクロールの正しいやり方や、スムーズに泳ぐためのコツ、そして陥りやすい失敗例までを丁寧に解説します。このコツを掴めば、水に乗ってスーーッと進む気持ちよさを体感できるはずです。

キャッチアップクロールの基本とメリット

まずは、キャッチアップクロールとは具体的にどのような泳ぎ方なのか、そしてなぜそれを練習する必要があるのか、その理由をしっかり理解しましょう。

ただ漫然と手を合わせるだけでは、このドリルの本当の効果を得ることはできません。目的を明確にすることで、上達のスピードは格段に上がります。

キャッチアップクロールとは?

キャッチアップクロールとは、左右の腕を交互に回す通常のクロールとは異なり、片方の手が前の手に「追いつく(Catch up)」まで待ってから、次のストロークを始める泳ぎ方です。

具体的には、リカバリー(空中で腕を戻す動作)してきた手が、前にある手に触れる、あるいは並ぶまで待ちます。両手が前にある瞬間を作ってから、かき始めるのです。

イメージとしては「バトンパス」に似ています。右手が左手にバトンを渡してから左手が動き出す、といったリズムです。

この「待つ時間」があることで、慌ただしい動きがなくなり、一つひとつの動作を確認しながら泳ぐことができるようになります。

メリット1:ストリームライン(けのび姿勢)が安定する

キャッチアップクロールの最大のメリットは、水の抵抗が最も少ない「ストリームライン(一直線の姿勢)」を長く保てることです。

通常のクロールでタイミングが早すぎると、前の手が伸びきらないうちに次の動作に入ってしまい、体が沈んだり抵抗が増えたりします。

しかし、手を前で揃えるキャッチアップクロールなら、強制的に体が一直線に伸びる時間が生まれます。

この「伸びている時間」こそが、水の中を抵抗なく滑るように進む「グライド」の時間となり、楽に泳ぐための鍵となるのです。

メリット2:ひとかきで進む距離(DPS)が伸びる

水泳の効率を示す指標に「DPS(Distance Per Stroke:1ストロークあたりの進む距離)」というものがあります。

キャッチアップクロールを行うと、前の手をじっくりと遠くまで伸ばす意識が生まれます。遠くの水を掴んで、後ろまでしっかり押し切るという一連の動作を丁寧に行えるため、結果としてひとかきで進む距離が長くなります。

ガチャガチャと腕を回数多く回して進むのではなく、ゆったりとした大きな泳ぎでスイスイ進む。そんな優雅なクロールを目指す人にとって、これ以上ない練習方法と言えるでしょう。

キャッチアップクロールを成功させる4つの重要なコツ

それでは、実際にキャッチアップクロールを練習する際に意識すべき具体的なコツをご紹介します。

単に「手を合わせればいい」と思って泳ぐと、逆にリズムが悪くなってしまうことがあります。スムーズで美しい泳ぎにするためには、以下の4つのポイントを意識してください。

コツ1:待っている手は「置き去り」にせず伸ばし続ける

初心者が最もやりがちなのが、前で待っている手を「休憩させてしまう」ことです。

待っている手が死んだように脱力してしまうと、手首が折れたり、肘が下がったりして水の抵抗になります。

コツは、待っている間も「指先で遠くの壁を触りにいく」ような意識を持ち続けることです。

肩甲骨からググッと前に腕を押し出すイメージを持つと、背中の筋肉が使われてボディラインが引き締まり、より抵抗の少ない姿勢をキープできます。

【チェックポイント】

・待っている手のひらは下を向いているか?

・肘が落ちていないか?

・肩が耳に触れるくらい伸びているか?

