「自分は周りと比べて速いのか、遅いのか?」プールで泳いでいると、ふとそんな疑問を抱くことはありませんか。学生時代の部活とは違い、一般の大人社会人にとっての水泳は、健康維持や趣味として楽しむ方が大半です。
しかし、具体的な数字としての「平均タイム」を知ることは、モチベーションを高める良いきっかけになります。この記事では、一般の大人社会人の水泳平均タイムを目安として紹介し、無理なくタイムを縮めるための練習法や考え方をわかりやすく解説します。
水泳平均タイム【一般の大人社会人】はどのくらい?

まずは、一般的に言われている大人の水泳平均タイムを見ていきましょう。学生時代の競泳選手のような記録ではなく、あくまで「フィットネスクラブで定期的に泳いでいる一般の方」を基準にした目安です。自分の現在の実力がどのあたりに位置するのか、確認してみてください。
25mクロールの平均タイム(男女別・年齢別)
25mプールをクロールで泳ぐ場合、飛び込みなし(壁を蹴ってスタート)での一般的な目安は以下の通りです。これは「全力で泳いだ場合」のタイムを想定しています。
| レベル | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 初心者 | 30秒 〜 40秒 | 35秒 〜 45秒 |
| 中級者 | 20秒 〜 25秒 | 22秒 〜 28秒 |
| 上級者 | 15秒 〜 18秒 | 17秒 〜 20秒 |
初心者の方にとって、最初の壁となるのが「30秒」の壁です。フォームが安定し、息継ぎがスムーズにできるようになると、自然とこのラインを切れるようになります。一方、15秒を切るタイムは「マスターズ大会」などの競技会に出場するレベルとなり、一般的なフィットネスの枠を超えた領域と言えるでしょう。
50mクロールの平均タイム(男女別・年齢別)
距離が倍になる50mでは、スタミナの要素も大きく関わってきます。途中で失速せずに泳ぎ切れるかどうかがタイムに大きく影響します。
| 年齢層 | 男性(一般平均) | 女性(一般平均) |
|---|---|---|
| 20代〜30代 | 40秒 〜 50秒 | 45秒 〜 55秒 |
| 40代〜50代 | 45秒 〜 55秒 | 50秒 〜 60秒 |
| 60代以上 | 50秒 〜 65秒 | 55秒 〜 70秒 |
50mを「泳ぎ切ること」が目標の段階では、タイムは1分(60秒)を超えることも珍しくありません。50秒を切ることができれば、一般的には「速い」部類に入ります。年齢とともに筋力は落ちますが、水泳はテクニックの比重が大きいため、60代でも若者より速く泳ぐ方はたくさんいます。
平泳ぎ・背泳ぎ・バタフライの平均タイム目安
クロール以外の泳法についても、25mの目安を知っておくと練習の参考になります。一般的にクロールが最も速く、次にバタフライ、背泳ぎ、平泳ぎの順になることが多いですが、一般レベルでは得意不得意によって順序が変わることもあります。
【25m泳法のタイム目安(一般・中級レベル)】
・背泳ぎ:25秒 〜 30秒
・平泳ぎ:25秒 〜 35秒
・バタフライ:20秒 〜 28秒
特にバタフライは、フォームが崩れると極端にタイムが落ちる種目です。また、平泳ぎは抵抗が大きいため、パワーよりも「抵抗を減らす技術」がタイムに直結します。
初心者・中級者・上級者のレベル分け基準
タイムだけでなく、泳ぎの内容で自分のレベルを判断することもできます。明確な定義はありませんが、フィットネス現場でよく使われる基準を紹介します。
初心者レベル:
25mをなんとか泳ぎ切れるが、息が上がってしまう状態です。フォームよりも、まずは「浮くこと」「呼吸すること」に意識が向いています。タイムへの意識はまだ薄く、完泳することが第一の目標です。
中級者レベル:
50m〜100m程度を続けて泳ぐことができ、フォームの修正に取り組んでいる段階です。「もっと楽に」「もっときれいに」泳ぎたいという欲求が出てきます。クロールの25mタイムが25秒前後で安定してくると、このレベルと言えます。
上級者レベル:
1000m以上の距離をメニューを組んで泳ぐことができ、4泳法すべてを習得していることが多いです。タイムを1秒、0.1秒縮めるための細かい技術練習を行います。市民大会やマスターズ大会への出場を視野に入れている層です。
タイムが伸び悩む原因とは?大人の水泳によくある課題

