ビルドアップ走の水泳版!「ビルドアップスイム」で体力とスピードを強化しよう

ビルドアップ走の水泳版!「ビルドアップスイム」で体力とスピードを強化しよう
ビルドアップ走の水泳版!「ビルドアップスイム」で体力とスピードを強化しよう
練習メニュー・プール情報

「もっと長い距離を楽に泳げるようになりたい」「レースの後半でいつもバテてしまう」

そんな悩みを抱えているスイマーにおすすめなのが、ランニングのトレーニングでおなじみの「ビルドアップ走」を水泳に応用した練習法です。

水泳ではこれを「ビルドアップスイム(B-up)」と呼び、初心者から上級者まで、スタミナ強化やスピードアップに非常に高い効果を発揮します。

「きつそう……」と思うかもしれませんが、自分のレベルに合わせて調整できるため、実は誰でも取り組みやすいメニューです。

この記事では、水泳版ビルドアップ走の基礎知識から、実践的なメニュー、そして効果を高めるコツまでをやさしく解説します。

今日からのプール練習に取り入れて、ワンランク上の泳ぎを手に入れましょう。

ビルドアップ走の水泳版「ビルドアップスイム」の基礎知識

まずは、水泳における「ビルドアップ」がどのようなものか、基本的な考え方を理解しましょう。

ランニングとの違いや、水泳特有の用語との区別を知ることで、練習の目的がより明確になります。

「だんだん速く」が基本ルール

ビルドアップ(Build-up)とは、英語で「積み上げる」という意味があります。

スポーツのトレーニングにおいては、「ゆっくりとしたペースからスタートし、徐々にスピードを上げていき、最後は全力に近い速さで終える」という練習方法を指します。

水泳の「ビルドアップスイム」も同様で、1回の練習メニューの中、あるいは1本の泳ぎの中で、段階的にペースを上げていくのが基本ルールです。

最初から全力で泳ぐのではなく、余裕のあるペースから始めるため、身体への急激な負担を避けつつ、心肺機能と筋肉を効率よく刺激することができます。

ランニングと水泳での実施方法の違い

ランニングの「ビルドアップ走」は、例えば10km走る中で「最初の3kmはゆっくり、次の3kmは普通、最後の4kmは速く」といったように、長い距離を走り続けながらペースを変えるのが一般的です。

