スイミングスクールや競泳チームの練習に参加すると、ホワイトボードに「Fr 50*8 1:00」や「IM 200*4」といった英語の略称が並んでいるのをよく目にします。初めて見る方や初心者の方にとって、これらの記号や英語はまるで暗号のように感じられるかもしれません。
練習メニューで使われる英語や読み方を理解することは、スムーズに練習に参加するために欠かせないステップです。用語の意味を知ることで、コーチの指示を正しく理解し、練習の目的を明確に意識できるようになります。
この記事では、水泳の練習メニューで頻出する英語の読み方や略称、さらにはインターバルの数え方まで、初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説します。この記事を読めば、明日からの練習メニューがぐっと身近に感じられるようになるはずです。
練習メニューの英語と読み方の基本となる4泳法と略称

水泳の練習メニューを理解する上で、まず最初に覚えなければならないのが「種目」を表す英語の略称です。これらは世界共通の表記として広く使われており、日本のプールでも日常的に目にします。
ここでは、基本となる4つの泳法と、それらを組み合わせた個人メドレーの読み方について詳しく見ていきましょう。略称の由来を知ることで、より記憶に定着しやすくなります。
4泳法の英語表記と一般的な読み方(Fr, Ba, Br, Fly)
水泳の基本となる4泳法は、それぞれ英語名の頭文字をとって略記されます。最も頻繁に目にするのが「Fr(エフアール)」で、これは「Freestyle(フリースタイル)」の略です。日本語では自由形、一般的にはクロールを指します。
背泳ぎは「Backstroke(バックスロート)」を略して「Ba(ビーエー)」または「Bc(バック)」と書かれます。読み方はそのまま「バック」と呼ぶのが一般的です。平泳ぎは「Breaststroke(ブレストストローク)」の略で「Br(ビーアール)」、読み方は「ブレスト」や「ブレ」と呼ばれます。
バタフライは「Butterfly(バタフライ)」を略して「Fly(フライ)」と表記されます。読み方はそのまま「フライ」です。これらの4つのアルファベットを覚えるだけで、メニューの半分以上を理解できるようになったと言っても過言ではありません。
練習メニューに「Fr 100m」と書いてあれば「クロールで100メートル泳ぐ」という意味になります。まずはこの4つのアルファベットと読み方をしっかり一致させておきましょう。
【4泳法の略称まとめ】
・Fr:Freestyle(フリースタイル / クロール)
・Ba:Backstroke(バックスストローク / 背泳ぎ)
・Br:Breaststroke(ブレストストローク / 平泳ぎ)
・Fly:Butterfly(バタフライ)
IM(個人メドレー)の読み方と泳ぐ順番のルール
「IM」という表記もメニューには欠かせません。これは「Individual Medley(インディヴィジュアル・メドレー)」の略で、日本語では「個人メドレー」と呼びます。読み方は「アイエム」です。一人の泳者が4つの泳法を決められた順番で泳ぐ種目です。
IMを泳ぐ際には、泳ぐ順番が決まっています。基本的には「バタフライ → 背泳ぎ → 平泳ぎ → 自由形」の順です。この順番を間違えると、練習の効果が変わってしまったり、試合では失格になったりするため注意が必要です。
また、メニューによっては「IM Order(アイエムオーダー)」と書かれていることがあります。これは「個人メドレーの順番で泳ぐ」という意味です。例えば「25m × 4本 IM Order」とあれば、1本目バタフライ、2本目背泳ぎ、3本目平泳ぎ、4本目クロールと泳ぎます。
稀に「Reverse IM(リバースアイエム)」というメニューが出ることもあります。これは「クロール → 平泳ぎ → 背泳ぎ → バタフライ」と、通常の逆順で泳ぐ練習方法です。IMという言葉が出てきたら、まずは標準的な順番を思い浮かべるようにしましょう。
IMは4泳法すべてをバランスよく鍛えることができるため、多くの練習メニューに取り入れられています。苦手な種目がある場合でも、IMの練習を通じて全体のレベルアップを図ることができます。
キック・プル・スイムを表す記号(K, P, S)
種目の横に添えられることが多いのが、どのような形式で泳ぐかを示す記号です。「K」は「Kick(キック)」の略で、ビート板(プルブイ)などを使って足の動作だけで進む練習を指します。読み方は「キック」です。
