「水泳で1km泳ぐと、どれくらいカロリーを消費するんだろう?」
プールに通い始めた方や、ダイエットを目的としている方にとって、具体的な数字はモチベーションを維持する上でとても重要ですよね。「1km」という距離は、初心者スイマーにとって一つの大きな目標であり、壁でもあります。
実は、水泳の消費カロリーは「距離」だけでなく、「泳ぎ方」や「時間」、そして「体重」によって大きく変動します。ただなんとなく泳ぐのと、仕組みを理解して泳ぐのとでは、そのダイエット効果に雲泥の差が生まれるのです。
この記事では、水泳1kmの消費カロリーの計算方法から、効率よく痩せるための泳ぎ方のコツ、そして無理なく1kmを泳ぎ切るための練習メニューまでを、わかりやすく解説していきます。
これからプールに行こうとしている方も、すでに通っている方も、ぜひこの記事を参考にして、賢く楽しく理想のボディを目指しましょう。
水泳1kmの消費カロリーは?体重・時間別の目安と計算式

まずは、皆さんが一番知りたい「水泳1kmの消費カロリー」について、具体的な数値と計算方法を見ていきましょう。結論から言うと、1km泳いだ時の消費カロリーは、泳ぐスピード(時間)と体重によって決まります。
消費カロリーの計算式「METs(メッツ)」とは
運動による消費カロリーを計算する際、世界共通で使われている指標が「METs(メッツ)」です。これは、安静時を「1」としたときに、その運動が何倍のエネルギーを消費するかを表した強度指数です。
水泳の消費カロリーは、以下の計算式で求めることができます。
消費カロリー(kcal)= METs × 体重(kg)× 運動時間(時間)× 1.05
この「1.05」という数字は、エネルギー消費量をより正確に算出するための係数です。ここで重要になるのが、泳ぎ方ごとのMETs値です。国立健康・栄養研究所のデータによると、主な水泳のMETs値は以下のようになっています。
【主な泳ぎ方のMETs値】
・クロール(ゆっくり・中程度):8.3 METs
・クロール(速い):10.0〜11.0 METs
・平泳ぎ(レクリエーション):5.3 METs
・平泳ぎ(ハードな練習):10.0 METs
・背泳ぎ:4.8 METs
・バタフライ:13.8 METs
・水中ウォーキング:4.5 METs
このように、同じ「水泳」でも泳法や強度によって数値は倍近く変わります。一般的に市民プールで1kmを泳ぐ場合、クロールであれば「8.3 METs」、平泳ぎでゆっくり泳ぐ場合は「5.3 METs」を目安に計算すると良いでしょう。
【体重別】1km泳いだ時の消費カロリー早見表
では、実際に1km泳ぐとどれくらいのカロリーになるのでしょうか。ここでは、一般的に1kmを泳ぐのにかかるとされる時間(クロールで約30分、平泳ぎで約40分と仮定)を基準に、体重別の消費カロリーを算出してみました。
ご自身の体重に近いところをチェックしてみてください。
| 体重 | クロール(30分) 8.3 METs |
平泳ぎ(40分) 5.3 METs |
|---|---|---|
| 40kg | 約174kcal | 約148kcal |
| 50kg | 約218kcal | 約185kcal |
| 60kg | 約261kcal | 約222kcal |
| 70kg | 約305kcal | 約259kcal |
| 80kg | 約348kcal | 約296kcal |
いかがでしょうか。クロールで1km(約30分)を泳ぎ切った場合、おにぎり約1.5個分、あるいはショートケーキ0.7個分程度のカロリーを消費することになります。
「思ったより少ない?」と感じた方もいるかもしれません。しかし、これはあくまで「運動そのもの」の消費カロリーです。水泳には、この数値だけでは語れない、後ほど解説する「水ならではのダイエット効果」が隠されています。
また、平泳ぎの方がMETs値は低いですが、スピードが出にくいため1km泳ぐのに時間がかかります。結果として、運動時間が長くなるため、トータルの消費カロリーはクロールに迫る数値になることも注目すべきポイントです。
ランニングやウォーキングとの比較
水泳の効率の良さを知るために、陸上の運動と比較してみましょう。よく「水泳1kmはランニング4kmに相当する」と言われることがありますが、これは本当でしょうか。
