「毎週スイミングスクールに通っているのに、なかなか進級テストに合格しない」「もう何ヶ月も同じ級に留まっている」そんな悩みをお持ちではありませんか?
スイミングは習い事として人気ですが、ある一定のレベルで壁にぶつかり、上達が停滞してしまうことは珍しくありません。子供が自信を失ったり、親としても「このまま続けて意味があるのだろうか」と不安になったりすることもあるでしょう。
この記事では、スイミングスクールで上達しない主な原因を掘り下げ、今すぐ実践できる具体的な対策や、お家でできるトレーニング方法をご紹介します。壁を乗り越えるためのヒントを一緒に探していきましょう。
スイミングスクールで上達しない主な原因とは?

スイミングスクールに通っていても上達が止まってしまうのには、いくつかの明確な理由があります。単に「センスがない」と片付けてしまう前に、どこにボトルネックがあるのかを冷静に分析することが大切です。ここでは、多くの人に共通する「上達しない原因」を3つの視点から解説します。
集団レッスン特有の「待ち時間」と練習量不足
多くのスイミングスクールでは、1人のコーチが10人〜20人の生徒を一度に指導する集団レッスン形式をとっています。この形式には、どうしても「順番待ち」の時間が発生します。1時間のレッスン時間があっても、実際に泳いでいる時間は半分以下というケースも少なくありません。
泳ぎを上達させるためには、反復練習によって体に感覚を覚え込ませることが不可欠ですが、週1回の集団レッスンだけでは、圧倒的に練習量が不足している可能性があります。
特に、新しい泳ぎ方を習う段階では、数メートル泳いでは列に並び直すというサイクルのため、感覚をつかむ前に練習が終わってしまい、翌週にはまたリセットされているという悪循環に陥りやすいのです。
コーチの指示が正しく伝わっていない「理解のズレ」
コーチは一生懸命教えてくれているのに、子供(または本人)がその意図を正しく理解できていないケースも非常に多いです。例えば「もっと足を伸ばして」と言われたとき、本人は伸ばしているつもりでも、実際には膝が曲がっていることがあります。
これは「自分の体のイメージ」と「実際の動き」にズレがあるために起こります。特に子供の場合、抽象的な言葉(「水を捉える」「スーッと伸びる」など)を具体的にどう動けばいいのか変換できないことがあります。
また、プールの中は音が反響して声が聞き取りにくかったり、ゴーグルや水しぶきで視界が悪かったりするため、物理的に指示が届いていないことも上達を妨げる要因の一つです。
恐怖心や体の硬さが邪魔をしている
技術以前の問題として、水に対する「恐怖心」や、関節の「硬さ」が上達を阻んでいることがあります。顔を水につけるのが怖い、鼻に水が入るのが嫌だという心理的なブロックがあると、どうしても体に無駄な力が入ってしまいます。体がガチガチに固まると水に浮きにくくなり、沈まないように必死でもがくような泳ぎになってしまうのです。
また、足首や肩甲骨の柔軟性が不足していると、いくら正しいフォームを教わっても物理的にその姿勢がとれません。特に足首が硬いと、水を後ろに蹴り出すことができず、キックを打っても前に進まないという現象が起きます。これは練習量だけでは解決しにくい身体的な課題です。
進級テストになかなか合格できない時の技術的チェックポイント

進級テストで何度も落ちてしまう場合、必ずどこかに「合格基準を満たしていないポイント」があります。スクールによって基準は異なりますが、多くの子供たちがつまずきやすい共通の技術的ポイントがあります。ここでは、合格を阻む代表的な3つの壁について詳しく見ていきましょう。
呼吸動作で体が沈んでしまっている
クロールや平泳ぎで最も多いつまずきポイントが「息継ぎ」です。息を吸おうとして顔を上げすぎると、シーソーの原理で下半身が沈んでしまいます。足が沈めば水の抵抗が大きくなり、ブレーキがかかって失速してしまいます。