「P」は「Pull(プル)」の略で、腕の動作だけで進む練習を指します。足にプルブイを挟んでキックを打たずに泳ぐスタイルが一般的です。読み方は「プル」です。これらに対して、手足を両方使って普通に泳ぐことを「S」または「Swim(スイム)」と呼びます。
メニュー表に「50*4 K Fly」と書いてあれば、「バタフライのキックを50メートル4本行う」という意味になります。同様に「100*2 P Fr」であれば、「クロールのプルを100メートル2本行う」という意味です。
「S」は何も書かれていない場合でも、通常はスイムとして扱われますが、あえて「S」と書くことで「キックやプルではなく、しっかりコンビネーションで泳いでください」という意図を伝えることもあります。これら3つの記号は練習の強度を調整する上で非常に重要な要素です。
自由選択や専門種目を表すChoiceとSpecialty
メニューの中に「Cho」や「S1」といった表記が出てくることがあります。「Cho」は「Choice(チョイス)」の略で、自分で好きな種目を選んで良いという意味です。読み方はそのまま「チョイス」です。アップやダウン(練習の最初や最後)によく使われます。
「S1(エスワン)」や「Specialty(スペシャリティ)」は、自分の「専門種目」を指します。競泳選手にはそれぞれ得意とする種目があるため、自分のメイン種目で練習を行う際にこの表記が使われます。読み方は「エスワン」や「スペ」と呼ばれることが多いです。
また「Mixed(ミックス)」の略で「Mix」と書かれることもあります。これは複数の泳法を混ぜて泳ぐという意味です。例えば「50*4 Mix (Fr/Ba)」とあれば、クロールと背泳ぎを混ぜて泳ぐ(半分ずつや、本数ごとに交代など)指示になります。
これらの表記がある場合は、その日の体調や自分の強化したいポイントに合わせて泳法を選ぶことができます。コーチからの指示がない場合は、自分が最も得意な種目、あるいは最も練習したい種目を選択するのが一般的です。
セット数とインターバルの書き方・読み方を理解する

種目が分かったら、次は「どれくらいの距離を、何回、どのような時間配分で泳ぐか」を理解する必要があります。水泳のメニューは「距離 × 本数 × セット数」という形で表記されるのが一般的です。
また、練習の強度を左右するのが「インターバル」や「サイクル」と呼ばれる時間設定です。ここでは、数字の並びから具体的な練習時間を導き出す方法について詳しく解説していきます。
本数とセット数の基本的な計算方法(Sets × Reps)
練習メニューの基本形は「50m × 8 times」のように書かれますが、多くの場合「50 * 8」と簡略化されます。これは「50メートルを8本泳ぐ」という意味です。さらに、これを複数回繰り返す場合に「セット数」が登場します。
例えば「(50 * 4) * 3 sets」という表記があれば、「50メートルを4本泳ぐという一塊を、3セット繰り返す」という意味になります。合計本数は12本、合計距離は600メートルとなります。読み方は「50の4本が3セット」と言うのが分かりやすいでしょう。
セットとセットの間には、通常「Set Rest(セットレスト)」と呼ばれる長めの休憩が入ります。メニューに「SR 1:00」とあれば、セット間に1分間の休憩を挟みます。このように、大きな練習の塊を分けることで、集中力や強度を維持しやすくなります。
数字が並んでいるときは、左側から「1本の距離」「本数」「セット数」の順であることがほとんどです。この構成を頭に入れておくと、ボードをパッと見ただけでその日の練習ボリュームを把握できるようになります。
サークル(Cycle)とレスト(Rest)の違いと数え方
水泳の練習で最も混乱しやすいのが、時間の管理方法です。大きく分けて「サークル(インターバル)」と「レスト」の2種類があります。「1:00 Circle(サークル)」と書かれている場合、泳ぎ始めてから次の本数をスタートするまでが1分間という意味です。
例えば50メートルを45秒で泳いだ場合、残りの15秒が休憩時間となります。速く泳げば休憩が長くなり、遅く泳ぐと休憩が短くなるのがこの方式の特徴です。読み方は「1分サークル」や「1分サイクル」と言います。海外では「On 1:00」と表記されることもあります。