コツ2:体は平らではなく、適度にローリングさせる

「手を前で揃える」と聞くと、体を水面に対してフラット(平ら)にしたまま泳ごうとしてしまう人がいます。

しかし、完全にうつ伏せのままでは、腕を回すときに肩が窮屈になり、スムーズなリカバリーができません。

キャッチアップクロールであっても、体は左右に回転する「ローリング」の動作が必要です。

リカバリーする側の肩が水面から出て、伸ばしている側の肩は水中に沈む。この傾きを作ることで、腕が楽に回り、より遠くへ手を伸ばせるようになります。

ただし、体をひねりすぎるとバランスを崩すので、おへそは常に下斜め前を向いているくらいの適度な角度を保ちましょう。

コツ3:キックは止めずに打ち続ける

手が前で揃った瞬間に、動きが止まってしまう人がいます。これを防ぐために重要なのが「キック(バタ足)」です。

上半身の動きが一瞬止まるキャッチアップクロールでは、下半身の推進力がなくなると、急激に失速して足が沈んでしまいます。

手が前で待っている間も、足は小刻みに動かし続けましょう。推進力を得るための強いキックである必要はありません。

「体を水面に浮かせておくためのキック」と考え、水面近くでパラパラと軽く打ち続けることが、水平姿勢を保つコツです。

コツ4:目線は真下〜やや斜め前で固定する

頭の位置は、泳ぎのバランスを決定づける非常に重要な要素です。

手を前で合わせようと意識しすぎると、無意識に顔が上がって前を見てしまうことがあります。

頭が上がると、シーソーの原理で腰と足が沈みます。これではせっかくのストリームラインが台無しです。

目線はプールの底、真下か、少しだけ斜め前(1〜2メートル先)を見るようにしましょう。

後頭部が水面から少し出ているくらいが理想のポジションです。「首の後ろを伸ばす」という感覚を持つと、自然と良い頭の位置が決まります。

よくある失敗例と改善ポイント

キャッチアップクロールは単純に見えて奥が深く、慣れないうちはいくつかの典型的なミスに陥りがちです。

自分が以下の失敗例に当てはまっていないか確認し、それぞれの改善ポイントを実践してみてください。

失敗例1:完全に停止してしまう「ブレーキ泳ぎ」

手を合わせた瞬間に、「ピタッ」と全ての動きが止まってしまうケースです。

動きが完全に止まると、次に動き出すときに大きなエネルギーが必要になり、かえって疲れてしまいます。自転車で一度止まってから漕ぎ出すのが大変なのと同じ原理です。

【改善ポイント】

「止まる」のではなく「伸びる」という感覚に書き換えましょう。手が前にある時間は、停止している時間ではなく、前のストロークで作った推進力に乗って進んでいる時間です。