大切なのは、頭のてっぺんを水に残したまま、必要最小限の動きで息を吸うことです。また、息を吸うことばかりに意識がいきがちですが、水中でしっかり息を吐ききっていないと、新しい空気を吸い込むことができず、苦しくなって顔を上げすぎてしまう原因になります。「パッ」と吸うために、水中で「ブクブク」と吐き続けるリズムが崩れていないか確認が必要です。
「けのび」の姿勢(ストリームライン)が崩れている
すべての泳ぎの基本となるのが「けのび(ストリームライン)」です。壁を蹴ってスタートした直後の姿勢ですが、ここをおろそかにしていると進級テストでは合格できません。両腕を耳の後ろでしっかり組み、指先から足先までが一直線になる美しい姿勢が求められます。
上達しない子の多くは、この姿勢の時に膝が曲がっていたり、お腹が落ちて腰が反っていたりします。抵抗の少ない姿勢を作れなければ、どれだけ強く手足を動かしても水の中をスムーズに進むことはできません。
進級テストでは、泳ぎの速さや形だけでなく、この「基本姿勢」が維持できているかが厳しくチェックされています。
キック(バタ足)が「膝蹴り」になっている
バタ足が進まない、あるいはすぐに疲れてしまう原因の多くは、膝が大きく曲がった「自転車こぎ」のようなキックになっていることです。膝を曲げて水を蹴ると、太ももの前側に大きな抵抗が生まれ、ブレーキをかけながら進んでいる状態になります。
理想的なキックは、脚の付け根(股関節)から動かし、その力が太もも、膝、足首、つま先へと波のように伝わっていく「しなやかな動き」です。
膝はあくまで水の抵抗で自然に曲がる程度が良く、意図的に曲げ伸ばしをするものではありません。足首の力を抜いて、足の甲で水を後ろへ押し出す感覚がつかめているかが、合格への大きな分かれ道となります。
お家でもできる!水泳が上手くなるための陸上トレーニング

プールに行ける回数には限りがありますが、お家でできるトレーニングを取り入れることで、上達のスピードを劇的に変えることができます。水泳に必要な柔軟性や筋力、感覚を陸上で養う「陸トレ(りくとれ)」の方法を4つご紹介します。
推進力を生む「柔らかい足首」を作るストレッチ
水泳において足首の柔らかさは、推進力に直結する非常に重要な要素です。足首が硬いと、足の甲で水を捉えることができず、キックが空回りしてしまいます。お家では、正座の状態から少し後ろに体重をかけ、足の甲やスネの前側を伸ばすストレッチを行いましょう。
また、足の指でタオルを手繰り寄せる「タオルギャザー」もおすすめです。これにより足の裏の感覚が鋭くなり、足先まで意識が行き届くようになります。
お風呂上がりなど体が温まっている時に毎日数分行うだけでも、数ヶ月後にはバタ足の進み具合に大きな変化が現れます。
水の抵抗を減らす「ストリームライン」の姿勢づくり
きれいな「けのび」の姿勢を陸上で作る練習です。床に仰向けになり、両手を頭の上で重ねて、思い切り上に伸びをします。この時、腰と床の間に隙間ができないように、おへそを床に押し付ける意識を持ちましょう。
腰が反ってしまうと、水中では下半身が沈む原因になります。腹筋に力を入れ、背中全体を床に密着させた状態で、手足ピンと伸ばして10秒キープします。
この感覚を体が覚えることで、水中でも無意識に抵抗の少ない姿勢をとれるようになります。テレビを見ながらのCM中など、隙間時間に実践してみてください。
肩甲骨の可動域を広げるタオル体操
クロールや背泳ぎで腕を大きく回すためには、肩甲骨の柔軟性が欠かせません。肩周りが硬いと、無理に腕を回そうとしてフォームが崩れたり、肩を痛めたりする原因になります。
フェイスタオルを1枚用意し、両端を持って腕を上げます。そのまま肘を伸ばした状態で、タオルを頭の後ろを通って背中側へ下ろしたり、上げたりする運動を行いましょう。
痛みがない範囲で、少しずつ手を持つ幅を狭くしていくと効果的です。肩甲骨がスムーズに動くようになると、水中での「キャッチ(水を掴む動作)」が遠くで行えるようになり、ひとがきで進む距離が伸びます。
お風呂で克服!顔つけと呼吸リズムの練習