体重60kgの人が30分間運動した場合の比較を見てみます。
【30分間の消費カロリー比較(体重60kg)】
・水泳(クロール):約261kcal
・ジョギング(時速8km):約220kcal
・ウォーキング(時速4km):約95kcal
このように、同じ時間で比べると水泳はジョギング以上のカロリーを消費し、ウォーキングの約2.7倍もの効果があります。
陸上で1km進むのと、水中で1km進むのとでは、その意味合いが全く異なります。水泳での1kmは、陸上運動での数倍の距離に匹敵する運動量と考えて間違いありません。時間対効果(タイムパフォーマンス)を重視する現代人にとって、水泳は非常に優れた選択肢なのです。
1kmを泳ぐのにかかる時間は?レベル別の平均タイム

消費カロリーを計算するには「時間」が重要な要素であることがわかりました。では、実際に1kmを泳ぐには、どれくらいの時間を見積もっておけば良いのでしょうか。
初心者がいきなり上級者のタイムを目指すと、ペース配分を間違えて挫折してしまいます。自分のレベルに合った目標タイムを設定しましょう。
初心者・中級者・上級者のタイム目安
1km(1000m)をクロールで泳ぐ場合の平均的なタイムは以下の通りです。
ダイエット目的で泳ぐのであれば、初心者の「40分〜60分」というペースは決して悪いことではありません。むしろ、長く水に入っていることで、脂肪燃焼の機会を増やせるとも言えるからです。
「速く泳ぐ」より「長く泳ぐ」ことの重要性
先ほどの計算式を思い出してください。消費カロリーは「METs × 時間」でした。速く泳げばMETs値は上がりますが、その分すぐに疲れてしまい、泳ぐ時間が短くなってしまっては本末転倒です。
例えば、全力のクロール(11.0 METs)で10分間しか泳げなかった場合と、ゆっくりのクロール(8.3 METs)で30分間泳いだ場合を比較してみましょう。(体重60kg想定)
・全力10分:約115kcal
・ゆっくり30分:約261kcal
このように、強度を落としてでも時間を長く確保した方が、総消費カロリーは圧倒的に高くなります。1kmという距離を目標にする際は、タイムを縮めることよりも、「いかに止まらず、一定のペースで泳ぎ続けるか(LSDトレーニング)」を意識する方が、ダイエットには効果的です。
連続で泳ぐべき?休憩してもいい?
「1km泳ぐ」というと、一度も足をつかずに泳ぎ切らなければならないと思っていませんか?実は、カロリー消費の観点からは、小刻みに休憩を挟んでも大きな問題はありません。
いわゆる「インターバルトレーニング」のように、50m泳いで10秒休む、また50m泳ぐ……という繰り返しでも、心拍数は上がった状態が維持されやすいため、脂肪燃焼効果は十分に期待できます。
初心者が無理をして連続で泳ごうとすると、フォームが崩れて呼吸が苦しくなり、酸素不足に陥ります。脂肪を燃焼させるには大量の酸素が必要です。苦しい状態で泳ぐよりも、適度に呼吸を整えながら、正しいフォームでトータル1kmを目指す方が、結果的に質の高い運動になります。
なぜ痩せる?水泳がダイエットに最強な3つの理由

カロリー消費の数値以上に、水泳には痩せるための「環境」が整っています。陸上の運動では得られない、水泳ならではの3つの特殊効果について解説します。
1. 水の抵抗が全身の筋肉を引き締める
水の中では、空気中の約12倍〜800倍とも言われる抵抗がかかります。プールの中をただ歩くだけでも重く感じるのはこのためです。
水泳は、この強大な抵抗に逆らって全身を動かす運動です。腕を回す、水を蹴る、姿勢を保つといった動作の一つ一つが、実は筋力トレーニングに近い負荷を体にかけています。
特に重要なのが「インナーマッスル」です。水中でバランスを取ろうとするだけで、陸上では鍛えにくい体幹深部の筋肉が自然と刺激されます。これにより、筋肉量が増えて基礎代謝が上がり、「泳いでいない時でも脂肪が燃えやすい体」へと変化していくのです。
2. 水圧と水温による代謝アップ効果
プールに入ると、体に「水圧」がかかります。この水圧は、普段重力によって下半身に滞りがちな血液を、ポンプのように心臓へと押し戻す手助けをしてくれます(静脈還流の促進)。
