「もっと速く泳げるようになりたい」「泳いでいると腰や足が沈んでしまう」といった悩みを持っていませんか。水泳の上達には、水中で泳ぐ練習だけでなく、陸上で行うトレーニングも非常に重要です。その中でも、特に効果的で多くのスイマーに取り入れられているのが「プランク」という筋トレです。
プランクは特別な器具を必要とせず、自宅で手軽に始められる体幹トレーニングの代表格です。しかし、ただなんとなく姿勢をキープしているだけでは、本来の効果を十分に発揮することはできません。水泳に必要な筋肉を的確に刺激し、泳ぎのパフォーマンスにつなげるためには、正しいフォームと目的意識を持つことが大切です。
この記事では、なぜ水泳にプランクが効果的なのかという理由から、初心者でも実践できる基本のやり方、さらにスイマー向けの応用メニューまでを詳しく解説していきます。体幹を鍛えることで、ストリームラインが安定し、無駄な抵抗の少ない美しい泳ぎを手に入れることができるでしょう。今日から始められるトレーニングで、あなたの泳ぎを一段階レベルアップさせてみませんか。
水泳にプランクはなぜ必要?筋トレで得られる3つのメリット

水泳のパフォーマンスを向上させるために、なぜ数ある筋トレの中でプランクが推奨されるのでしょうか。それは、プランクが鍛える「体幹」こそが、水中という不安定な環境で体を支える土台となるからです。ここでは、プランクを行うことで実際の泳ぎにどのような良い影響があるのか、主なメリットを3つに分けて解説します。
ストリームライン(姿勢)の安定
水泳において最も重要と言っても過言ではないのが、水の抵抗を最小限に抑える姿勢「ストリームライン」です。体幹が弱いと、水中で体が「く」の字に折れ曲がったり、腰が反りすぎたりしてしまい、これが大きな水の抵抗となります。
プランクで腹筋や背筋を含めた胴体周りの筋肉を強化することで、一直線の姿勢を長時間キープする力が養われます。体幹が安定すると、水流に負けずにフラットな姿勢を保てるようになり、結果として楽に速く進むことができるのです。
特に、後半になるとフォームが崩れて失速してしまうという方は、体幹の筋持久力が不足している可能性があります。プランクで体の軸をしっかりと作ることは、最初から最後まで美しいストリームラインを維持するための基礎体力づくりになります。
ボディポジションが高くなる
「泳いでいると下半身が沈んでしまう」という悩みを持つ方は非常に多いです。下半身が沈むと、それだけで水の抵抗が増え、ブレーキをかけた状態で泳いでいるようなものになります。これを解消するためには、ボディポジション(体が浮いている位置)を高く保つ必要があります。
プランク、特にお腹を凹ませながら行うトレーニングは、腹横筋などのインナーマッスルを刺激します。この筋肉が天然のコルセットのような役割を果たし、骨盤を正しい位置に安定させ、下半身が沈むのを防いでくれます。
高いボディポジションを維持できれば、水面近くを滑るように泳ぐ感覚が得られます。プランクは、単に腹筋を割るためだけのものではなく、水中で浮く力をサポートするための重要なトレーニングなのです。
キックとプルの連動性がアップ
速く泳ぐためには、手のかき(プル)と足の動き(キック)がバラバラではなく、連動して推進力を生み出す必要があります。この手足の動きを繋ぐ役割を果たしているのが体幹です。
体幹が弱い状態では、腕で生み出した力が体幹部分で逃げてしまい、足先までうまく伝わりません。逆に、プランクで鍛えられた強い体幹があれば、体全体を一本の棒のように使うことができ、全身の力を無駄なく推進力に変えることができます。
例えば、クロールで腕をかいた瞬間に、対角線の足でしっかりと水を蹴ることができるのは、体幹がねじれに耐え、力を伝達しているからです。プランクで体の中心を固めることは、手足の動きをスムーズに連動させ、パワフルな泳ぎを実現するために不可欠です。
水泳初心者にもおすすめ!基本のプランクと正しいフォーム

プランクの効果を理解したところで、次は実践編です。ここでは、最も基本的でありながら重要な「ノーマルプランク(フロントブリッジ)」の正しいやり方を解説します。シンプルに見える運動ですが、間違ったフォームで行うと効果が半減するどころか、腰を痛める原因にもなります。一つひとつのポイントを確認しながら行いましょう。
ノーマルプランクの正しいやり方