一方で「Rest 10″」や「RI 10″(Rest Interval)」と書かれている場合は、泳ぎ終わってから一律に10秒間休むという意味です。泳ぐスピードに関わらず、常に一定の休憩時間が確保されます。読み方は「10秒レスト」です。
サークル形式は一定のリズムで練習を進めるのに適しており、競技練習では主流です。レスト形式は初心者の練習や、とにかく全力で泳いで心拍数をしっかり下げたい練習の時によく用いられます。どちらの形式なのかを間違えると、周りの人とスタートタイミングがズレてしまうので注意しましょう。
Descending(Desc.)とBuild-up(B.U.)の読み方
泳ぐペースの変化を指示する言葉も英語で表記されます。「Desc.(ディセンディング)」は、本数を重ねるごとに徐々にタイムを上げていく(速く泳ぐ)練習です。読み方は「ディセンディング」や「ディセ」です。
例えば4本ある場合、1本目はゆったり、2本目は少し速く、3本目はさらに速く、4本目は全力に近いスピードで泳ぎます。これはペース感覚を養い、後半に体力を残す練習として非常に効果的です。逆に、最初から最後まで同じペースで泳ぐことは「Even Pace(イーブンペース)」と呼びます。
「B.U.(ビルドアップ)」は、1本の距離の中で徐々にスピードを上げていく練習です。読み方は「ビルドアップ」です。例えば50メートルのビルドアップなら、最初の12.5メートルはゆっくり、次の12.5メートルは中間、後半の25メートルは全力、といった具合に加速していきます。
ディセンディングは「本数ごと」の加速、ビルドアップは「1本の中」での加速、と覚えておくと混同しません。これらは心肺機能への刺激を段階的に高めるために使われる、非常に一般的な用語です。
Negative Split(ネガティブスプリット)の意味
中上級者のメニューによく登場するのが「Negative Split(ネガティブスプリット)」です。略して「Neg.」と書かれることもあります。これは、距離の半分を過ぎてから、前半よりも速いタイムで泳ぐことを指します。
例えば100メートルの練習で、前半の50メートルを40秒で泳いだなら、後半の50メートルを39秒以下で泳ぐのがネガティブスプリットです。多くの人は疲れが出る後半に失速してしまいますが、あえて後半にペースを上げることで、持久力と精神力を鍛えます。
読み方はそのまま「ネガティブスプリット」です。反対に前半の方が速く、後半にタイムが落ちることを「Positive Split(ポジティブスプリット)」と言いますが、練習の指示として出されることは稀です。基本的には「後半を粘る」ための指示として理解しておきましょう。
この練習は、レースの後半でライバルを追い抜くためのトレーニングとして重視されています。メニューにこの文字を見つけたら、前半は少し余裕を持って入り、後半に全力を注ぐイメージで泳ぐのがコツです。
ドリル練習や特殊なメニューを表す英語表現

水泳の練習は、単に長い距離を泳ぐだけではありません。技術的な改善を目指す練習や、泳ぎの癖を修正するためのメニューが多く含まれます。
ここでは、フォームを意識するための「ドリル」や、強度を最大化する「オールアウト」など、より実践的なメニュー表記について解説します。これらの言葉を知ることで、練習の質を一段階高めることができます。
Drill(ドリル練習)の目的と表記方法
「Drill(ドリル)」とは、泳ぎの動作の一部を切り取って行う、技術向上のための反復練習のことです。読み方は「ドリル」です。日本語では「形作り」や「部分練習」とも呼ばれます。メニュー表には「100 * 4 Drill」といった形で記載されます。
ドリル練習の内容は、コーチから口頭で指示されることが多いですが、一般的なものには名前がついています。例えば、片手だけで泳ぐ「One Arm(ワンアーム)」や、握り拳で泳ぐ「Fist Swim(フィストスイム)」、水面を指先でなぞりながら泳ぐ「Finger Tip Drag(フィンガーチップドラッグ)」などがあります。
ドリルの目的は、スピードを出すことではなく「正しいフォームを意識すること」にあります。そのため、ドリルメニューの時はサークル(休憩時間)が長めに設定されていることが一般的です。落ち着いて自分の体の動きを確認しながら泳ぎましょう。
また「Drill / Swim」と書かれている場合は、25メートルをドリルで泳ぎ、残りの25メートルを通常の泳ぎで確認する、といった交互の練習を意味することが多いです。ドリルで意識したポイントを、すぐに実際の泳ぎに繋げることが狙いです。