血流が良くなると、酸素や栄養が全身に行き渡りやすくなり、代謝が活性化します。むくみの解消にも即効性があるため、泳いだ後は足がすっきり細くなったように感じることも多いでしょう。
さらに「水温」も重要です。プールの水温は体温より低い約30度前後に設定されています。体は体温を奪われまいとして、熱を産み出そうとエネルギーを燃やします。これを「体温調節機能」と言います。
つまり、水に入っているだけで、陸上にいる時よりも余分にエネルギーを使っているのです。これが水泳の高いダイエット効果の秘密の一つです。
3. 浮力が関節を守り、継続をサポート
ダイエットの大敵は「怪我」と「継続の難しさ」です。体重が重い方がいきなりジョギングを始めると、膝や腰に自分の体重の数倍の衝撃がかかり、痛めてしまうことがよくあります。
しかし、水中では浮力によって体重が約10分の1になります。関節への負担が劇的に軽減されるため、怪我のリスクを最小限に抑えながら運動を続けることができます。
また、運動後の筋肉痛が陸上運動に比べて少ないのも特徴です。水圧によるマッサージ効果と、冷却効果によって筋肉の炎症が抑えられるため、翌日に疲れを残しにくいのです。「辛くないから続けられる」というのは、長期的なダイエットにおいて最強の武器となります。
カロリー消費を最大化する!効果的な泳ぎ方のポイント

せっかく1km泳ぐなら、その効果を最大限に引き出したいものです。ここでは、ただ距離をこなすだけでなく、より多くのカロリーを消費するためのテクニックをご紹介します。
フォームを大きくダイナミックに
消費カロリーを増やす鍵は、動かす筋肉の「大きさ」と「範囲」にあります。背中や太ももといった大きな筋肉を、可動域いっぱいに使うことでエネルギー消費量は跳ね上がります。
例えばクロールなら、手先だけで水をかくのではなく、肩甲骨から腕を大きく回し、遠くの水をつかんで後ろまで押し切るイメージです。バタ足も、膝から下だけでパタパタするのではなく、足の付け根(股関節)から太もも全体を動かすように意識しましょう。
こじんまりとした速い動きよりも、ゆっくりでも大きくダイナミックな動きの方が、水の抵抗を長く受けることができ、筋肉への刺激も強くなります。
複数の泳ぎ方を組み合わせる「メドレー」
ずっと同じ泳ぎ方(例えばクロールだけ)を続けていると、特定の筋肉だけが疲労し、フォームが崩れてきます。また、体がその動きに慣れてしまい、エネルギー消費の効率が良くなってしまう(=省エネになってしまう)こともあります。
そこで、1kmの中で複数の泳ぎ方をミックスすることをおすすめします。
・クロール:全身運動、心拍数アップ
・平泳ぎ:股関節周りの柔軟性、下半身強化
・背泳ぎ:背中の筋肉への刺激、呼吸の確保
このように泳法を変えることで、普段使わない筋肉を刺激できるだけでなく、飽きずに泳ぎ続けることができます。例えば「クロール2本、平泳ぎ1本、背泳ぎ1本」を1セットにするなど、自分なりのメニューを作ってみましょう。
心拍数を意識して「ファットバーンゾーン」を狙う
脂肪が最も効率よく燃焼される心拍数の範囲を「ファットバーンゾーン」と呼びます。一般的には「最大心拍数の60〜70%」程度と言われています。
計算が難しければ、感覚として「ややきついけれど、泳ぎながら隣の人と短い会話ができる程度」を目指してください。ゼーハーと息が上がるほど追い込むと、体は脂肪ではなく糖質を優先して使い始めてしまいます。
逆に楽すぎても効果は薄いです。1kmを泳ぐ中で、時々ペースを上げて心拍数を高めたり、壁際ですぐに脈を測ったりして、適切な強度を保つようにしましょう。
脱・三日坊主!1kmを達成するための練習メニューと注意点

ここまで読んで「よし、明日から1km泳ぐぞ!」と意気込んでいる方も多いでしょう。しかし、初心者がいきなり1000mを泳ごうとするのは危険ですし、続きません。
ここでは、無理なく確実に1kmを達成するための具体的なステップと、見落としがちな注意点について詳しく解説します。
まずは「分割」してトータル1kmを目指す
いきなり「1000m × 1本」を泳ぐ必要は全くありません。トップアスリートでもない限り、フォームが崩れてただ苦しいだけの時間になってしまいます。