まずは、基本となるノーマルプランクの手順を確認します。ヨガマットやカーペットの上など、肘が痛くならない場所で行ってください。
基本のフォーム手順
1. うつ伏せの状態になり、両肘を床につけます。
2. 肘は肩の真下にくるようにセットし、肩幅程度に開きます。
3. 両足を揃えてつま先を立て、膝を床から浮かせます。
4. 頭からかかとまでが一直線になるように姿勢を整えます。
5. お腹に力を入れ、この姿勢をキープします。
この姿勢を作るとき、視線は真下ではなく、少し斜め前(手の拳の間あたり)を見るようにすると、首のラインが自然になりやすいです。また、手は軽く握るか、手のひらを床に向けておきます。まずはこの「一直線の姿勢」を作れるかどうかがスタートラインです。
よくあるNGフォームと改善点
プランクを行っている際、自分ではできているつもりでも、知らず知らずのうちにフォームが崩れていることがよくあります。特に多いのが「腰が反っている」状態と「お尻が上がりすぎている」状態です。
腰が反ってしまうのは、腹筋の力が抜けて腰で体を支えてしまっている証拠です。これは腰痛の大きな原因となります。もし腰に痛みを感じたら、すぐにお腹を持ち上げるように意識するか、膝をついたプランクに切り替えてください。おへそを背中側に引き込むようなイメージを持つと、腰の反りを防げます。
逆にお尻が高く上がりすぎている場合は、楽な姿勢に逃げてしまっています。これでは体幹への負荷が逃げてしまい、トレーニング効果が薄れます。誰かに横から見てもらったり、鏡を使ったりして、頭・肩・腰・かかとが定規で引いたように真っ直ぐになっているか確認しましょう。
呼吸を止めないことが重要
筋トレ中に力を入れると、どうしても呼吸を止めてしまいがちです。しかし、プランク中は自然な呼吸を続けることが非常に重要です。呼吸を止めてしまうと血圧が上がりやすくなるだけでなく、酸素が筋肉に行き渡らず、長く姿勢を維持することができません。
水泳においても、呼吸はリズムを作る大切な要素です。プランク中も「吸って、吐いて」を意識的に繰り返しましょう。特に「吐く」ことを意識すると、腹横筋が収縮し、より体幹が安定します。
おすすめは、ゆっくりと長く息を吐くことです。「ふーっ」と息を吐ききることでお腹がより硬くなり、トレーニング効果が高まります。水中で息を吐き続ける動作のシミュレーションとしても役立ちます。
秒数の目安とセット数
「一体どれくらいの時間やればいいの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。水泳のための体幹トレーニングとして行う場合、極端に長い時間(例えば5分や10分)を一度に行う必要はありません。
初心者の場合は、まず正しいフォームで「20秒〜30秒」キープすることを目標にしましょう。これを3セット行うのが基本です。セット間の休憩(インターバル)は30秒程度取ります。
慣れてきたら徐々に時間を延ばし、1分間(60秒)を安定してキープできることを目指します。フォームが崩れた状態で1分やるよりも、完璧なフォームで30秒やる方が効果的です。時間はあくまで目安であり、重要なのは「質の高い姿勢を維持すること」です。
| レベル | 目標時間 | セット数 |
|---|---|---|
| 初心者 | 20秒〜30秒 | 3セット |
| 中級者 | 45秒〜60秒 | 3セット |
| 上級者 | 60秒以上 | 3〜5セット |
毎日続けることが理想ですが、最初のうちは週に3〜4回から始めても構いません。継続することで、確実に水中で体が安定してくるのを実感できるはずです。
泳ぎに直結する!水泳選手向けの応用プランクメニュー

基本のプランクができるようになったら、次はより水泳の動作に近い負荷をかける応用メニューに挑戦してみましょう。水泳は体をひねったり、仰向けになったりする動作が含まれます。様々な方向からの刺激に耐えられる体幹を作ることで、クロールや背泳ぎ、バタフライなどの泳法に直結する強さを手に入れることができます。
サイドプランクでローリング強化
サイドプランクは、体の側面にある腹斜筋や中殿筋を鍛えるトレーニングです。クロールや背泳ぎでは、体を左右に傾ける「ローリング」という動作を行いますが、この時に体がブレないように支えるために横方向の体幹力が重要になります。