ALL OUT(オールアウト)とHard(ハード)の使い分け
練習の山場でよく使われるのが「ALL OUT(オールアウト)」という言葉です。これは、持っている力をすべて出し切る、つまり「全力中の全力」で泳ぐことを意味します。読み方はそのまま「オールアウト」です。
似た言葉に「Hard(ハード)」がありますが、ニュアンスが少し異なります。ハードは「高い強度で速く泳ぐ」ことですが、オールアウトはそのセットの後に動けなくなるほど追い込むイメージです。メニューに「Last 1本 ALL OUT!」とあれば、最後の一滴まで力を絞り出す必要があります。
逆に、非常にゆっくり泳ぐことを「Easy(イージー)」や「Ez」と表記します。これは心拍数を整え、筋肉の緊張をほぐすためのものです。ハードやオールアウトの直後には、必ずと言っていいほどイージーがセットで組み込まれます。
水泳のトレーニングは、この「強(ハード)」と「弱(イージー)」のメリハリが非常に重要です。ずっと同じスピードで泳ぐのではなく、指示された強度を英語表記から読み取って、自分なりにパワーをコントロールすることが上達への近道です。
Form(フォーム)とSmooth(スムース)のニュアンス
スピードを上げる指示以外にも、泳ぎの質を指定する言葉があります。「Form(フォーム)」は、その名の通り「形を崩さずに綺麗に泳ぐ」ことを意識するメニューです。読み方は「フォーム」です。タイムよりも、ストローク数や水の捉え方に集中します。
「Smooth(スムース)」は、無駄な力を抜きつつも、効率よくスルスルと進むイメージで泳ぐことを指します。読み方は「スムース」です。ゆっくりすぎず、かといって力まず、リズミカルに泳ぐことが求められます。持久力を高める長距離の練習でよく使われます。
また「DPS(ディーピーエス)」という略語も頻出します。これは「Distance Per Stroke(ディスタンス・パー・ストローク)」の略で、1かきで進む距離を最大化することを意味します。読み方はそのまま「ディーピーエス」です。少ないかき数で遠くまで進むよう意識します。
これらの言葉が出てきた時は、ストップウォッチの時計を気にするよりも、水の中での自分の感覚に耳を澄ませてみましょう。美しく効率的な泳ぎを身につけるための、大切な指示語です。
Hyposic(ハイポ)による呼吸制限の表記
少し高度な練習メニューになると「Hypo(ハイポ)」という文字が現れます。これは「Hypoxic Training(ハイポキシック・トレーニング)」の略で、呼吸の回数を制限して心肺機能を高める練習です。読み方は「ハイポ」です。
通常は「Hypo 3, 5, 7」のように数字と一緒に書かれます。これは「3ストロークに1回呼吸、5ストロークに1回、7ストロークに1回」という意味です。数字が大きくなるほど息苦しくなり、負荷が高まります。読み方は「ハイポ3(スリー)」などと呼びます。
この練習の目的は、低酸素状態でもフォームを崩さない忍耐力を養うことや、無駄な呼吸動作を減らして抵抗を少なくすることにあります。特に自由形のクロールやバタフライでよく取り入れられる手法です。
呼吸制限は体に大きな負荷がかかるため、体調が悪い時や無理だと感じた時は、決して無理をしないでください。安全に配慮しながら、徐々に高い数字に挑戦していくのが正しい取り組み方です。
メニュー内でよく使われる道具や単位の略称

水泳の練習では、ビート板やフィンなどの道具(ギア)を使用することが多々あります。これらもメニュー表では英語の略称で書かれるのが通例です。また、プールの距離に関する単位も、場所によって異なる場合があります。
道具の名前を英語で覚えておくと、コーチからの「フィンを履いてください」という指示がなくても、メニュー表を見て自分で準備ができるようになります。ここでは代表的な道具と単位の英語表記を確認しましょう。
パドル、フィン、スノーケルなどのギア表記
手の平に装着するプラスチック製の板を「Pad(パドル)」と呼びます。メニューには「w/Pad(パドルあり)」のように書かれます。「w/」は「with」の略です。読み方は「パドル」です。推進力を高め、キャッチ(水を掴む動作)の感覚を養うために使います。
足に履くヒレは「Fin(フィン)」です。読み方は「フィン」です。脚力の強化や、スピード感に慣れるために使用されます。さらに、顔の正面につける呼吸管は「Snorkel(スノーケル)」と表記されます。読み方は「スノーケル」や「シュノーケル」です。呼吸のための頭の動きを排除し、フォーム修正に集中するために使われます。