常に体全体がスーッと前に移動している感覚を大切にしてください。

失敗例2:足が沈んで体が斜めになる

手を揃えることに集中しすぎて、下半身への意識が抜け落ちてしまうパターンです。

足が沈むと水の抵抗を真正面から受けてしまい、どんなに腕で頑張っても進みません。

【改善ポイント】

お腹に少し力を入れて、腰を水面に持ち上げる意識を持ちましょう。「ドローイン(お腹をへこませる)」の状態をキープすると、体幹が安定し、足が浮きやすくなります。

また、前述したようにキックを止めないことも必須条件です。

失敗例3:呼吸のタイミングで手が落ちる

息継ぎをするときに、前にある手が一緒に下がって水をかいてしまうミスです。

呼吸動作で体を支えようとして、無意識に前の手で水を下に押さえつけてしまうことが原因です。

これをしてしまうと、手が前にないのでキャッチアップになりませんし、体も沈みます。

【改善ポイント】

「呼吸中も前の手は水面近くに残す」ことを徹底的に意識します。

もしどうしても下がってしまう場合は、ビート板を片手で持って練習するか、プールサイドを掴んで呼吸の練習をするなど、支えがある状態で「手を残す感覚」を養いましょう。

呼吸の際は、頭を上げるのではなく、軸を中心に「転がる」ように横を向くのがポイントです。頭頂部が進行方向に向いたまま回転すれば、前の手は安定しやすくなります。

段階別!キャッチアップクロールの練習ドリル

いきなり完璧なキャッチアップクロールを泳ぐのは難しいかもしれません。そこで、難易度を段階的に分けた練習ドリルを紹介します。

自分のレベルに合わせて、やりやすいものから取り組んでみてください。

ステップ1:ビート板を使ったキャッチアップ

まずは道具に頼って、正しいフォームを体に覚え込ませましょう。

ビート板を両手で持ち、片手で水をかいたら、またビート板を両手で掴むという練習です。

【やり方】

1. ビート板の端を両手で持ってけのびをします。

2. 片手を離して水をかき、太ももまでタッチしたら腕を戻します。

3. 戻した手がビート板をしっかり掴んでから、反対の手を動かします。

この練習では、必ず「両手がビート板にある時間」を作ることが重要です。ビート板があるおかげで手が沈まないので、落ち着いてストロークの軌道を確認できます。

ステップ2:親指タッチ(サムタッチ)クロール

道具なしで行う、標準的なキャッチアップクロールの練習です。

手が前で戻ってきたときに、両手の親指同士を「カチッ」と触れ合わせることをルールにします。

【やり方】

1. 通常のクロールの姿勢からスタートします。

2. リカバリーした手が、前にある手の親指に触れるまで、前にある手は絶対に動かしません。

3. 親指が触れたのを確認したら、スイッチを押されたように前の手をかき始めます。

視覚だけでなく「触覚」を使ってタイミングを計れるので、非常にわかりやすい練習法です。「触ってから、かく」を呪文のように唱えながら泳いでみましょう。

ステップ3:握りこぶし(フィスト)キャッチアップ

手のひらではなく、握りこぶしを作ってキャッチアップクロールを行います。

手のひらの面積が減るため、腕全体で水を捉える感覚(ハイエルボー)や、体幹を使って進む感覚が必要になります。

【やり方】

1. 両手をグーの形にします。

2. その状態でキャッチアップクロールを行います。

3. 手のひらで水を押せないので、前腕(肘から先)全体で水を後ろに運ぶ意識を強く持ちます。

この練習をした後に普通の手(パー)に戻して泳ぐと、驚くほど水が重く感じられ、推進力がアップしていることに気づくはずです。

キャッチアップから通常のクロールへのつなげ方

キャッチアップクロールはあくまで練習ドリルであり、レースや普段の泳ぎで完全に静止するようなキャッチアップをするわけではありません。

最終的には、この練習で培った「伸び」と「タイミング」を、通常の泳ぎ(コンビネーション)に落とし込むことがゴールです。

では、どのようにしてドリルから実際の泳ぎへ移行すればよいのでしょうか。

「フロントクワドラント」という考え方

上級者のクロールを観察すると、完全なキャッチアップ(手が触れるまで待つ)ではありませんが、常にどちらかの手が「前方(頭より前のエリア)」にある状態で泳いでいます。

これを「フロントクワドラント(前方4分の1)スイム」と呼びます。

キャッチアップクロールで練習した「待つ感覚」を少しだけ短くし、「手が触れそうになったら、前の手をかき始める」というタイミングに調整していきます。

完全に重ねるのではなく、「すれ違いざまにスイッチする」イメージです。

リズムを変えて泳いでみる

練習の中に、キャッチアップと通常の泳ぎをミックスするメニューを取り入れましょう。

【練習メニュー例】
25mプールの場合:
・行き(12.5m):完全なキャッチアップクロールでフォーム確認
・帰り(12.5m):キャッチアップの伸びを意識した通常のクロール

このように交互に行うことで、ドリルで得た「伸びる感覚」を忘れないうちに、スムーズな連動動作の中で再現する練習になります。

通常のクロールに戻したとき、以前よりも腕を回す回数(ストローク数)が減り、楽に進んでいる感覚があれば成功です。

スピードを上げても「タメ」を忘れない

速く泳ごうとすると、どうしても腕を早く回したくなりますが、それでは水が空回りしてしまいます。

スピードを上げるときこそ、キャッチアップで覚えた「水に乗る一瞬のタメ」が重要です。

一瞬のタメがあることで、水中の手はしっかりと重たい水を捉えることができ、結果として大きな推進力が生まれます。

「速く回す」のではなく「速く進む」ことを目指し、キャッチアップクロールで養った効率の良いフォームを崩さないようにしましょう。

まとめ:キャッチアップクロールのコツを掴んで綺麗なフォームへ

まとめ
まとめ

今回は、水泳の基本かつ奥義とも言える「キャッチアップクロール」について、そのコツや練習法を詳しく解説してきました。

最後に、重要なポイントを振り返りましょう。

【記事の要点】

待つ手は伸ばす:休憩せず、指先で遠くを目指し続けてストリームラインを作る。

体は回す:平らにならず、適度なローリングで腕を回しやすくする。

キックは止めない:下半身が沈まないよう、軽いキックでバランスを保つ。

タイミングはバトンパス:しっかり待ってから、確実に水を捉えて進む。

キャッチアップクロールは、初心者にとっては「クロールの形」を作るための最良のドリルであり、中上級者にとっては「泳ぎの効率」を見直すための最高のメンテナンス法です。

最初はバランスを取るのが難しく感じるかもしれませんが、焦らずじっくり取り組んでみてください。

手が前で揃ったときに感じる「スーッ」と水の中を進む感覚。これこそが、長く楽に泳ぎ続けるための最大の秘訣です。ぜひ次回のプール練習で実践して、その気持ちよさを体感してください。

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