サイドプランクのやり方
1. 横向きに寝て、片方の肘を肩の真下につきます。
2. 両足を揃えて伸ばします(バランスが難しい場合は上の足を前に出してもOK)。
3. 腰を床から持ち上げ、頭から足先までを一直線にします。
4. 反対側の手は腰に置くか、天井に向かって伸ばします。
5. この姿勢を30秒〜45秒キープし、反対側も同様に行います。
サイドプランクを行うことで、泳ぎの中で体が左右にブレるのを防ぎ、スムーズな体重移動が可能になります。特に、息継ぎの瞬間にバランスを崩しやすい方は、このトレーニングを重点的に行うと改善が見込めます。
ダイアゴナルプランクでバランス力向上
ダイアゴナルプランクは、ノーマルプランクの姿勢から、対角線上の手足を浮かせるトレーニングです(例:右手と左足を持ち上げる)。これは非常にバランス感覚を必要とし、水泳中の不安定な状態を陸上で再現するのに適しています。
手足を浮かせた瞬間に体がグラグラしてしまいがちですが、お腹に力を入れて骨盤を水平に保つよう意識してください。この「手足を動かしても体幹を固定する感覚」は、まさに泳いでいる時の感覚そのものです。
片側10秒〜15秒キープして交代、という動きを繰り返すことで、体幹の強さと共にバランス感覚も養われます。水中での姿勢制御能力が上がり、無駄な力みのない泳ぎにつながります。
リバースプランクで背面の意識
通常のプランクはお腹側(前面)を意識しやすいですが、水泳では背中側(背面)の筋肉も非常に重要です。特に背泳ぎでは、背面の筋肉で体を支えてボディポジションを維持する必要があります。そこで役立つのがリバースプランクです。
仰向けの状態で両肘(または両手)をつき、かかとを床につけて腰を持ち上げます。頭から足先までが一直線になるようにし、お尻が落ちないようにキープします。肩甲骨を寄せ、胸を開くような意識を持つことがポイントです。
リバースプランクは、背筋や臀部(お尻)、ハムストリングス(太もも裏)を刺激します。これらはキックを打ち下ろす時や、ストリームラインを維持する際に使われる筋肉です。背面全体を強化することで、後半になっても腰が落ちにくいタフな泳ぎを手に入れることができます。
プランクの効果を最大化するためのポイントと注意点

トレーニングは、ただ回数をこなすだけでは最大の効果を得られません。特にプランクのような静的なトレーニング(アイソメトリック種目)は、意識の持ち方一つで効果が大きく変わります。ここでは、プランクの効果を最大限に引き出し、水泳の上達につなげるためのポイントと注意点を紹介します。
鏡や動画でフォームをチェック
自分では真っ直ぐになっているつもりでも、実際にはお尻が上がっていたり、腰が落ちていたりすることはよくあります。これを防ぐために、定期的に自分のフォームを客観的にチェックすることをおすすめします。
全身が映る鏡があれば、横向きになって自分の姿勢を確認しながら行いましょう。鏡がない場合は、スマートフォンで動画を撮影してみるのが一番確実です。「思ったよりもお尻が上がっているな」「頭が下がっているな」といった気づきがあるはずです。
水泳のフォーム撮影と同様に、陸上トレーニングでも自分の姿を確認することは上達への近道です。正しいフォームで行う30秒は、崩れたフォームで行う1分よりも価値があります。
毎日やるべき?頻度の考え方
筋トレには「超回復」という概念があり、筋肉を休ませる期間が必要と言われます。しかし、プランクのような自重を使った体幹トレーニングは、負荷がそこまで極端に高くないため、基本的には毎日行っても問題ありません。
むしろ、体幹は姿勢を維持するために日常的に使われる筋肉なので、毎日少しずつ刺激を与えることで、良い姿勢を体が覚えやすくなります。歯磨きやお風呂上がりの習慣として、毎日のルーティンに組み込むのが理想的です。
メモ:
ただし、筋肉痛がひどい場合や、腰に違和感がある場合は無理をせず休んでください。継続することが最も大切なので、自分の体調と相談しながら「週4〜5回」などを目標にするのも良いでしょう。
水中トレーニングとの組み合わせ
プランクで鍛えた体幹を、実際の泳ぎにどう活かすかが重要です。陸上でプランクを行った直後にプールに入る、またはプールの練習前にプランクを行うと、お腹に力が入った感覚を残したまま泳ぐことができます。