一方、水泳は壁でのターンや休憩が入るため、実施スタイルが少し異なります。

水泳では、「1本の長い距離の中で加速する」パターンと、「50m×4本などのセットの中で、1本ごとにタイムを上げていく」パターンの2種類がよく使われます。

どちらも「後半に向けてきつくしていく」という目的は同じですが、水泳の場合はインターバル(休憩)を挟む形式で行うことが多いのが特徴です。

「ディセンディング」との言葉の違い

水泳の練習メニューを見ていると、「ビルドアップ(B-up)」と似た言葉で「ディセンディング(Des)」という用語が出てきます。

厳密な使い分けは以下の通りです。

【用語の使い分け】

●ビルドアップ(B-up)
1本の泳ぎの中で加速すること。例:100m泳ぐ中で、前半50mより後半50mを速く泳ぐ。

●ディセンディング(Des)
本数ごとにタイムを上げること。例:50m×4本で、1本目より2本目、2本目より3本目を速く泳ぐ。

ただし、一般的に「ビルドアップ走の水泳版」と言った場合、この両方の要素を含んだ「徐々に強度を上げていく練習全般」を指すことが多いです。

この記事では、初心者の方にも分かりやすいよう、両方のパターンを含めた広義の「ビルドアップ練習」として解説していきます。

水泳でビルドアップを取り入れる3つの大きなメリット

なぜ多くのスイマーがこの練習を取り入れるのでしょうか。

ただ苦しいだけでなく、泳力を伸ばすために理にかなった3つの大きなメリットがあるからです。

1. 後半に強くなる「心肺機能」と「スタミナ」の強化

ビルドアップの最大の特徴は、すでに身体が疲れてきている練習の後半に、一番速いスピードを出さなければならない点です。

通常の一定ペースで泳ぐ練習では、疲れてくると自然にペースが落ちてしまいますが、ビルドアップでは逆らってスピードを上げます。

これにより、苦しい状態でも身体を動かし続ける「乳酸に耐える力」や、酸素を効率よく使う心肺機能が強力に鍛えられます。

レースや長い距離を泳ぐ際に、後半のガクッとした失速を防ぐスタミナが養われるのです。

2. 自分の泳ぎをコントロールする「ペース配分能力」

「ゆっくり泳いで」「少し上げて」「全力で」という指示通りに身体を動かすことは、意外と難しいものです。

ビルドアップ練習を行うと、自分の感覚と実際のタイムのズレを修正することができます。

「このくらいの力加減ならこれくらいのタイムが出る」という体内時計のような感覚が研ぎ澄まされます。

この能力が身につくと、レース本番で「前半飛ばしすぎて後半バテた」という失敗が劇的に少なくなります。

3. スピードの変化に対応する「ギアチェンジ」の技術

ゆっくり泳ぐ時と速く泳ぐ時では、実は泳ぎのフォームや力の入れ所が微妙に異なります。

ビルドアップスイムでは、1つのメニューの中で低速から高速までスムーズに移行しなければなりません。

泳ぎながらピッチ(腕を回す速さ)を上げたり、キックを強く打ったりする「ギアチェンジ」の技術が自然と身につきます。

これは、レースのラストスパートや、隣のコースの選手と競り合った時に追い抜く力として役立ちます。

初心者でも実践できる!距離別ビルドアップの練習メニュー

それでは、実際にプールで行える具体的なメニューを紹介します。

レベルや目的に合わせて、以下の4つのパターンから選んでみてください。

① 50m×4本で行う「セットビルドアップ」(ディセンディング)

