平泳ぎは息継ぎしないと速い?抵抗を減らしてタイムを縮める泳ぎ方のコツ

平泳ぎは息継ぎしないと速い?抵抗を減らしてタイムを縮める泳ぎ方のコツ
平泳ぎは息継ぎしないと速い?抵抗を減らしてタイムを縮める泳ぎ方のコツ
泳ぎ方のコツ・技術

平泳ぎを泳いでいて、「息継ぎのたびに失速している気がする」「いっそ息継ぎをしないで泳いだほうが速いのではないか?」と感じたことはありませんか?実はその感覚、水泳の物理としては半分正解です。顔を上げて息を吸う動作は、平泳ぎの中で最も水の抵抗を受けやすい瞬間だからです。

しかし、競泳には厳格なルールがあり、ただ息を止めれば良いというわけではありません。この記事では、「息継ぎしないと速い」という感覚の正体と、そのメリットを活かしつつルール内で最大限に速く泳ぐためのテクニックをやさしく解説します。抵抗を減らす「低い呼吸」や、特訓としての「ノーブレス練習」、そして唯一息継ぎなしで進む「ひとかきひとけり」の秘密まで、今日から使えるポイントを網羅しました。

平泳ぎで「息継ぎしないと速い」と言われる理由とは?

多くのスイマーが「息継ぎなしならもっと速く泳げるのに」と感じる背景には、明確な理由があります。まずは、なぜ平泳ぎにおいて息継ぎがブレーキとなってしまうのか、そのメカニズムを見ていきましょう。

息継ぎ動作が最大の抵抗になる原因

水泳では、体が水面に対して水平(フラット)に近いほど水の抵抗が少なく、スムーズに進むことができます。しかし、平泳ぎの息継ぎでは、どうしても頭を水面から出す必要があります。

頭を上げると、水を受ける面積(前面投影面積)が増え、真正面から水の抵抗をドカンと受けてしまいます。さらに、頭を持ち上げようとすると、シーソーのように下半身が沈みやすくなります。足が沈むと体全体が斜めになり、これが大きなブレーキとなって失速を招くのです。「息継ぎしないと速い」と感じるのは、このブレーキ動作がなくなることで、スイスイ進む感覚が得られるからでしょう。

フラットな姿勢をキープする重要性

速い平泳ぎの基本は、抵抗の少ない「ストリームライン(けのびの姿勢)」をどれだけ長く保てるかにあります。息継ぎをしない場合、頭はずっと水中にあるため、背中から足先まで一直線のきれいな姿勢を維持しやすくなります。

このフラットな姿勢こそが、推進力を無駄なく前へ伝える鍵です。息継ぎをすることでこの姿勢が崩れると、せっかくキックで生み出したスピードが台無しになってしまいます。つまり、速く泳ぐためには、「息継ぎをしてもフラットな姿勢を崩さない技術」が必要不可欠なのです。

タイム短縮に直結する「減速しない」泳ぎ方

クロールや背泳ぎは常に腕を回して推進力を得ますが、平泳ぎは「加速」と「減速」を繰り返す独特な泳法です。キックでグンと進んだ後、手足を伸ばして滑る時間(グライド)があり、その後に息継ぎで減速します。

タイムを縮めるためには、加速を大きくすること以上に、「減速を最小限に抑えること」が重要です。もしルールを無視して息継ぎなしで泳げば、減速要素が減るため当然タイムは速くなります。この「減速を嫌う感覚」を持っていること自体は、上達への第一歩と言えるでしょう。

競泳ルールを確認!平泳ぎで息継ぎなしは違反になる?