おすすめは、距離を細かく分割する方法です。
【初心者向け1kmメニュー例】
① 25m × 40本(休憩30秒)
まずはここから。25m泳ぐたびにしっかり呼吸を整えます。「あと何本」と数えるのが大変ですが、フォームを一本一本確認できます。
② 50m × 20本(休憩45秒)
25mでは物足りなくなってきたらこちらへ。往復することでターン(または壁タッチ)の練習にもなります。
③ 100m × 10本(休憩60秒)
これができれば立派な中級者です。100mを連続で泳ぐには、無駄な力を抜く技術が必要になります。
④ 200m × 5本(休憩90秒)
長距離を泳ぐ感覚が養われます。有酸素運動としての効果が非常に高い構成です。
最初は①から始めて、慣れてきたら②、③とステップアップしていきましょう。トータルの距離が同じ1kmであれば、分割してもカロリー消費の効果は十分にあります。
道具を使って「楽」をするのも戦略
「疲れて足が沈んでしまう」「息継ぎが苦しい」という理由で1km泳げない場合は、水泳補助具(道具)を積極的に使いましょう。
・プルブイ
足に挟んで下半身を浮かせます。キックを打たなくて済むため息切れしにくく、腕の動作に集中できます。上半身を集中的に鍛えたい時にも最適です。
・フィン(足ヒレ)
プールによっては使用可能なレーンが限られますが、これをつけると驚くほど楽に進みます。水の抵抗を捉える感覚が身につき、足首の柔軟性も向上します。スピードが出る楽しさを味わえるので、モチベーション維持にも役立ちます。
「道具を使うなんてズルじゃない?」と思う必要はありません。フォームが崩れた状態で泳ぐより、道具を使ってでも綺麗なフォームで長く泳ぐ方が、ダイエット効果もトレーニング効果も高いのです。
「隠れ脱水」と「低血糖」に注意
プールでは水の中にいるため気づきにくいですが、実はかなりの量の汗をかいています。また、湿度が飽和している水面付近では喉の渇きを感じにくくなります。
1km泳ぐと、体からは水分だけでなくミネラルも失われます。脱水症状になると足がつりやすくなったり、頭痛が起きたりします。プールサイドには必ず水分を持参し、喉が渇いていなくても、休憩のたびに一口飲むようにしてください。
また、水泳は糖質を一気に消費します。空腹状態で泳ぐと「ハンガーノック(低血糖)」になり、急に力が入らなくなったり、気絶したりするリスクがあります。泳ぐ1時間〜30分前には、バナナやゼリー飲料などで軽くエネルギー補給をしておくのが鉄則です。
運動後の「ドカ食い」を防ぐ
水泳ダイエットの最大の落とし穴、それは「泳いだ後の猛烈な空腹感」です。水温で体が冷やされたことと、エネルギー枯渇が相まって、食欲が暴走しやすくなります。
ここでカツ丼やラーメンを食べてしまっては、せっかく消費した260kcalなど一瞬で帳消しです。
運動後は体が栄養を吸収しやすい状態になっています。これを逆手に取り、高タンパク・低脂質の食事(プロテイン、サラダチキン、豆腐など)を積極的に摂ることで、筋肉の修復を助け、代謝の良い体を作ることができます。温かいスープなどを飲んで、お腹を落ち着かせるのも効果的です。
まとめ:水泳1kmのカロリー消費を味方につけて理想のボディへ
水泳で1kmを泳ぐことは、カロリー消費の面でも、ボディメイクの面でも非常に大きなメリットがあります。
最後に、今回のポイントを振り返ってみましょう。
【記事の要点】
・1km(約30分)の消費カロリーは、体重60kgで約260kcal前後。
・これはウォーキングの約2.7倍、ジョギング以上の効果がある。
・カロリー消費の計算式は「METs × 体重 × 時間 × 1.05」。
・速く泳ぐことよりも、長く泳ぎ続けることがダイエットへの近道。
・水泳はカロリーだけでなく、水圧・水温・抵抗による痩せ効果が高い。
・初心者は無理せず、25mや50mに分割してトータル1kmを目指そう。
1km泳げるようになることは、単にカロリーを消費するだけでなく、「長い距離を泳げる体力がついた」「継続できた」という大きな自信にもつながります。
まずは週に1回からでも構いません。プールの心地よい浮力と水の音に癒やされながら、自分のペースで「1kmの旅」を楽しんでみてください。水泳を習慣にすれば、体は確実に変わっていきますよ。