「週に何度も通っているのに、なかなかタイムが縮まらない」という悩みは、大人のスイマーによくあることです。体力や筋力の問題だと思われがちですが、実は「水の抵抗」を自ら作り出してしまっているケースがほとんどです。
フォームの抵抗が大きくなっている
水泳において最大の敵は「水の抵抗」です。どんなに力強く水をかいても、体が沈んでいたり、左右にブレていたりすると、それがブレーキとなって進みません。特に大人の男性に多いのが、上半身の力に頼りすぎて下半身が沈んでしまう「後傾姿勢」です。
チェックポイント:
泳いでいる最中、自分のお尻や踵(かかと)が水面近くにあるか意識してみましょう。これらが深く沈んでいる場合、大きな抵抗を受けています。
キックとプルのタイミングが合っていない
手(プル)と足(キック)の動きがバラバラだと、推進力がうまく伝わりません。これを「コンビネーション」と呼びます。例えば、手が前に入水した瞬間に反対側の足でキックを打つなど、対角線の動きが連動することでスムーズに進みます。タイミングがずれると、せっかく生み出したスピードを自分で殺してしまうことになります。
呼吸動作でスピードが落ちている
初心者に最も多いタイムロスが「呼吸」です。息を吸おうとして頭を高く上げすぎると、反動で足が沈み、急ブレーキがかかります。また、呼吸のたびに体の軸が大きく回ってしまうと、蛇行して距離をロスします。上手な人は、頭のてっぺんを水中に残したまま、口半分だけを出してスマートに呼吸を行っています。
タイムを縮めるための練習方法とテクニック

がむしゃらに距離を泳ぐだけでは、ある程度のところからタイムは伸びなくなります。大人が効率よく速くなるためには、正しい技術を身につけるドリル(部分練習)が不可欠です。ここでは4つのアプローチを紹介します。
けのび(ストリームライン)の徹底改善
すべての泳ぎの基本となるのが「けのび」の姿勢、すなわち「ストリームライン」です。壁を蹴ってから浮き上がってくるまでの距離が伸びれば、それだけでタイムは縮まります。両手を耳の後ろで組み、頭を腕の間に挟み込んで、指先から足先まで一直線の棒になるイメージを持ちましょう。
スカーリングで水を捉える感覚を磨く
「スカーリング」とは、手のひらで水を撫でるように動かし、水圧を感じ取る練習です。初心者は水を「後ろへ押す」ことばかり考えがちですが、実際には水を「掴む(キャッチする)」感覚が重要です。プールの浅い場所で立ったまま、あるいはビート板なしで浮いた状態で、手のひらで「8の字」を描くように動かし、水の手応えを感じる練習を取り入れましょう。
ドリル練習を取り入れてフォームを修正する
完成形の泳ぎ(スイム)ばかり繰り返すのではなく、動きを分解した「ドリル練習」を行いましょう。例えばクロールなら、片手だけで泳ぐ「片手クロール」や、脇を閉める意識を持つための「指先で脇腹を触ってから戻す練習(フィンガーチップ)」などがあります。これによって、自分の癖に気づき、正しい軌道を体に覚えさせることができます。
インターバルトレーニングで持久力アップ
フォームが整ってきたら、少し負荷をかけた練習で心肺機能とスピードの持続力を鍛えます。「インターバルトレーニング」といっても、プロ選手のように厳しく行う必要はありません。例えば、「25mを泳いだら30秒休む」を4回繰り返す、といったシンプルなセットから始めます。慣れてきたら、休み時間を20秒、15秒と短くしていくことで、後半でもバテない体力が養われます。
年齢やブランクは関係ある?大人が無理なく上達する考え方