最も基本的で取り組みやすいメニューです。厳密には「ディセンディング」に分類されますが、ビルドアップ走の効果を短時間で得られます。

サークル(スタートする間隔)は、自分の泳力に合わせて、50mを泳ぎ終わってから10秒〜15秒程度休める時間に設定してください。

【メニュー例:50m×4本】

1本目:ウォーミングアップ感覚(努力度50%)
フォームを確かめながら、楽に泳ぎます。

2本目:ペースアップ(努力度70%)
少し力を入れ、呼吸のリズムを整えます。

3本目:ハード(努力度90%)
かなり息が上がるスピードまで上げます。

4本目:マックス(努力度100%)
今の全力で泳ぎ切ります。

ポイントは、1本目と4本目のタイム差をしっかりつけることです。50mであれば、1本目と4本目で5秒以上の差が出ると理想的です。

② 100mの中で加速する「イントラビルドアップ」

ターンをきっかけにスピードを切り替える、本来の意味での「ビルドアップスイム」です。

長い距離を泳ぐのが苦手な方でも、100mなら集中力が続きやすくおすすめです。

【メニュー例:100m×1本〜3本】

0m〜25m:イージー
ゆったりと大きく泳ぎます。

25m〜50m:モデレート(普通)
少しずつピッチを上げていきます。

50m〜75m:ハード
ターン後はしっかりキックを入れて加速します。

75m〜100m:スプリント
ラスト25mは呼吸を我慢してでも出し切ります。

この練習は、「後半に上げていく」という感覚を養うのに最適です。

③ 長距離を分割して行う「ロングビルドアップ」

ランニングのビルドアップ走に最も近いのがこの形式です。

例えば1500mや800mといった長距離を泳ぐ際に、距離を分割してペースを上げていきます。

続けて泳ぎ続けても良いですし、給水のために短い休憩(10秒程度)を挟んでも構いません。

【メニュー例:400m(100m×4回に分割)】

最初の100m: アップのつもりでゆったり。

2つ目の100m: フォームを崩さず少しペースアップ。

3つ目の100m: レースペースを意識して泳ぐ。

最後の100m: ラストスパートのつもりで全力。

トライアスロンやオープンウォータースイミング(OWS)を目指す方には、特におすすめのメニューです。

④ 道具を使った「プル・キック」での応用メニュー

スイム(クロールなどの完成形)だけでなく、部分練習にもビルドアップは応用可能です。

例えばビート板を使ったキック練習や、プルブイを挟んだプル練習で行います。

【メニュー例:25m×8本(キックまたはプル)】

1〜2本目: フォーム確認。

3〜4本目: リズムよく動かす。

5〜6本目: 水しぶきが上がるくらい強く。

7〜8本目: ダッシュ。

特にキックのビルドアップは、後半の足が止まりがちな癖を直すのに非常に効果的です。

ビルドアップスイムを成功させるための泳ぎ方のコツ

ただガムシャラに腕を回すだけでは、ビルドアップの効果は半減してしまいます。

スピードを上げるときに意識すべき、技術的なポイントを3つ紹介します。

フォームを崩さずにピッチを上げる意識

スピードを上げようとすると、焦ってフォームが小さくなったり、水のかき方が雑になったりしがちです。

ビルドアップで大切なのは、「1本目のきれいなフォームを保ったまま」スピードを上げることです。

腕を回す回転数(ピッチ)は上げても、ひとかきで進む距離(ストローク長)は極力短くならないように意識しましょう。

「丁寧かつ素早く」を心がけることが、効率の良い泳ぎにつながります。

キックの強弱でスピードをコントロールする

腕の力だけで加速しようとすると、すぐに肩が疲れてしまいます。

スピードのギアを変えるには、キック(足の動き)を活用するのが鍵です。

最初のゆっくりな段階では2ビート(腕1回転につき足2回)などでリラックスし、スピードを上げる段階で6ビート(足をバタバタさせる回数を増やす)に切り替えるなど、足の使い分けを意識してみてください。

キックのスイッチが入ると、身体の位置が高くなり、スムーズに加速できます。

呼吸のリズムを整えて苦しさを乗り越える

スピードが上がると、どうしても呼吸が乱れやすくなります。

しかし、呼吸が乱れると筋肉に酸素が行き渡らず、すぐにバテてしまいます。

ペースが上がってきた時こそ、「吐く」ことを強く意識してください。

水中でしっかりと息を吐き切ることで、吸う動作がスムーズになり、苦しい後半でもリズムを保つことができます。

よくある失敗例と改善ポイント

最後に、ビルドアップスイム初心者が陥りやすい失敗と、その対策を確認しておきましょう。

最初から飛ばしすぎて後半バテてしまう

最も多い失敗がこれです。「ビルドアップ」のつもりなのに、1本目から結構なスピードで泳いでしまい、最後これ以上上げられない状態になってしまうパターンです。

これを防ぐためには、「1本目はわざと遅すぎるくらいで泳ぐ」のがコツです。

勇気を持ってゆっくり入ることで、後半の上げ幅を作ることができます。

メモ:
練習仲間と一緒に泳ぐとつられて速くなりがちですが、自分の設定タイムを守ることに集中しましょう。

スピードを上げようとして力んでしまう

「速く泳ごう」と思うと、全身に力が入り、ガチガチになってしまうことがあります。

水泳では、力みは水の抵抗を生む原因になります。

スピードを上げる時は、力で水を叩くのではなく、「水のキャッチ(水を捉える瞬間)を鋭くする」イメージを持ちましょう。

力むのではなく、動きをシャープにする感覚です。

タイム設定が厳しすぎて完遂できない

理想のタイム設定が高すぎると、途中で心が折れて練習になりません。

最初は、1本目と最後のタイム差が小さくても構いません。

まずは「最後までフォームを崩さずにスピードを上げ切れた」という成功体験を積むことが大切です。

慣れてきたら、少しずつ設定タイムを厳しくしていきましょう。

まとめ:ビルドアップ走の水泳版でレベルアップを目指そう

まとめ
まとめ

今回は、ランニングのビルドアップ走を水泳に応用した練習法について解説しました。

要点を振り返ってみましょう。

【ビルドアップスイムのポイント】

基本ルール:
ゆっくりスタートし、徐々にペースを上げて、最後は全力で泳ぐ。

2つのパターン:
「1本の距離内で加速する(ビルドアップ)」と「本数ごとにタイムを上げる(ディセンディング)」を使い分ける。

効果:
後半のスタミナ強化、ペース配分能力の向上、スピードのギアチェンジ習得。

成功のコツ:
1本目は勇気を持ってゆっくり入り、フォームを崩さずにキックで加速する。

ビルドアップスイムは、単調になりがちな水泳の練習にメリハリを与え、短時間でも高いトレーニング効果を得られる優れたメソッドです。

「今日はいつもより後半が楽だったな」と感じられる日が必ず来ます。

ぜひ次回のプール練習から、ビルドアップ走の水泳版を取り入れて、理想の泳ぎとタイムを目指してください。

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