水への恐怖心がある場合や、呼吸のリズムがつかめない場合は、毎日のお風呂が最高の練習場所になります。湯船の中で、まずは洗面器に水を張り、顔をつける練習から始めましょう。
慣れてきたら、湯船の中で「鼻からブクブク」と息を吐く練習をします。大切なのは「吐き続ける」ことです。
「鼻からブクブク、口からパッ」のリズムを繰り返し行います。目を開ける練習も兼ねて、水中でじゃんけんをするなどの遊びを取り入れると、子供も楽しみながら水慣れができます。この呼吸動作が無意識にできるようになると、実際の泳ぎでも余裕が生まれます。
環境を見直すべき?スクールの変更や個人レッスンの検討

本人の努力や家庭での練習を続けても、どうしても状況が変わらない場合、練習環境そのものが合っていない可能性があります。ここでは、スクールの変更やレッスンスタイルの見直しについて、判断の基準となるポイントを解説します。
週1回から週2回へ増やすことの効果
もし現在週1回のコースに通っているなら、週2回に増やすことを検討してみてください。運動学習において、1週間の空白期間は記憶を薄れさせるのに十分な時間です。週1回だと「前回の復習」でレッスンの大半が終わってしまい、新しい技術の習得に進みにくいのが現実です。
週2回にすることで、前回のアドバイスを体が覚えているうちに次の練習ができるため、上達スピードは単なる2倍ではなく、それ以上の効果が期待できます。
体力的に不安がある場合は、短期教室などを利用して一時的に頻度を増やし、子供の反応を見てみるのも良い方法です。
進級基準や指導方針が合うスクールへの転校
スイミングスクールによって、進級テストの難易度や指導方針は驚くほど異なります。「きれいなフォームで泳げるまで絶対に進級させない厳しいスクール」もあれば、「ある程度泳げればどんどん進級させてやる気を引き出すスクール」もあります。
もし、お子様が厳しすぎる基準によって自信を喪失しているなら、自己肯定感を守るためにも環境を変えることがプラスになる場合があります。
転校を検討するタイミングの目安
・半年以上同じ級から進級できていない
・子供が「行きたくない」と強く訴え続けている
・コーチとの相性が明らかに悪いと感じる
見学や体験レッスンを利用して、他のスクールの雰囲気を肌で感じてみることが解決の糸口になるかもしれません。
苦手克服の切り札!個人レッスン(プライベートレッスン)
集団レッスンでは、個々の癖を細かく修正する時間がどうしても足りません。「あと少しで合格できそうなのに、何がダメなのかわからない」という場合、数回だけでも個人レッスン(マンツーマン指導)を受けることが非常に効果的です。
個人レッスンでは、その子の弱点だけを集中して指導してもらえるため、数ヶ月かかっていた課題がたった1回のレッスンで解決することも珍しくありません。
費用は高くなりますが、ダラダラと何ヶ月も月謝を払い続けるより、結果的に安く済む場合もあります。「ここぞ」という時の起爆剤として活用する価値は大いにあります。
親としてどうサポートする?子供のやる気を引き出す声かけ

子供が上達せずに悩んでいるとき、親の言葉がプレッシャーになることもあれば、大きな支えになることもあります。技術的な指導はプロであるコーチに任せ、親はメンタル面でのサポートに徹することが重要です。子供のモチベーションを下げず、前向きに取り組めるような関わり方をご紹介します。
「なんでできないの?」はNGワード
進級テストに落ちた時や、練習を見ていて歯がゆい時、つい「なんで教えてもらった通りにできないの?」「もっと真面目にやりなさい」と言いたくなってしまうかもしれません。しかし、子供自身も「できるようになりたい」と思っているはずです。
否定的な言葉は、子供を萎縮させ、プールに行くこと自体を嫌いにさせてしまいます。まずは「頑張って通っていること」自体を認め、「テスト残念だったね、でもバタ足はすごく元気だったよ」と、具体的な事実に基づいて肯定的な声をかけてあげてください。
結果ではなく、過程(プロセス)を評価することで、子供は「次も頑張ろう」という気持ちを持ち続けることができます。
練習後の振り返りは「質問形式」で