「もう若くないから速くならない」と諦める必要はありません。水泳は生涯スポーツであり、技術による伸びしろが非常に大きい競技です。大人が上達するためのマインドセットについて解説します。
筋力よりもテクニックで泳ぐ重要性
若い頃のような爆発的な筋力や瞬発力は、年齢とともに低下するのは自然なことです。しかし、水泳のスピードは「パワー - 抵抗」で決まります。つまり、パワーが落ちても「抵抗を減らす技術」が向上すれば、タイムは縮まるのです。実際に、無駄な力を抜いてリラックスして泳いだ方が、力んで泳ぐよりも速いタイムが出ることが多々あります。
柔軟性を高めて怪我を防ぐストレッチ
大人の水泳で最も大切なのは「怪我をしないこと」です。特に肩甲骨周りや足首の柔軟性は、スムーズな泳ぎに直結します。肩が硬いと腕が上がらず無理な姿勢になり、抵抗が増えてしまいます。泳ぐ前後のストレッチはもちろん、普段の生活でも肩を回したり、足首をほぐしたりすることで、可動域が広がり、結果としてタイム短縮につながります。
継続するための目標設定のコツ
いきなり「25mで15秒を出す!」といった高い目標を掲げると、挫折の原因になります。「まずは25mを楽に泳ぎ切る」「次は30秒を切ってみる」「50mをフォームを崩さず泳ぐ」など、小さなステップを積み重ねましょう。また、タイムだけでなく「泳いだ後の爽快感」や「肩こりが楽になった」といった体調面の変化もモチベーションの一つにすることが、長く続ける秘訣です。
自分のタイムを計測する方法とモチベーション維持

タイムを知ることは、上達への第一歩です。しかし、コーチがいない環境で、どうやって正確に測ればよいのでしょうか。現代ならではの便利なツールや、楽しみながら続けるための方法を紹介します。
スマートウォッチやスポーツウォッチの活用
最近は、水泳の計測機能がついたスマートウォッチが普及しています。手首につけて泳ぐだけで、タイム、距離、泳法(クロールや平泳ぎなど)、ストローク数、心拍数などを自動で記録してくれます。壁を蹴ったターンも感知してくれるため、自分一人でも詳細なデータが取れます。日々の記録がグラフで可視化されるため、成長が実感しやすくおすすめです。
注意点:
施設によっては、時計の着用が禁止されている場合や、保護カバーの装着が義務付けられている場合があります。必ず通っているプールのルールを確認してください。
市民大会やマスターズ大会への挑戦
練習の成果を試す場として、大会への参加は大きな目標になります。「マスターズ水泳大会」は、5歳刻みの年齢別でタイムを競うため、同年代のスイマーと公平に競い合うことができます。初心者向けの大会や、飛び込みなしでスタートできる大会もあります。「大会なんてまだ早い」と思わずに、一度見学してみるだけでも刺激になります。
仲間と練習することで得られる効果
一人で黙々と泳ぐのも良いですが、プールで顔見知りを作ったり、大人の水泳教室に参加したりするのも効果的です。仲間がいると「今日はもう少し頑張ろう」と思えたり、お互いのフォームを見てアドバイスし合えたりします。客観的な意見をもらうことで、自分では気づかなかった癖が修正され、一気にタイムが伸びることも珍しくありません。
水泳の平均タイムを知って一般の大人社会人も楽しくレベルアップ
今回は、一般の大人社会人の水泳平均タイムや、タイムを縮めるためのポイントについて解説しました。
記事のポイントを振り返ります。
・平均タイムの目安:一般男性の25mクロール中級レベルは20〜25秒、女性は22〜28秒。
・タイム短縮の鍵:筋力アップよりも、水の抵抗を減らす「フォーム改善」が最優先。
・練習の工夫:ひたすら泳ぐだけでなく、けのびやスカーリングなどのドリルを取り入れる。
・大人の強み:理論を理解して技術を磨けば、年齢に関係なく記録は伸びる。
平均タイムはあくまで一つの目安に過ぎません。大切なのは、昨日の自分よりも少しだけ成長を感じられることです。「楽に泳げるようになった」「少しだけ速くなった」という小さな喜びを積み重ねながら、長く楽しく水泳を続けていきましょう。