「じゃあ、我慢して息継ぎせずに泳げばいいの?」と思うかもしれませんが、残念ながら公式の大会や記録会ではそうはいきません。平泳ぎには特有の厳しいルールが存在します。

基本ルール:1ストローク1ブレスの原則

競泳のルールでは、平泳ぎにおいて「1回のストローク(腕のかき)と1回のキック(足のけり)のサイクルの間に、頭の一部が水面から出なければならない」と定められています。これを一般的に「1ストローク1ブレス」と呼びます。

ポイント
顔全体が出る必要はありませんが、頭の一部が水面を割る必要があります。ずっと水中に潜ったまま2回、3回と腕をかいて進むことは、ルール違反(失格)となります。

唯一の例外「スタート・ターン後の一掻き一蹴り」

ただし、ルールには例外があります。それが「スタートおよびターンの直後」です。この時だけは、全身が水没した状態で、腕を一度太ももまでかき(プル)、一度キックを打つことが許されています。

この動作中は息継ぎをする必要がなく、潜水したまま大きな推進力を得て進むことができます。この区間は「息継ぎしないと速い」を合法的に実践できる、平泳ぎの中で最もスピードが出る瞬間です。

練習ではOKでも試合ではNGなケース

練習中に「ノーブレス(息継ぎなし)」で25mを泳ぐことは、トレーニングとして非常に有効ですし、ルール違反ではありません。しかし、試合本番でうっかり「苦しくないから」と2回連続で腕をかいてしまったり、タッチの直前で顔を上げずにゴールしたりすると失格になってしまいます。

特に疲れが出た終盤や、タッチの瞬間に顔を上げ忘れるケースは初心者によくあるミスです。「毎回必ず水面に頭を出す」というリズムは、体に染み込ませておく必要があります。

息継ぎの抵抗を極限まで減らす「低い呼吸」のコツ

ルール上、息継ぎは必須ですが、その際の抵抗を「息継ぎなし」の状態に近づけることは可能です。トップスイマーも実践している、ブレーキをかけない「低い呼吸」のポイントを紹介します。

頭を上げない!顎を水面につけるイメージ

息を吸おうとして頭を高く持ち上げると、下半身が沈んでしまいます。これを防ぐためには、「顎(あご)を水面に滑らせる」ような低い位置での呼吸を意識しましょう。

首を反らせて顔を前に向けるのではなく、首の後ろは伸ばしたまま、水面ギリギリで口だけでパクっと息を吸うイメージです。頭のてっぺんから背中にかけてのラインをなるべく水平に保つことで、水の抵抗を最小限に抑えられます。

目線は斜め前ではなく真下に近い位置へ

目線の位置は姿勢に大きく影響します。息継ぎの瞬間にゴール方向(前方)を見すぎてしまうと、自然と頭が上がり、お尻が下がってしまいます。

呼吸時でも目線は「斜め前」から「真下」に近い位置をキープしましょう。水面から顔を上げるときも、プールの底のラインをぼんやり視界に入れたままにするくらいで丁度良いです。顎を引いた状態を保つことで、重心が前方に残りやすくなり、スムーズな体重移動が可能になります。

素早く吸ってすぐに頭を入れるタイミング

呼吸に時間をかけすぎると、それだけ抵抗を受ける時間が長くなり、体も沈んでしまいます。「パッ」と一瞬で息を吸い込み、すぐに頭を腕の中へ戻すことが大切です。

呼吸のタイミング

1. 腕を外側に広げ水をキャッチする

2. 脇を締めながら水をかき込む瞬間に、その勢いを利用して「パッ」と顔を出す

3. 手を前に伸ばす(リカバリー)のと同時に、頭を素早く水中に隠す

リカバリー動作と連動させるスムーズな呼吸

息継ぎが終わった後、腕を前に戻す動作(リカバリー)と頭を戻す動作を完全に連動させましょう。腕が前に伸びていく勢いに乗せて、頭も一緒に前方へ突っ込むように入れ込みます。

この時、頭を入れる勢いを利用して、腰の位置を高く持ち上げる(重心を前に移す)意識を持つと、次のキックでより強く進むことができます。息継ぎを単なる「呼吸動作」ではなく、「重心移動のスイッチ」として使うのが上級者のテクニックです。

速くなるためのドリル練習:ノーブレス平泳ぎの効果

試合では違反になりますが、練習メニューとしての「ノーブレス平泳ぎ」は、タイムを縮めるために非常に効果的なドリル(練習法)です。そのメリットと具体的なやり方を紹介します。

姿勢を崩さずに泳ぐ感覚を養う

ノーブレス平泳ぎとは、その名の通り息継ぎを一切せずに、顔を水中につけたまま平泳ぎを行う練習です(苦しくなったら立って休憩してください)。

この練習の最大の目的は、「理想的なフラット姿勢」を体感することです。顔を上げないことで、下半身が浮きやすくなり、水面と平行な姿勢を保ちやすくなります。「体が一直線になるとこんなにスルスル進むんだ」という感覚を覚え込ませ、通常の泳ぎに戻した時にもその姿勢を再現できるようにします。