子供がコーチのアドバイスを覚えているか確認するために、練習後の会話を工夫しましょう。「今日はコーチになんて言われた?」と聞いてみてください。
もし「忘れた」と言われたら、「足のこと?それとも手の回し方?」と少しヒントを出して、記憶を引き出す手助けをします。子供が自分の口で「腕を耳につけるって言われた」と言語化することで、記憶への定着率がグッと高まります。
ポイント:
親が一方的に教えるのではなく、子供自身に気づかせることが大切です。聞き出した内容をノートにメモしておき、次の練習前に「今日は何を気をつけるんだっけ?」と確認する習慣をつけるとより効果的です。
他の子との比較は絶対にしない
「〇〇ちゃんはもう合格したのに」「後から入った子が先に進級した」という事実は、親として焦りを感じる要因になりますが、それを口に出して子供に伝えることには百害あって一利なしです。
水泳の上達スピードには個人差があり、身体的な成長(身長や筋力)のタイミングとも深く関係しています。今は遅れていても、体が成長すると急に伸びる時期が必ず来ます。
比較対象は「周りの子」ではなく「過去の我が子」にしましょう。「先月より長く潜れるようになったね」「クロールの息継ぎが上手になったね」と、その子なりの成長を見逃さずに伝えることが、一番の特効薬です。
大人のスイミングで上達しない場合に意識したいこと

ここまでは主に子供向けの原因と対策をお伝えしてきましたが、大人の会員さんが上達しない場合、子供とは少し違ったアプローチが必要です。大人の体と脳の特性に合わせた、上達のコツを最後に少しだけ触れておきます。
「脱力」が最大のテーマ
大人の男性に特に多いのが、パワーで泳ごうとして沈んでしまうケースです。筋肉に力が入っていると体は硬くなり、浮力が失われます。子供は体が柔らかく無駄な力が入っていないため、自然と浮くことができますが、大人は意識的に「力を抜く」必要があります。
速く泳ごうとして水を力いっぱい叩くのではなく、「いかに楽に、静かに泳ぐか」を意識してみてください。指先の力を抜き、水に乗るような感覚を大切にしましょう。
準備運動でしっかりとストレッチを行い、水に入ったらまずは脱力して浮く練習から始めるのが、遠回りのようで一番の近道です。
理屈で理解してから体で実践する
子供は「見よう見まね」の感覚的な学習が得意ですが、大人は「論理的」な理解から入る方が上達しやすい傾向があります。
「なぜここで腕を伸ばすのか」「なぜここでお尻が沈むといけないのか」という理屈(メカニズム)を頭で理解することで、体の動きを修正しやすくなります。
コーチに積極的に質問したり、水泳の教本や動画を見て理論を学んだりすることをおすすめします。自分の泳ぎを動画で撮影してもらい、客観的にフォームを確認するのも非常に有効な手段です。
焦らず「休む勇気」を持つ
大人の場合、仕事の疲れや身体的な疲労が溜まっている状態で無理に練習しても、悪いフォームが身につくだけで逆効果になることがあります。
「週に何回泳がなきゃ」という義務感よりも、体調が良い時に集中して練習する方が質が高まります。また、肩や腰に違和感がある時は無理をせず、水中ウォーキングに切り替えるなど、長く続けるための体のケアも上達の一部と考えてください。
スイミングスクールで上達しない時期を乗り越えて水泳を楽しもう
スイミングスクールで上達しないと感じる時期は、誰にでも必ず訪れる「プラトー(停滞期)」であることも多いです。原因は練習量不足、体の硬さ、理解のズレ、あるいは環境の問題など様々ですが、一つひとつ紐解いていけば必ず解決策が見つかります。
大切なのは、焦って水泳を嫌いになってしまわないことです。進級テストの結果だけに一喜一憂せず、お家でのちょっとしたトレーニングを取り入れたり、親子のコミュニケーションを変えてみたりと、できることから試してみてください。
壁を乗り越えた先には、「泳げるようになった!」という大きな達成感と自信が待っています。長い目で成長を見守りながら、水泳という素晴らしいスポーツを楽しんでいきましょう。