他にも、足に挟む浮き具を「PB(プルブイ)」、ビート板を「Kickboard(キックボード)」と呼びます。これらが組み合わさって「P w/Pad & PB」とあれば、「パドルを手に装着し、プルブイを足に挟んでプルの練習をする」という意味になります。
道具を使う練習は、特定の部位を強化したり、泳ぎの欠点を補ったりするのに非常に有効です。メニューを見て早めに道具を手元に用意しておくことで、サークルに遅れることなく練習をスタートできます。
【道具の略称まとめ】
・Pad / Pd:Paddle(パドル)
・Fin:Fin(フィン)
・Snorkel:Snorkel(スノーケル)
・PB:Pull Buoy(プルブイ)
・w/:with(〜を使って)
距離の単位とコースの長さを表す表記(m, yd, L, S)
日本のプールはほとんどが「m(メートル)」単位ですが、海外や一部の施設では「yd(ヤード)」が使われることもあります。1ヤードは約0.9メートルなので、ヤードプールのタイムはメートルプールより速く出ます。表記に「yd」があれば注意が必要です。
また、プールの長さを表す言葉として「LC」と「SC」があります。「LC(エルシー)」は「Long Course(ロングコース)」の略で、50メートルプールのことです。読み方は「ロングコース」や「長水路(ちょうすいろ)」です。
一方「SC(エスシー)」は「Short Course(ショートコース)」の略で、25メートルプールを指します。読み方は「ショートコース」や「短水路(たんすいろ)」です。ターン回数が異なるため、同じ距離でもSCの方がタイムが出やすいという特徴があります。
メニューに「200m LC Standard」と書いてあれば、「50メートルプールにおける200メートルの基準タイムで泳ぐ」といった意味になります。自分が今どちらの長さのプールで泳いでいるのかを意識することは、タイムを管理する上で非常に重要です。
セットの中の構成を表す「Straight」や「Broken」
距離の泳ぎ方を指定する言葉に「Straight(ストレート)」と「Broken(ブロークン)」があります。「Straight」は、指定された距離を一気に、途中で止まることなく泳ぎ切ることです。読み方は「ストレート」です。200m Straightなら、壁で止まらず200メートル泳ぎます。
対して「Broken(ブロークン)」は、長い距離を細かく分割し、短い休憩を挟みながら全力で泳ぐ練習です。読み方は「ブロークン」です。例えば200メートルのブロークンなら「50m × 4本」を10秒程度の短い休憩で繋ぎます。最後に、合計タイムから休憩時間を引いて、実際の200メートルのタイムを予測します。
ブロークン練習は、レース本番のスピードを疑似体験するために非常に重要です。1本1本を全力で泳ぐ必要があるため、非常に強度の高いメニューとなります。読み方は「ブロークン」の他に、細かく割るという意味で「分割」と呼ばれることもあります。
ストレートは持久力、ブロークンはスピード耐久力といった具合に、目的がはっきり分かれています。メニュー表に「Broken」の文字を見つけたら、気合を入れて臨むべき練習だと判断して間違いないでしょう。
ブロークンの際の休憩時間は「Rest 10″」などと指定されます。この短い休息を「Interval(インターバル)」と呼ぶこともありますが、サークルタイムと混同しないように気をつけましょう。
実践的な英語メニューの例と読み方のシミュレーション

ここまで学んだ知識を使って、実際にホワイトボードに書かれるようなメニューを読み解いてみましょう。英語の略称が組み合わさることで、複雑に見えるメニューも論理的に整理できるようになります。
いくつかの典型的なパターンを例に挙げて、その内容を詳しく解説します。これらがスムーズに読めるようになれば、あなたはもう水泳用語の英語マスターと言えるでしょう。
初心者向けのシンプルなメニュー例と解説
まずは、初心者から中級者の練習によくある構成を見てみましょう。以下のようなメニューが書かれているとします。
W-up 200 * 1 Cho 4:00
K 50 * 4 Fr 1:15
P 50 * 4 Fr 1:10
S 50 * 8 Fr 1:00
Down 100 * 1 Cho