「今、プランクと同じようにお腹が締まっているか?」「姿勢が一直線になっているか?」を水中で確認しながら泳いでみてください。陸上の筋トレと水中の感覚をリンクさせることで、トレーニングの効果が飛躍的に高まります。
また、練習の最後に「壁キック」などで体幹の締め直しを行うのもおすすめです。プランクで培った筋力を、泳ぎの中で使える「使える筋肉」へと変換していきましょう。
筋トレ以外にも大切?プランクと合わせて意識したい陸上トレ

プランクは素晴らしいトレーニングですが、それだけで水泳の全てが解決するわけではありません。プランクの効果をさらに高め、怪我を防ぎながらパフォーマンスを上げるために、合わせて行いたい陸上トレーニングや身体のケアについて解説します。
ストレッチで可動域を確保
筋トレで筋肉を固めることと同じくらい、ストレッチで柔軟性を高めることが水泳には不可欠です。いくら体幹が強くても、肩や股関節の可動域が狭ければ、スムーズな泳ぎはできません。筋肉が硬いままでは、水の抵抗を受けやすくなり、疲れやすくなってしまいます。
特にプランクを行った後は、腹筋や股関節周りが収縮して硬くなりやすいので、しっかりと伸ばすストレッチを行いましょう。例えば、うつ伏せの状態から手をついて上体を起こす「コブラのポーズ」のようなストレッチは、縮まったお腹の筋肉を伸ばすのに最適です。
「強さ」と「しなやかさ」の両方を兼ね備えた体が、理想的なスイマーの体です。トレーニングの前後には必ずストレッチを取り入れ、関節の可動域を広く保つように心がけてください。
ドローインでお腹を凹ませる感覚
プランクの効果を高めるテクニックとして「ドローイン」があります。これは、息を吐きながらおへそを背中にくっつけるイメージでお腹を凹ませ、その状態をキープする呼吸法です。
プランク中にこのドローインを意識することで、深層部の筋肉である腹横筋への刺激が強まります。水泳中も、お腹を軽く凹ませた状態(ドローインの状態)を保つことで、ボディポジションが安定しやすくなります。
電車での移動中やデスクワーク中など、日常生活の中でもドローインは実践できます。常にお腹の奥を意識する習慣がつくと、プランクを行う際にも自然と正しい力の入れ方ができるようになります。
腹筋以外の体幹トレーニング
体幹とは、お腹周りだけでなく、背中や股関節周りを含めた胴体全体を指します。プランクと合わせて、他の部位を刺激するトレーニングもバランスよく取り入れましょう。
例えば、「ヒップリフト」はお尻や太ももの裏側を鍛え、キック力の向上に役立ちます。「スクワット」は下半身全体のパワーを強化し、壁を蹴る(ターン後の)スピードアップにつながります。
特定の部分だけを鍛えるのではなく、体全体をバランスよく強化することで、特定の部位への負担集中を防ぎ、怪我のリスクを減らすことができます。プランクを軸にしつつ、曜日ごとに異なるメニューを組み合わせるなどして、全身の連動性を高めていきましょう。
プランクの筋トレで水泳のレベルアップを目指そう
今回は、水泳のパフォーマンス向上に欠かせない「プランク」について、その効果や正しいやり方、応用メニューなどを解説してきました。水中で速く、美しく泳ぐためには、体を支える土台となる「体幹」の強さが不可欠です。プランクは、その土台を作るための最もシンプルかつ効果的なトレーニングと言えます。
重要なポイントを振り返りましょう。
記事のまとめ
・プランクはストリームラインを安定させ、抵抗の少ない泳ぎを実現する。
・基本のフォームは「頭からかかとまで一直線」を意識し、呼吸を止めない。
・サイドプランクやリバースプランクを取り入れ、多方向からの負荷に強くなる。
・鏡や動画でフォームを確認し、質の高いトレーニングを行う。
・ストレッチやドローインと組み合わせることで、さらに効果が高まる。
「継続は力なり」という言葉通り、体幹トレーニングは一朝一夕では結果が出ません。しかし、地道に続けることで、ある日ふと「体が浮く感覚」や「水に乗る感覚」が変わる瞬間が訪れます。その感覚を掴めば、水泳がもっと楽しく、もっと奥深いものになるはずです。
自宅でできる数分のプランクが、あなたのプールでの時間をより充実したものに変えてくれます。ぜひ今日から、無理のない範囲でプランクを始めてみてください。強化された体幹とともに、新しい泳ぎの世界へ進んでいきましょう。