キックの推進力を最大限に感じる練習

顔を上げないことで抵抗が減ると、キック一回あたりの進む距離(ディスタンス・パー・ストローク)が伸びます。自分のキックがどれくらい進むのか、どのタイミングで蹴ると一番伸びるのかを純粋に確認できます。

通常の泳ぎでは息継ぎの動作に気を取られがちですが、ノーブレスなら足の裏で水を捉える感覚や、蹴り終わった後の「伸び」の感覚に集中できます。特にキックが苦手な人にはおすすめの練習です。

ストローク数を減らすための効率化トレーニング

平泳ぎは、いかに少ないストローク数で速く泳ぐかが効率の良さの指標になります。ノーブレス練習を行うと、抵抗が少ない分、いつもより少ない回数で壁まで到達できるはずです。

練習例:
25mを通常の平泳ぎで何回手をかいたか数えます(例:10回)。
次に、ノーブレス平泳ぎで同じ25mを泳ぎ、回数を数えます(例:7回)。
この「7回」の伸びる感覚を、息継ぎありの泳ぎでも再現できるように意識して練習します。

息継ぎ以外の要素も重要!スピードアップのポイント

「息継ぎの抵抗」を攻略したら、さらにタイムを縮めるために他の要素も見直してみましょう。平泳ぎはすべての動作が連動しています。

ストリームライン(けのび)の徹底

平泳ぎの中で最も速い瞬間は、キックを蹴り終わって体が伸びている時です。この時にいかに細く、抵抗のない姿勢(ストリームライン)を作れるかが勝負です。

両腕で頭を挟むようにしっかり伸ばし、手先から足先までピンと張ります。背中が反りすぎたり、猫背になったりしないよう、お腹に少し力を入れてフラットな状態を作りましょう。息継ぎの後、頭を戻す時にこの姿勢へ「カチッ」とはめることが大切です。

キックとプルのタイミングを合わせる

手と足が同時に動いてしまうと、推進力を打ち消し合ってしまいます。平泳ぎのリズムは「プル(手)→呼吸→キック(足)→伸び」の順番が基本です。

手が伸びきってからキックを打つ、あるいは手が前に戻り始めるタイミングで足を引きつけるなど、タイミングを微調整して、最も進むリズムを見つけましょう。「手と足は別のタイミングで動く」ということを意識するだけでも、進み方は大きく変わります。

伸び(グライド)の時間を有効に使う

慌てて手足を動かし続けるよりも、しっかりと「伸びる時間(グライド)」を作ったほうが速いのが平泳ぎの特徴です。

キックの直後、体がグーンと前に進んでいる間は、あえて何もしない時間を作ります。この「我慢の時間」にしっかりと進むことで、結果的にストローク数が減り、疲れにくく速い泳ぎになります。ノーブレス練習で培った「抵抗の少ない姿勢」は、このグライド中に最も活きてきます。

まとめ

まとめ
まとめ

「平泳ぎは息継ぎしないと速い」という感覚は、水泳の物理的に理にかなっていますが、実際のレースではルールを守りながら泳ぐ必要があります。最後に、今回のポイントを振り返りましょう。

記事の要点まとめ

「息継ぎしないと速い」は事実:顔を上げる動作が最大の抵抗になっているため。

ルールは厳守:競技では「1ストローク1ブレス」が必須(ひとかきひとけりを除く)。

低い呼吸を目指す:顎を水面につけ、目線を下に保つことで抵抗を最小限にする。

ノーブレス練習を活用:練習ドリルとして取り入れ、フラットな姿勢と伸びる感覚を養う。

メリハリが大切:抵抗を減らす意識を持ちつつ、しっかり伸びて加速する。

息継ぎによるブレーキを完全にゼロにすることはできませんが、技術によって限りなく小さくすることは可能です。「息継ぎしないときのあの進む感覚」を大切にしながら、低くスムーズな呼吸をマスターして、自己ベスト更新を目指してください。

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