1行目の「W-up」は「Warm-up(ウォーミングアップ)」の略です。読み方は「アップ」です。「200メートルを1本、好きな種目で、4分サークルで泳ぐ」という意味です。体が温まれば良いので、ゆっくりと泳ぎ始めます。
2行目と3行目はそれぞれキックとプルです。クロールで50メートルを4本ずつ、キックは1分15秒、プルは1分10秒の間隔でスタートします。プルのほうが速いタイム設定になっているのが一般的です。
メインとなる4行目の「S」はスイムです。クロールで50メートルを8本、1分サークルで泳ぎます。最後の「Down」は「Cool-down(クールダウン)」の略で、読み方は「ダウン」です。練習で使った筋肉をほぐすために、好きな種目でゆっくり泳いで終了です。
中上級者向けの複雑なインターバルメニュー
次に、競技レベルで使われる少し複雑なメニューに挑戦してみましょう。
Main Set:
(100 * 4) * 3 sets
1set: IM Order 1:45
2set: Fr Desc. 1:30
3set: S1 Hard 1:20
SR 1:00 between sets
これは100メートルを4本泳ぐ練習を、3セット繰り返すメニューです。1セット目は個人メドレーの順番(バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、クロール)で1分45秒サークル。2セット目はクロールで、本数を追うごとに速く泳ぐディセンディングで1分30秒サークルです。
3セット目は自分の専門種目(S1)で、全力(Hard)で泳ぐ指示が出ています。サークルも1分20秒と最も厳しくなっています。「SR 1:00」はセット間の休憩が1分間あることを示しています。
このように、セットごとに泳法や強度を変えることで、持久力とスピードの両方をバランスよく鍛えることができます。英語の指示を正しく読み取ることで、各セットの「目的」を意識した練習が可能になります。
英語のメニューが読めると広がる水泳の楽しさ
練習メニューの英語や読み方が分かってくると、自分の練習内容を客観的に把握できるようになります。昨日は「1:00サークル」でギリギリだったのが、今日は「55秒サークル」で回れるようになった、といった成長を具体的な数字で実感できるのは水泳の大きな醍醐味です。
また、英語の用語は世界共通です。海外のスイミング動画を見たり、海外の練習メニューサイトを参考にしたりすることも可能になります。トップ選手がどのようなメニュー(Workout)をこなしているかを知ることは、大きなモチベーションに繋がります。
最初は覚えるのが大変かもしれませんが、毎日ボードを見ているうちに自然と身についていくものです。分からない言葉があれば、遠慮せずにコーチや仲間のスイマーに「これはどういう意味ですか?」と聞いてみてください。専門用語をきっかけに、コミュニケーションの輪も広がっていくことでしょう。
練習メニューの英語と読み方をマスターして水泳をもっと楽しむまとめ
水泳の練習メニューで使われる英語や読み方について、種目の略称から時間の数え方、特殊な練習形式まで幅広く解説してきました。最後に、今回の重要なポイントを振り返ってみましょう。
まず基本となるのは、4泳法の略称(Fr, Ba, Br, Fly)と個人メドレー(IM)です。これらは読み方とともに、泳ぐ順番などのルールもしっかり押さえておきましょう。また、キック(K)やプル(P)といった形式の違いを正しく理解することが、練習の目的を外さないための第一歩となります。
次に、サークル(Cycle)とレスト(Rest)の区別を明確にしてください。これは集団で練習する際に、スタートのタイミングを合わせるために非常に重要です。ディセンディング(Desc.)やビルドアップ(B.U.)といった強度の指示を読み取れるようになれば、練習の質を自分でコントロールできるようになります。
さらに、パドルやフィンなどの道具を表す英語や、ドリル(Drill)、オールアウト(ALL OUT)といった特殊な指示を知ることで、より高度な練習にもスムーズに参加できるようになります。最初は難しく感じるかもしれませんが、略称の意味を一つひとつ紐解いていけば、決して複雑なものではありません。
練習メニューの英語を理解することは、コーチとの共通言語を持つことでもあります。ぜひこの記事を参考に、ホワイトボードに書かれた「暗号」を読み解き、日々の練習をより充実したものにしていってください。正しく理解して泳ぐことで、あなたの水泳レベルは確実に向上していくはずです。



